vol 8. 獣性(にんげんせい)リバース
2023年3月、三宮は有名なグローバル企業に入社した
入社後の新人研修が終わり
9月15日、研修結果を通達されるために指示された会議室へ
そこでは研修責任者が待っていて説明を始めた。
「本社での研修、御苦労さまでした
貴方達はマジカ太平洋地域各地で働く事となりました
国内に閉じた仕事より、多国間での仕事に適正がある
と判定されたので、国際取引の商習慣や常識を覚えてもらいます
マジカ太平洋地域各地で職務をこなす関係者といっても
作業現場の気温が50度を超す熱帯地域のように
暑苦しい体育会系な人員が集まる現場から
理系な人々が集まり、冷徹な判断が美徳とされる
空気が氷点下なように冷ややかな人員が集まる現場まで
現地での主要業務に応じて職場環境や制度は違います
当然ですよね、屋外気温50度を超す地域の制服と
ほぼ一年を通じて氷点下な地域の制服が
同じ素材の同じ制服にするのは不可能なのと同じです
現地採用の社員や関係協力会社で
関わっている人間も違いますし
国の法律や制度も違うので
現地の役人との交渉や申請なども違います
現地法人の環境に適応した会社でなければ
生き残れないのは当たり前なので
同じように働く人間も適応しないと生き残れません
なので現地で必要なコストも地域によって違います
現地採用の人間を不幸な職場事故で亡くしても
月本円10万円の見舞金ですむ命の値段が安い所と
もし、業務中に亡くなってしまう可能性のある作業を
指示しようとしただけで、パワーハラスメントと指摘され
リスク管理のできない無能な管理職と判定されて
即、解任されてしまう所
とが違うように職場のリスク管理に関する常識も違います
我が社に必要とされる社員として働きたければ、
レベルの高い労働者でなければなりません
有能と判定されるためにレベルアップが必須です
まず、皆さんのレベルは現在
社内制度が9段階ある内のレベル9と設定されています
そのレベル9の社内制度、待遇と
レベル8に待遇変更する昇格試験、必要実績についての
資料を配布するので、よく読んで下さい
もし、この待遇に不服なのであれば
同業他社に転職してもらって構いません
ただし、その場合、同業者内で共有している
労働者データベースに、職務経験の無い
現時点までの研修中記録だけが登録されます
それが、どういう事か良く考えてから
不服申し立てをして下さい。」
しばし、休憩をはさんで説明が再開される
「レベル9の社内制度待遇となる君達の処遇を説明します
伝統ある我社の神京本社所属という社内制度待遇になるのは
レベル3以上の能力と判断された社員です
なので本社で働きたければ
職務把握能力や職務遂行能力を
マジカ太平洋事業部の海外現地子会社などで
向上させる必要があります
レベル9では
担当職務範囲を能力別に狭めた年棒制契約で
担当職務が遂行できなかった時点で契約解除される
麦国企業などが実施している契約社員制度に基づいた
雇用契約となります
会社がやれと言った職務を遂行できれば
年棒が増額となり在籍し続けられますが
直前半年、前年の業績が悪ければ年棒は下がります
職務遂行能力が職務遂行必須レベルに到達していない
と判断された場合は契約解除となります
会社に適応できない常態で、会社に在籍しても
会社にとって不幸ですし皆さんにとっても不幸な事です
格上に判定された勝者が熱狂的に讃えられ、
格下に判定された負け犬は激しく罵倒を浴びる
麦国が中心になった自由競争社会では当たり前です
競争で負け犬になった人間には
