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イマジナリー・ビジネス  作者: 中山恵一
16/16

Vol. 16 トレーディング・プレイス


 あっという間に鄭国内の世論が反転。今迄、親月本派というか親麦国派だった大統領が弾劾された。まるで月本との資本関係が、この2年で固まったから、変国との提携関係も壊さないように調整しようとしたかのようだ。


 鄭国に常駐している麦国軍の統括司令官が海軍出身から陸軍出身に交代。同時に鄭国の防衛大臣から、元軍人マフィア企業舎弟まで、主流派罰だったのと対抗派閥だったのを入れ替わった。まるで、どこかの国が国内で片方が絶対的に勝利して、外国への攻撃の眼を向けないようにさせているかのようだ。


 まあ、そんなこんなで、今まで、テッコンドー柔道ファンドを担当していた人々が月本に帰国する事になって送別会が開かれ、来週にはテッコンドー・カンフーファンドを担当する人々の歓迎会だ。


「ロアシ国債に投資した分が市場取引価格がゼロになった分を取り返すぞお」


「イススワル関連に1000億って金を投げている分も巨額損失が出るかもしれないから、その分も取り返すぞお」


などと勇ましい掛け声をかけての飲み会だった。



 テッコンドー・カンフーファンドを担当する人間が月本国民だと、カンフー部分の担当者が、歴史問題とか戦争中賠償問題だけを言って交渉に応じなくなるので、カンフー部分の交渉担当になる鄭国民も新規に配属になった。


 それと並行して基本運用ポリシーをハナフダ3と同じに調整。今回も同じような時期に世界同時株安が発生するだろう。というような発想から、運用ポリシーを統一するわけなのだが。毎回、想う。別にバラバラでも、いいんじゃないかな。とも。今迄、4年間メインだったマカラという名称に変更されたイデンと同じにしてあったポリシーも入れ替え。


 一番、大きいのがエネルギー政策ポリシー部分。クリーン・エネルギー産業の投資金額を縮小、逆に昔ながらの石油・石炭産業などのオールド・エコノミーへの投資案件を拡張させるわけなので、結構な変更作業だ。


 軍需産業にしても、今まで海軍関連で深海資源採掘のための遠隔操縦ロボット開発グループに優秀なエンジニアを配属していたのを。陸軍関連での地上部隊用の夜間ステルス偵察ドローンや、地続きの隣国と係争状態な地域防衛のためのデジタル兵器開発グループに優秀なエンジニアを配属。


 今まで海軍の軍需産業関連の仕事をしていた人々で内輪の権力争いに勝利した産業ピラミッドの上部を除いて、大量に同じような民需産業に流出した。

 来年から、その民需産業の同業者団体内で熾烈な生き残り競争が開始されて、繁栄する勝ち組企業と、淘汰される負け組企業が選別されていく展開になると予想して、勝ち組企業になりそうな会社へ賭けるギャンブルが開始されたワケだ。


 そんなシナリオが発生する前提で、投資判断サーバーの基本設定作業がされていく。何事も無ければ、既に完了している予定だったのが、来年2月15日までに第一次段階を完了させるというように予定が大幅に変更になった。



・・・



 それにしても、初期設定が80年前の戦争中という、当時月本と同盟関係にあった国関連のビール酒ファンド。いまだに同じ40年サイクルで運用しているのは不思議とはいえ、不思議だ。


 その頃に投資内容やルールが固まったので、その頃に普及したガソリン自動車、アナログ音響設備に関連した会社の株や社債。そういった会社が企業城下町を抱える地方の地方債。


 同業者団体内に根付いた常識や礼儀は、古典芸能のような親方職人世界のモノ。国内に閉じているワケでは無くて、どちらかというと自動車にしても、音響設備から軍用携帯電話、モバイル機器と変遷したメーカーにしても、輸出産業で、麦国、変国への輸出で外貨を稼いでいる会社ばかり。


 経営層資本が、国内巨大財閥資本か、麦国グローバル外資か、国内同業者連合共済金融資本か、変国グローバル外資か、で違うだけな親方職人世界なので、マネージメントとか経営基本管理ってジャンルでは麦国から数十年遅れた後進国。


 今、現在はシェア競争をするグループで大統領支援団体な、麦国グローバル外資が優勢になっている。今回の政変で麦国グローバル外資と変国グローバル外資のシェアが入れ替わりになるという予想での投資案件が採用されていく。


 そんなわけで、12月第3週の日曜日だってのに送付されてくる内示メールには、[ 指示待ち解除案件 ]とメール表題に書かれた、入れ替わり前提な内容のものが大量に飛び交っている。日曜日だというのに、こんな対処が必要になったのは、大統領弾劾が土曜日に決定したからだ。


 状況次第で、どちらにも切り替えられるように準備していたが、経済政策の決定権を完全に片方が掌握するという前提で実行指示メールが飛び交って、投資判断サーバーへの組み込み準備作業開始


という事が、どのメールにも書かれている。


内輪の認識共有チャットには、色んなグチが書き込まれる。


 やっても、大統領弾劾が裁判所で覆された前提があるのに大丈夫なのか?


 暫定運用指示という名目には、なっているが、ほぼ決定だろ


 とはいえ、再逆転があるかもだから、ヘッジの賭け方が分厚いんであろうな


 頑張って、完了したぁーと思ったら想定外の事象が発生して、裏目負け方になるのは嫌だな


 まあ、誰しも、そう想う


 これで決定だーと思ったら、全てが覆されるってのは流石にキツイ。


 大統領が産業推進政策から軍需産業、外交から国内地方統治まで全てに決定権を持つという巨大な集中決定権保有者なので、大統領次第で、色んな偏りが発生するのが当たり前になっている国とはいえ・・なんだかなー



 そんな、チャット書き込みも、2016年以来の8年ぶりの大統領弾劾に関して、あーあ、またか・・という顔をするベテランから、「え? そんな国なの? この国」と驚く新人さんまで反応は色々だ。


・・・


 今回の投資判断サーバー設定変更作業、11月に来た時に概要を説明された、担当予定作業


・産業用金属の商品先物取引部分


・デジタル兵器部品関連企業の各種有価証券取引


・インフレ物価高スタグ新興国の国債や地方債取引


 この3つの内、デジタル兵器部品関連企業の各種有価証券取引に関する作業が、全面的に一旦、凍結され [ 指示待ち案件 ]となっていたのが、陸軍関連のデジタル兵器部品関連企業の各種有価証券取引を中心に投資するという決定で作業を進める事になった。


 さらに言えば、陸軍関連企業は月本企業と競合する業種が多く、月本企業への妨害工作に近い情報工作とか宣伝報道とかをするので、陸軍党が勝ってしまって与野党逆転する見込みなワケなので、月本国民な我々とかは来年2月頃から引き揚げましょうという事になった。


 その引き上げまでに鄭国ブサで、投資判断サーバーの運用作業をする人々と、運用作業指示書や、システム運行状況報告書とかの内容について詰める事となった。しばらくは、この国に来る事も無くなるわけだ。今週からは、親変国派な陸軍党に造形の深い人が増員されて、親麦国派な海軍党に造形の深い人々は日々、ブサから撤退して減っていくのだろう。


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