Vol. 15 クーデター
なんだかんだで4年前と同じように大統領選挙が開催され結果が出た。データセンターにある投資判断サーバーのメインはハナフダ3になり、今迄、4年間メインだったイデンがマカラという名前に名称変更されてサブ運用。運用金額とか、投資案件の数などはメインの方に重点が置かれ、サブは優先順位を下げられる事が関係者に公表され浸透していく。
それから一ヶ月もしない内に発生した事件により、作業内容が変更になった。
鄭国ブサにある投資判断サーバーは、去年、大々的に元陸軍マフィアと企業舎弟が中心の設定から
元海軍マフィアと企業舎弟・・いや海軍関係者と関連協力企業が中心の設定に切り替えた。ようするに軍需産業とか軍需産業部品も扱うグローバル企業とかが、鄭国では太平洋事業部と東マジカ事業部に分割され、太平洋事業部と海軍、東マジカ事業部と陸軍という感じで癒着、それぞれが支援政党をたてて権力争いを繰り広げているのが現状だ。
現大統領は海軍政党所属なので太平洋事業部と親麦国派だけが儲かる仕組みを優先する経済政策を選択して、地続きの大陸内に利権がある親変国派の東マジカ地域経済圏を主張する人々蔑ろにしていたら、不満を抱えた親変国派な陸軍政党の強硬派が謀略を企てて、それを成功してしまった。
どういう謀略かというと
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親麦国派の上層部な大統領側近と国防大臣側近に「変国と変国親密国に懐柔された政治家がクーデターを計画している」というデマを内通二重スパイに流させ、大統領権限で戒厳令を発令させる。
その非常事態を迅速に対応するのが、野党である親変国派な陸軍政党。過去に恐怖独裁政治で戒厳令を発令した大統領と同じ事をしようとした現大統領を弾劾して軍部上層部も解任。そして、正義の人という評価を受けた陸軍政党が選挙に負け少数与党となっている親麦国派な海軍政党を野党に墜とし、親変国派な陸軍政党が政権を奪取して親密外交国から経済政策および国内政策までを切り替える。ついでに現在、海軍出身の国防大臣に責任をとらせて解任して、陸軍出身の副大臣を国防大臣にする。
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そんなシナリオを企てて、その通りに事態が動いてしまっているらしい。
もし、親変国派な陸軍政党が政権を奪取したら、2年前から運用している投資案件のいくつかは実行不可能になり、東マジカ事業部での陸軍政党関連の投資案件が2年ぶりに復活する。そういう事のなったら結構な変更作業項目が追加される事になる。
親麦国派な海軍政党が、少数与党ではあるけれども、経済政策は現行のまま維持できる体制で延命できたら、今年度にも運用している投資案件の延長なので、そんなに変更作業が必要には、ならない。
そんなワケで、12月第二週の月曜日である本日の朝の指示メールは、[ 指示待ち案件 ]とメール表題に書かれたものが大量に飛び交っている。状況次第で、どちらにも切り替えられるように少しだけ準備して、経済政策の決定権を完全に片方が掌握した時点で、投資判断サーバーでの投資案件として登録
するように作業をする。という事が書かれているメールなのだけれども、やっても、やり直しになるかもと思うからか誰も準備作業を開始しない。頑張って、完了したぁーと思ったら、想定外の事象が発生して、再び、やり直しになりそうだと想っているからだろう。まあ、誰しも、そう想うものだ、出来たーと思ったら、全部やり直しってのは流石にキツイ。
恒例行事のようにクーデターで政権が交代している国みたいな事態が、一応は先進国って事になっている鄭国で発生するとは想定していなかったので結構に混乱している。
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今回の投資判断サーバー設定作業で11月に来た時に説明された担当予定作業は
・産業用金属の商品先物取引部分
・デジタル兵器部品関連企業の各種有価証券取引
・インフレ物価高スタグ新興国の国債や地方債取引
の3つだったのだが、この内、[ デジタル兵器部品関連企業の各種有価証券取引 ] に関する作業が、全面的に凍結され [ 指示待ち案件 ] となったので、以外の2作業を進めておく事になった。
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夕方、通常業務が終了した後、担当しているローカル・サーバー12号で、全面的に凍結された投資案件の訂正作業で、一番、手間暇がかかりそうな作業は、デジタル兵器部品関連企業の下請け企業の査定だ。
鄭国では政治と経済が癒着しているため、政商として大企業の経営者で政治家な人間が大勢いる。その中で誰の経営する会社が成長見込みがあるかを査定した資料から、大雑把に海軍党企業か、陸軍党企業かまでを分類して登録してあるのだが、下手したら有価証券取引対象を全面的に海軍関連企業から陸軍関連企業に切り替える作業が必要になるかもしれない。
さらに言えば、陸軍関連企業は月本企業と競合する業種が多いので、月本企業への妨害工作に近い情報工作とか宣伝報道とかをするので、陸軍党が勝ったら月本国民な我々とかは全員、引き揚げかもしれない。そうなったら、そうなったでいいのだけれど、月本の本社へ戻って作業指示書を書いて、遠隔操作で仕事をさせなけりゃならないのは、これは これで結構、大変だ。
さて、どっちが勝つのかな? 親麦国派な海軍党かな、親変国派な陸軍党かな。親変国派が勝つと予想している同僚は、もう月本への帰国準備をしている。よっぽど鄭国に嫌気がさしているのかもしれない。