会社や世間は優しくありません
皆さんには、より一層のレベルアップを期待します。
以上で説明を終わります。」
秘密保持契約などの色んな契約書や誓約書にサインすると
鄭国首都ブルース行き飛行機チケットが渡された。
チケットが渡される時に、また少しだけ説明。
「指示した通り、全員パスポートは用意してありますよね。
皆さんが所属する事になった会社は
24年前のマジカ金融危機で経営危機に陥り麦国企業に買収
16年前にカメリアで発生した不動産債権投資破綻による
大規模金融危機で経営状態が壊滅状態になり
我社が資本参加して救済する事になった鄭国金融関連企業です。
今は我々の海外金融子会社内の鄭国支社ですが・・
そこに所属して貰う事になりました皆さんは、
現地では、月本語は話さないようにして下さい
現地の鄭国語は話せないでしょうから無理だとして、
社内公用語は世界的に公用語とされているギリス語です
ジンガポールではセクハラ発言やセクハラ行為をしたら
警察に通報され逮捕、裁判沙汰になるのが当たり前ですが
それと同じレベルでセクハラは、即 裁判沙汰になります
高額な罰金を払わされたり投獄され社会的に抹殺されます
また現地マフィアの手下が脅迫するために
誘惑させる異性を準備している事もありますので
職務に専念して、セクハラになりそうな異性との交流などは
しない方が身のためです
部署に配属されたら理解できると思いますが、
特に御年輩の鄭国人らしき人物がいたら
月本語の名前も名乗らないで下さい。
現地名を用意するので、その名前で仕事して下さい
鄭国系カメリア人という設定で連絡報告をして貰います
後は全て現地に行ってから、どんな仕事なのかとか
実際に自分で行って体験して仕事をしながら理解して下さい
月本訛りのギリス語を話すと不都合が生じる場合があります
昔、月本で差別される経験をしてから鄭国へ帰国した鄭国人で
地元の同業者団体に所属する事になった関係者がいる席で
そういった月本訛りのギリス語を話した場合、
相手が差別された苦しみを思い出し
”同じ苦しみを味あわせてやる”という感情を抱えて
トラブルに発展する事が以前あったので気をつけて下さい
日常会話の月本訛りギリス語を整理した資料があるので
午前中は、その資料を読んで訛りを直す事に専念して下さい
どうしても直せそうにない人は話さないようにするために
メールで業務連絡をするようにして下さい」
・・・
説明していた人が昼休みに雑談
「10月1日の朝、何人ぐらいが空港まで来ると思う?」
「え? 全員、来るんじゃないですか?」
「いや、御家柄のいいボンボン御嬢様とかもいるだろ
その御両親に配属先を今夜、報告するとしてさ
本人は鄭国で頑張りたいと言っても何を言うだろうな?
同族会社でマジカ地域に事業展開している一族のボンボンとか
若い頃は大企業で勉強させて、ある年齢になったら
地域密着同業者団体で同族会社を経営している一族に
戻るんだろうから、その時に使えそうな手下探し
親は社会勉強で入社試験受けたんじゃないかって感じだしな
なのに海外しかも・・・あんな国に行かされる・・・
明日とかに有無を言わさず親が退職願いを持ってきて
同族会社に無理やり連れ戻すかもしれないなー」
「あー そうですねー 何人か居ましたもんね。
有名大企業に就職できたから、親族からは自立するんだと
張り切っている感じの イイとこの お坊ちゃま」
「まあ、あんな所へ行かされる待遇じゃなくて良かったですよ」
「でも 反月本政権だった時に行かされた
4年前の新人君たちよりはマシなんじゃないの?
