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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

理不尽にも勇者パーティーを追放された魔法使いが神になるお話

昔々、あるところに勇者と魔王がおりました。

勇者は魔王を倒す勇気ある者。そして魔王とは魔物たちを支配する魔の王のこと。

勇者は少数の仲間達と共に魔王に立ち向かい、伝説の剣によりこれを討ち取りました。




さて、俺は魔法使い。それもただの魔法使いではなく、最高の魔法使いだ。

人類史上、この俺以上の魔法使いは存在していなかったと断言できる。

それぐらい万能にして至高の魔法使いだと自負している。


そんな俺だが、国から勇者のお供として選ばれてしまった。

まあ、天才である俺の力が必要だというのは分かる。

だからこそ、この俺の力を貸してやることにしたのだ。


・・・本当は都合が良いから話に乗ってやっただけだがな。


魔王とかいう伝説のおとぎ話がある。勇者が伝説の剣で魔王を倒す話だ。

そして倒されたはずの魔王。これが現代に蘇ったというらしい。


魔王の恐ろしさは伝承として伝わっている。それが事実なら、一刻も早く討伐しないといけない。


そんなわけで各国から選りすぐりの精鋭が選ばれて勇者パーティーの結成と相成った。


実際に会ってみて分かったがどいつもこいつも国に選ばれるだけあって優秀だ。

レベルで言えば99レベルといった所か。


おとぎ話じゃあレベル1の勇者が冒険の中で仲間を見つけ共に戦い強くなっていった。


それなのに、今回は最初からフルメンバーMAXだ。

これには俺も安心した。これならば安全に魔王を討伐できると。


だからこそ、魔法で生み出した従者に戦闘から雑事まですべて任せていた。

俺はそのあいだぐうすかと家で寝ていたわけだ。


ところがどっこい。どういうわけか勇者パーティーはそのことに不服らしい。

皆が精一杯働いている中一人だけサボっていると勘違いしたらしい。


所詮は魔王を倒すことだけを目的に結成された急造パーティーだ。


いくら戦闘力があろうが、そういった頭のほうは回らないらしい。

なんと、俺が創った従者を俺が弱みを握って代わりに働かせているというのだ。


最高の魔法使いたる俺の創り出した従者は勇者パーティーに匹敵する実力を持つ。


美しい容貌に繊細な技巧が合わさって、とても造り物とは思えないとか。


それはそうだ。魔法で創り出したといってももはやそれは一つの生命。

人間との差違はその生まれの違いでしかない。


まあ、俺の性格よりも従者の性格のほうがよっぽど好ましいのは事実だ。

それがぐうたらしている俺のために働く従者が健気だと思うのも仕方がないだろう。


勇者パーティーの中には従者に懸想するヤツまでいやがる。

そんなわけで従者を搾取している悪い魔法使いだと認識されているのだ。


魔法使いに報酬は必要ない。すべて同行している従者のものである。

よって魔法使いは勇者パーティーとして認めない。という知らせが俺に届いた。


実に理不尽である。従者は俺が実に素晴らしいかを勇者パーティーに語っているのだが、

馬に念仏である。この際、従者を勇者パーティーから脱退させようかとも思ったが、

俺の目的のためには勇者パーティーに同行している必要がある。


もし勇者パーティーが困っていたら助けようと思っていたが、

気に入らないので、全滅したら笑ってやることにした。絶対に助けてやらない。

この能無し共め!いつか報いを受けさせてやる(意訳)

と勇者パーティーに届けてやったら、なお嫌われた。


そんなわけで俺はぐうたらしながら、勇者パーティーの冒険の知らせを聞く日々を送っていた。

従者は随分と勇者パーティーで活躍しているようである。


そしてついに魔王と戦い従者が伝説の剣によりこれを打ち取った。

ちなみに勇者は魔王の攻撃の身代わりとなって亡くなった。さらば勇者よ!


その様子を眺めていた俺はついにこの日がきたかと感極まっていた。


理不尽にも勇者パーティーから追放された俺。そのくせ俺の魔法で生み出した従者には頼る。


勇者パーティーらの搾取にはヘドがでる思いだった。しかしだ。

ようやく、この鬱憤を晴らせる時がきたのだ。


魔王なき今、それを超える怪物など必要ない。


魔王討伐により弱り果てた勇者パーティーは、

従者により倒された。正義は勝つ!そして伝説の剣を手に入れた俺は一人。


国へと帰還し、魔王討伐の旨を伝えた。これにより人類は救われた。


グッジョブ俺!俺は唯一の生存者として讃えられた。

魔王討伐の報酬もたんまりともらい悠々自適な日々を送る。




手に入れた伝説の剣を調べてそれが神の世界への鍵だと分かった。


神の世界へ足を踏み入れた俺は神殺しを果たし新たな神へとなった。




呪縛した名酒の数々には神も満足したらしい。この世から昇天してしまった。




そうして俺による新たなる世界秩序が誕生したのだ。

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