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プロローグ

「あれ?ここは……」

気がついたときには、ここは私の知らない世界だった。

周りには辺りを見渡すとそこには数多の本が置いてあった。ここは何処なのだろうか?

「まさか……転生?」

でも、私の身体に変わったところはなく、もし、可能性があるとすれば異世界転移なのだろうと推測される。

では何故召喚者がいないのだろうか。自問自答を繰り返しながら、あたりを散策する。しかし、何処へ行けども本が並んでいた。

「んー。どうしようか……」

ここから出ることを諦めて本でも読んでいようかな。なんて考えながら歩いているといつの間にか大きなロビーへと出ることができた。

「あら?お客さんとは珍しいわね。いらっしゃい」

不意に声を掛けられる。とっさにその方角へと顔を向けると、銀髪、碧眼、そしておっぱいの大きい、いかにも異世界にいそうな見た目の美しい女性がそこにはいた。

「なにか変なことを考えているわね。」

「い、いえ!別に……」

図星だったため、そっぽを向く。

それでも彼女はこの"世界"で出会った初めての人だ。行動を起こさない訳にはいかず、改めて彼女の方へ振り向く。

「初めまして。私の名前は--。あれ?」

何故だか自分の名前が分からなかった。おかしい。声や容姿から自分であるとは認識できるのに名前が出てこなかった。それどころか何かを思い出そうとすると、何かに阻害されたかのように頭が痛くなる。


なんだこれ?


自分のことは一旦置いておこう。とりあえず……

「あの、ここは何処なんでしょうか?」

「ここは図書の都。でも宝石のようなおとぎ話なんてないし。あっと驚くような作り話があるような場所でもないわね。」

「では、ここには何があるのでしょう?」

「そうね。ここには数多の人の現実という名の物語の一節を記したものが収められているわ。」

「現実?」

「そう。言い方を変えるなら……思い。願い。感情。そういうものかしらね。」

ということは、ここはある種の夢の世界みたいなものなのだろうか。

「そうね。夢みたいなところかもしれないわね。でもおかしいわね。普通、ここには私以外の人は来られないはずなのよ」

「え?あれ?私、喋って……ないですよね?」

「ええ。でも聞こえちゃうのよね」

ということはこの人にはなんでも筒抜けてしまうということだろう。なら、思ったことは何でも口に出してしまおう。うん、そうするべきだ。

「それであなたの名前はなんですか?」

「私はナーヴァ。よろしくね"迷い人"さん」

「迷い人?」

「ええ。名前もここに来た理由も過去も現実も分からない。ぴったりだと思わない?」

「そうですね。ええ、確かに」

私は何故ここにきたのだろう。なんのためにここに迷い込んだのだろうか

「せっかくなら読んでみる?ここにある物語を」

「え?」

「ほら、他人の思いを知って何か分かるかも知れないじゃない?」

「でも、いいんですか?」

「いいのよ。だって私はこの空間の管理者なんだから。」

管理者。その言葉に何故か聞き覚えがあったのは気のせいだろう。

私は本棚から1冊の本を抜き取る。

ナーヴァが管理者と名乗るのなら、私はこの世界を紡ぐ朗読者になろう。

「では、読ませて貰いますね。」

「ええ。お願いね。」

そして、物語は紡がれる。

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