一応は親月本政権な大統領に政権交代したから」
「でも 地域によっては危険地帯も ありますよね?」
「イカサマありの博打をガラの悪い博徒とやった後じゃな
帰国して同じ事をやったら犯罪者になってしまう世界に
慣れ過ぎて頭の切り替えができないのもいるんだろーな」
「え? 予防策とかは・・」
「ねーよ。んなもん。全て自己責任って事で」
「んでも、なんでマフィア企業舎弟とか言われる
妖しい世界の住人と関わらないといけないんでしょうね」
「その昔、軍事政権時代、陸軍出身の大佐派が
マフィア化してなくて大統領私設自警団だった頃から
産業用金属鉱山とかを支配して
役人とも癒着しているらしいから
関わらざるをえないんだろ
陸軍出身と海軍出身に政党が分裂して
交代に大統領を輩出すんのはいいけど
大統領が変わるたびに野党落ちした側のマフィアを
与党側が弾圧して、報復が報復を、復讐が復讐を
憎しみが憎しみを招いて
弾圧する側とされる側が入れ替わるだけの抗争の繰り返し
政権交代するたびに特定交渉してた人間を
入れ替えないと危険なくらいだからな
そういやあ直前の政権交代で
鄭国交渉仕事から引き上げた人が言ってたけど
今、闇で暗躍してるのは野党落ちした元陸軍マフィアらしい
現政権の大統領が元海軍トップの関係者で
”元海軍大統領私設自警団”と関わっていたから」
「前の大統領って検察出身ですよね闇組織と関わらないでしょ?」
「マフィアは酒とか観光地娯楽を扱う企業舎弟を抱えていてな
前の大統領になってから一番売上を伸ばしたのは鄭国産ビール
その次が鄭国国内観光地。原因は大統領の発言。
今の大統領が海軍関係にいた時の関係者が
水産会社の大企業経営者
その途端に海洋汚染問題を持ち出して
月本産 水産物の輸入禁止で国内産のみが鄭国内に流通
これだけでも理解できんだろ?
マフィア資金源を最高権力者が確保するのが当たり前なんだよ
独裁政権とかの国じゃ良くある話だけど
一応は先進国になってる国で現存するのは異常って言えば異常
とはいえ、大統領の在任中は絶対的な権力があるから
客観的に見るとマフィアの企業舎弟に見えても、
海運や陸運の公共事業に関する職務を担当する
大統領の関係会社って事で存在し続けんのが当たり前なんだろ」
「でも、絶対的な権力の反動で退任して権力が無くなった時
それまでの権力者が犯罪者にされたり自殺に追い込まれたり
そんな事態が繰り返されるって異常ですよねー」
「鄭国なんて行った事もないし仕事で世間話を聞くだけだから
本当の所は知らないけど どこでも権力争いは あるからな
というか、あれでも平和的に政権交代されるようになった方だろ
1963年から1979年まで続いた軍事政権大統領の終焉なんか
鄭国版スパイ組織一派による大統領暗殺だったからな
よっぽど誰かだか、どこかの国にとって都合が悪かったんだろう
その長期政権になった大統領の政策の何かが
それから45年、実際は単なる実行指示犯だった
1980年に着任した大統領が裁判で黒幕だったとして
犯罪者になった時からも25年くらい
流石に、もう、あそこまで過激な内乱は無いだろうけど
結構、最近まで武力制圧や暗殺が当たり前にあった国だからな」
・・・
10月1日、指定された空港に集合
鄭国の空港に到着すると現地の人々が待ち受けていて
配属される部署別に行き先を振り分けられ
プサムだかという港町にある部署に行くように指示される。
プサムに向かう鄭国国内線の飛行機や列車を乗り継ぎ
意外に到着時間は早く、午後には配属先事業所に到着
到着初日のテレビ電話会議、麦国西海岸では9月30日の夜
退社する前らしき東マジカ統括担当管理職がスピーチ
俺が御前等のボスなんだからな言う事を聞けよって感じの
麦国西海岸訛りギリス語がBGMのようにに流れた後、締め言葉
「昔、私が東マジカである年金資金運用業務をしていた時の事だ
現地採用社員に我々としては少額な金額の運用を任せた
市場環境要因が悪化しての下がり始めた時に高く買わされ
底値低迷中、”意地と面子と自分の正しさ主張”でホールド
騰がりはじめにイーブンのプラマイ・ゼロで決済売り
営業が集金してきた保険料を我慢するためだけに使用した
そこで取扱い金額を10分の1にして、
本当に大した事のないプレッシャーの無い取引金額にしてみた
不思議な事に時間と金の無駄遣いをやめてくれた
東マジカ地域の人々には例外なく、こういった傾向がある。
この10月から新しく配属になった君達に
そういう東マジカ地域住人の群集心理による発想に
囚われている自覚は無いだろうから
我々が留意点をまとめた資料を読んで理解して
どうすれば勝ち組企業となれるかを考えて欲しい」
続いてプサム事業所の偉い人の挨拶
「君達は見習いの契約社員です
無能と判定された時点で契約解除になります
先ほど配布した資料には、麦国東海岸の伝統ある大企業に
西海岸の新興企業が勝利を収めた成功体験が書かれています
我社が競争を生き抜くのに必要な人材となるには何が必要か?
