第三話
天文十七年 (一五四ハ年) 三月 越前国 一乗谷 朝倉氏館
「一大事で御座います!」
供回りが慌ただしく入って来た。
「どうした?騒々しい。」
「それが...大殿がお亡くなりに、なられました。」
「誠か!」
「はっ。」
遂にか。最近、病気がちで心配していたが、とうとう亡くなったか。これから、自由に出来て嬉しい反面、もう話せないと思うと、悲しい。
父上の葬式はとても盛大な物になった。将軍家からは、足利義輝の名代として三淵晴員が、公家からは三条西公条、飛鳥井雅綱、一条房冬、二条晴良などが来ていた。
天文十七年 (一五四ハ年) 三月 越前国 一乗谷 朝倉氏館
葬式が終わり、宗滴を部屋に呼んだ。
「宗滴、俺は天下を統一しようと思っている。」
「天下を統一すると言うことは、将軍家を滅ぼすということで、御座いますか?」
「ああ、そうだ。将軍家の要請で戦をしていたお前には、受け入れ難いか?」
「そうで御座いますね、某は臣の役目を果たすだけで御座います。」
「その臣の役目とは、どの様な事だ?」
「臣の役目とは、主君が将軍家であろうとも、滅ぼせと御命じるのであれば喜んで滅ぼす事でしょう。ですが、主君が誤った事をしようとするので有れば、止めるのもまた臣の役目でしょう。ですので、殿がどう言う理由で滅ぼそうとお思いに、成られたのか知れたいのです。何故、将軍家を滅ぼそうと、お思いに成られたのですか?」
「...応仁の乱以降、八十一年の間ずっと、日の本は荒れている。その間に、数え切れないほどの人々が死んだ。俺は思うのだ、将軍家の意義とは、日の本の安寧を、維持する事だと。しかし、将軍家はそれをしてこなかった。それどころか、日の本が荒れる要因になっている。では、何故荒れる要因になっているのか。弱いからだ。それならば、俺が強い幕府を作り、日の本に安寧をもたらそうと、思ったのだ。」
「なるほど、では将軍家を滅ぼさずとも、補助したら良いのでは御座いませんか?」
「それでは、ダメなのだ。永世五年に、大内義興と細川高国が手を組んで、足利義植を将軍として擁立したが、足利義植と対立して結局、大内義興は領地に帰り、細川高国は殺された。この事から分かる様に、擁立し、補助するのではいかんのだ。」
「...殿がそこまで、考えておられるのならば、喜んで協力しましょう。日の本の安寧の為に。」
「ありがとう。お前が俺に協力してくれるのならば、百人力だ。」
「ありがとうございます。ですが、まだ天下を目指す事は隠しましょう。将軍家から幕敵にされて、周辺の勢力に攻められてしまいますから。」
「そうだな。今はまだ、他の者に伝えるのは早いな。」
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