川へ行く
川で一休み
花琳は侍女の雨桐と馬に乗って出かけている。
今日は街ではなく川へ向かっている。
いつからか引きこもってばかりだったが最近は少しずつ外へ行くようになった。
以前は睿兄上がいない寂しさに耐えられず出かけられなかった。
だが雨桐に誘われて街へ行き、楊宣に出会い外へ出るのが楽しくなった。
時間の経過とともに成長した証拠なのかもしれない。
川岸でのんびり水面を眺める。
以前はもう少し川の上流へ行っていた。同じ場所にはまだ行けなかった。
わずかに場所が違うだけだが、こちらの方が川の流れが穏やかな気がする。
ひたすら流れていく水を見ていると自然と心が落ち着き穏やかになる。
少し離れた下流の方に石が水面を切って飛んでいくのが見える。
石は沈むことなく水面を跳ね向こう岸についた。上手だ。
横を見ると呂家の子息がいた。
「徐家の娘がこんなとこへ来るなんて珍しいですね。」
「そうよ。ここへくるのは初めてなの。あなたはよくここへ来るのかしら。」
「たまに来ます。ここはあまり人が来ないのでのんびりできます。」
そう言って石を対岸に向かって投げる。
石はきれいに水面を切って向こう岸まで飛んだ。
少し離れた横に呂家の子息も腰を下ろす。
「濁流にのまれずに上手に川を下る方法はあるのでしょうか。」
独り言なのか花琳に言ったのかわからない雰囲気で呟く。
「百川海に朝す。どんな川も最後は海へ行きます。濁流にのまれない方法より、行き着いた先の海でどう泳ぐかを考えては。」
筋違いな回答かもしれないがそこまでして今にこだわらなくてもいいのではと花琳は思った。
時間は川の流れと同じで必ず流れる。時間が経っても変わらないものはない。
流れに身を任せていれば良いようになることもある気がする。
呂家の子息は軽くため息をつきながら頷く。
「用事を思い出しましたのでこれで失礼します。」
呂家の子息は去って行った。
花琳は空を仰いだ。川の流れる音と遠くから聞こえる鳥のさえずりが心地よい。
隣に楊宣がいてくれたらよかったのに。




