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未完成 第二章 日常 後編  作者: 荒城 雪
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努力は必ず報われる・言の葉・破壊、そして創造・当たり前

もう人間とは何なんでしょうか。

〈努力は必ず報われる〉

 この手の決まり文句は人を悩ます。努力したつもりが報われず、悩み、絶望し、病むケースは決して少なくない。

 私は努力が報われるのは低確率、つまり「努力は必ずしも報われるわけではない」と考える。世界中どこを探しても努力が必ず報われる証拠などないのだ。こんな夢のない話をしてしまって申し訳ないが、これが辛い現実なのである。

 しかし、努力をしたという事実はいづれ自分の自信になる。だから、私は努力をしない人間が大っ嫌いだ。

 例えば試験等で「自分、いい点数とれるかわからない」や「受かる自信がない」など弱音を吐く人間がいる。このような人間には「そんなことないよ!」「大丈夫だよ!」と励ますのが妥当だ。だが、こう思わないだろうか。自信がつくほど努力すればいいのに、と。

 〈他人の頭の中〉の後半に書いた怒りもプレゼントをどうにか渡そうとする努力が見られなかったためだ。私はプレゼントをもらう側だから、あんまり偉そうなことは言えないが正直うんざりしたのは事実だ。

 

〈言の葉〉

 日本語には力があると言われている。そのため、言葉を選ばなければいけないのだ。

 「人は鏡」という決まり文句を聞いたことがあるだろうか。これは相手に何か悪いことをしたら自分にも同じこと、あるいはそれ以上のことがやってくるというものだ。わかりやすい例は子供だ。「馬鹿っていうほうがバカなんだよ。バーカ!!」と馬鹿みたいに馬鹿馬鹿いう馬鹿の決まり文句だ。私は好ましく思わないどころかまず、子供が嫌いなため拒絶しているのだが、一応これも言葉の力が使われている。

 科学的根拠はない。この小説にしては珍しいことを書いているが私が立証した。つまり、神も奇跡も偶然も天罰もすべて人間によって行われたことだということだ。一応例を書いておくと、私は試験等で弱音を吐いたことはない。「受かるかわからない」なんてことは言わないのだ。その代わりに「絶対受かって見せる」と強気になる。

 自信があったわけではない。しかし、少しくらい道化の神の真似事をしても誰も怒らないし、言葉の力を信じたまでである。


〈破壊、そして創造〉

 この世は無常である。一時は美しく咲き誇った桜や金木犀の花も、その香りを残すだけで儚く散ってしまう。つまり、決して永遠のものなどないのである。

 さて、無常ときいて何を思い浮かべるか。「祇園精舎の鐘の声。諸行無常の響きあり。」平家物語が日本において無常というものをよく表現していると私は思う。なぜ、平家は滅亡したのかと疑問を抱いた。一時は栄華を極め、「平家に非ずんば人に非ず」と豪語したあの平家なのに。理由は単純だ。永遠を求めたからだ。この世は無常というルールを無視しようとしたため、人々の反感を買い滅亡したのだろう。

 人間は欲深い。近年でもこの無常を忘れ、永遠を求めようとする者がいる。また、この世は無常というものを言い換えると、この世は創造と破壊のサイクルで成り立っていると言える。既存のものを破壊し、新たなものを創造する。またそれも破壊され技術や思考、学問、芸術というものは進化していったのだ。

 そしてこの世界は創造と破壊を繰り返した歴史を持っている。


〈当たり前〉

 この世は当たり前で成り立っているのかもしれないと考える。またこの当たり前があるから平和だとも考える。例えば、人間が奇跡を信じるのも、個性があるのも、好き嫌いが分かれるのも、他人というのもがあるのも、努力が報われると信じるのも、言の葉も、そしてこの世が無常ということも。すべてはもう当たり前なのである。そしてこの当たり前を破壊しない限り、先へは進めないことも。

 この日本という国の中だけでの話だが、この当たり前は私たちにとっての日常なのだ。

 世界を見てみれば、今まで述べたものは当たり前ではなく奇跡、あるいは非日常とされるかもしれない。正解は私にはわからないが、私が思うのは日常を日常だと思わないことだと思う。日常は尊く、もう二度と戦争などという残酷なことをしないで、人間の欲深さを知り人間同士が支えあう、そんな世の中を私は望んでいる。

 しかし、この思考にたどり着いたとき、私は私という人間がいかに欲深く醜く気持ちの悪い生物なのだと吐き気を催した。結果的に私がここに書くことすらも私の欲で、私が望む世界の姿というものもまた当たり前のことなのだと。世界が破滅に向かうことは望んでいない。だが、人間が素晴らしいなどと考えていた思考回路はもうとっくに私の脳内から消え去り、人間は欲深く私もその欲深い生物の一人なのだと思考を改めた。

お読みいただきありがとうございました。

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