同業他社と競争で絞り込む要素は何であるべきなのか?
なども並行して書いてありますが
資料を読んで考えるだけではなく業務を担当してもらう中で
実際に発生する出来事の方が色々と教えてくれると思います
資料は過去の記録で、未来の予言書ではないので
必ず未来に再現されるわけでは ありません。
しかし何も知らない人間が、経験による先入観を一切持たないで
業務に就いた方が仕事が効率良い。というワケでは無いので
商慣習、礼儀、業務用語などを勉強してもらいます
中途採用の同業他社から移って来られた方々にも
我社内での常識を再度勉強してもらいます。
来年3月度末までの業績査定で最初の社内格付けが決まります
我が部署は、人口350万人ほどのプサム地域で活動する
他地域の事業所に比べると小さな事業所ですが
大きな事業所にして社内格付けを高いレベルへと引き上げ
”凄いなあ あの事業所にいたんですか”と
他部署の方々に羨まれるような部署にするために
日々、努力しましょう」
・・・
始めてのプサムでの金曜日、
月本国内と同じかと思っていたが違っていた。
午後3時に今週限りで解雇される人間に契約解除メールが送信
不要と判定された人々が、私物をまとめて社外へ出ていく
来週も残れる事が決まった人間は安堵の表情を浮かべているが
いつものように職務に必要な会話だけが響き
夕方になると週末に誰の家でのホームパーティーに
誰が行くかの話が少しずつ始まる
国内出稼ぎで平日だけプサムにいる特定作業職人さんとかが
金曜午前中まででプサム郊外の地方都市に帰る事とか
金曜の午前中までに作業項目的には区切りをつけているのは
こういうワケだったのかと納得
ココでの直属の上司に午後3時過ぎに話しかけられ
現地駐在員の社宅 兼 ホームパーティーに行く事になっていて
関係者に紹介するから、どんな態度で何を話すつもりかを
午後4時半までにメールに書いて送ってこいと言われた。
挨拶としては、こういう文言を言って自己紹介を少しだけして
後は相手の言っている事を聞いていようと考えています
というような内容のメールを送ると定型文がメール転送され
今夜、会うのは以下の人々なので全員にレスをつけて
メール送信してくれと指示されて、言われた通りに送信
夜、会場に到着してからは直属の上司の後ろに
黙ってついていって参加者会話の聞き役になった
ホームパーティーは、ゲストルームで仮眠をとったりしている内
延長戦に次ぐ延長戦で、日曜、カメリア野球プレーオフが
映っている時間になっても終わらなかった。
しばらく滞在する社宅もパーティー会場と同じ敷地内にあるので
金曜夜、土曜夜と荷物置き場状態の自分の部屋と言われた所に
眠りに戻った以外は、ほとんどの時間そこにいて
日曜午前中までは内輪のポーカー会場になっていた。
・・・
鄭国時間の火曜朝、麦国西海岸時間の月曜午後
毎週定例の週初めテレビ電話会議
画面に麦国西海岸にいる管理職が映し出され
こっちの会議室にいる管理職が司会者のような感じで
報告やら業務連絡やら部署間相談事項などが語られ
会議前に参加する全員へと事前配布された資料を見ながら
淡々とした感じで議事が進んでいく。
その日、モニタの向こう側の管理職が、
あまり仕事優先順位とかを理解していないと感じたのか
関わっている客に関する質疑応答を混ざる事にしたらしい。
細かい事にまで文句が多くて対処に時間がかかるわりに
金にならない客に時間と労力をかけるのは無駄だが
一応は客なので、どう対応するべきなのか?
それとは逆に、
金になる展開が見込まれ優先する客への対応は?
この二点についての質疑応答
そんな事は業務用AIの知識ベースに登録されているから
今更、口頭で語るような事ではないと言う人から
暑っ苦しく情熱的に、一番有効なのは、このやり方だ
と強く自分の意見を主張するのまで
各地の管理職の意見が出ていく。
一応は参加して聞いてはいるものの実際の所
名前が出てくる会社について何を知っているわけでもなく
理解できるのは文句だけ多くて無料サービスでやれと言う
時間をかけるのが無駄な経費節減策をとる会社への悪口スラング
”刺激の強い悪口は万国共通言語なのかもしれないなあ”
などと くだらない事を思いつく内に会議終了
そして一週間が過ぎて先週と同じように
鄭国時間 土曜朝10時、カメリア西海岸の本社時間が
金曜夕方5時になるまで酒好きオヤジが集まって
鬱憤晴らし話をしながらの飲み会、そしてポーカー
テレビでは麦国野球プレーオフ、ネイション・リーグ優勝決定戦
大都市下町のガラの悪いスラングを話すのとか
農業地帯の上品とは言えない言葉を話すのに別れて
応援合戦になっている。
最近になって、この州じゃ合法になった
スポーツ・ベッティングで自分の賭けたチームが
勝つ事を信じている事もあるのだろうか
えらく下品で馬鹿な博打狂いが言うような単語が響いている
リーグチャンピオンが決定する頃には
ポーカーやスポーツ・ベッティングを続行できるほどに
金が残っている人は少なくなり
勝ち残った人と、”勝ち逃げされてたまるか”
と顔に書いてあるような損をしている数人とが
濁ったような空気を熟成させていた。
・・・
翌週の月曜、確認作業を現地協力会社の親方に任せて、
”検討会”だかという会議に一応参加しろと指示された
去年までの前例投資案件で、何が問題かの検討が延々と続く
呪文のような報告や、その報告への指摘やらが繰り返される内に
居眠りしてしまい上司に起こされ、凄い顔で睨まれる
作業項目単位の細かい所は下々の者どもで対処しろ
という話しになったのかと思ったら
信用問題に発展しそうな前例があったらしく。
その前例で去年まで偉かった人を蹴落とせたらしい管理職が
大声で前任者の事を非難し対応策としての決定事項が大事だ
というような自画自賛の俺様演説が開始
そんな感じのが繰り返されクドクドと語られた後
麦国大統領選挙で決まった新大統領の経済政策に沿った
来年2月15日の新規投資案件についてと
新規投資額と同額の投資資金を既存投資案件の
どこから、どう回収するかの検討
といった検討項目が開始。
偉い人は、誰もが抱えている投資案件を縮小したくないらしい。
”全体の投資資金回収率を下げているのは
お前の抱えている未来の無い投資案件のせいだ
今すぐ完全撤収して投資資金を引き上げろ”
といった感じの、不毛な言い合いが延々と続く。
結局は、偉い社内政治家といった感じの大先生と取り巻きの
最大派閥グループが多数決で撤収する投資資金回収案件が決定
それなら、最初からダラダラと議論しないで
最初から多数決をとればいいでしょ?とも思えたが、
それを聞いたら一応は検討して報告書作成する商習慣なので
それは前例通りに検討されるのが当たり前らしい。
・・・
11月2日、土曜日、来週からの作業準備をする人々が
会社に来るので、その立ち合い
「御依頼の通りに この ”ユ・ソンデス外交”には
12年前、1麦ドルが750鄭国ウォンだった頃に
購入した麦国債権を組み入れた投資案件から
今年、1麦ドルが1500鄭国ウォンになってから
購入した麦国債権を組み入れた投資案件まで
国際通貨の麦ドルとの為替差益を調整可能なヘッジ機能
紛争地域の発生による地政学リスク調整から
関連国の軍需産業などまでを
調査員の方による報告で、毎週・毎月の調整作業が
可能にする随時入力パラメーターを
御依頼の通り追加してあります。
また ”ユ・ソンデス運用”には、御依頼の通り
基本的に鄭国年金運用機関を設立した50年前から
数年におよび発生した
鄭国ウォン安 麦ドル高および
資源国での戦争によるインフレで
年金原資の価値が物価比較で目減りしたが
数値上は市場指数高騰に伴い利鞘が騰がった時と
同じ手口を基本設定としました
ですのでデータベースの手口開始トリガーとなる
市場環境要因なども当時有効だったものと
同様のものが設定されています
・・・・(中略)・・・・
では今まで依頼された経緯と初期設定の経緯を確認の上
設置確認済書類にサインを頂けた事ですし我々は引き揚げます
WEBアプリや常駐監視サーバーなどとの連携作業要員として
この者を常駐させますので、何か疑問などがある場合には
この者に何でも聞いてください。」
開発コード名が ”ユ・ソンデス外交”とか
”ユ・ソンデス運用”とか呼ばれるコンピュータが運び込まれ
PC、スマホからアクセスできるかの確認作業と並行して
システム屋さんの内輪で偉い人らしき人物が管理職に説明
動かすための人が来週月曜日から来る事を上司から聞かされる。
そして時は過ぎて3週間後の金曜日、
「いやあ 申し訳ございません。一週間で終了させるはずが
結局、2週間 さらに問題が発生して追加対処で3週間
しかも、遅れを取り戻すために、2週目から土日返上
仮眠室を部外者利用させてもらっての24時間通し作業に
協力してもらう事になりまして、お手数をおかけしました。
ですが、悪意を持った部外者からの攻撃感知および対応
ブラウザ・ハイジャックや セッション・ハイジャック
などの乗っ取り行為からの防御
パスワード暗号化・複合化ロジック探査による
パシワード盗用攻撃防御
社外秘データへの閲覧許可を取得している人物の操作監視
業務上横領が可能な決済業務をしている担当者監視
テレワークになった事による
同居家族などからの情報漏洩に関する前例公開機能
遠隔操作ソフト機能強化版を悪用しての端末乗っ取り防止
本人確認・決済実行権限者確認などが厳密では無く
操作性の簡易さが優先されている機能が悪用されて
不正決済されてしまった場合の決済強制停止
御依頼のありました段階的提供の第一弾作業の確認項目が
今度こそ完了しましたので、引き揚げます。
11月25日に続いて、12月2日の月曜日に
5年連結決算と連動した事業年度計画に関する
重要な会議というか打ち合わせがあるという事ですよね
その御多忙な中、直属の上司の方々からの指示とはいえ
11月29日の昼まで我々との共同作業に
従事させてしまして心苦しく思っております。
管理職の方から指示のあった形式での報告書は
電子媒体で作成してメールで送付済ですので
会議準備の方へと 御戻り下さい。
では、また何かございましたら宜しく御願いいたします。」
作業終了の挨拶をしてSI作業統括責任者のオッサンが
部下を連れて引き揚げていく・・・・疲れた・・・・
まさか、こんな膨大な量の確認作業や確認作業結果を、
こんな少人数で検証しなきゃならないとは・・・
不具合発生のたびにゼロから検証のやり直し
ほどんど不眠不休に近い。もう限界・・・・
はーーーーーーーーーーーーーーーあ。
とにかく疲れた。眠りたい。
また同じような作業指示がきたら
現地採用の誰かに押し付けて逃げたい・・・