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イマジナリー・ビジネス  作者: 中山恵一
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Vol. 14 モノポリシー


 責任範囲が狭くなったとはいえ、順繰りに設定項目を考慮していくと・・・変えない方が良いというか変えたら大変な事象を招きそうな事もある。その一つが宗教的な倫理観だ。このローカル・サーバー12号の基本に設定されている倫理観ポリシーは麦国でクリスト教原理主義者が多くて歴代大統領も全員がクリスト教プロトタン派。いや、まあ一人例外がいてカソリク派の大統領も出現したがパレード中に派手に暗殺されたくらいで、プロトタンの倫理観が保守支配層とかに根強い地域のローカル・サーバーからパクってきたものなので、倫理観ポリシーはクリスト教プロトタン原理主義と言っても過言では無い。


 その一部を取り上げてみるとカソリクでは中絶が禁止されていて、産めよ増やせよが基本にあるので凄い子だくさんだらけで、プロトタンは家族計画や世帯の経済状態によっては中絶は必要としていて、両親の経済状態に応じた家族構成。というような部分。


 あー、少し、いやクドくなって面白くないな。自分でも我ながら話がつまらない奴だと思う。話しがクドくて学生に人気の無い宗教倫理学の大学教授様じゃないんだから単純に語ろう。カソリクは昔ながらの伝統的で保守的、プロトタンが革新的で先進的と言われる倫理観だ。


 まあ、とにもかくにも、このデータセンターがある地域もプロトタン原理主義者が多数派になっている国際都市なので。そこで当たり前になっている倫理観から外れた要素があると仕事に差し支える。変えるとしても、少なくとも設定作業手順書などはプロトタン倫理観に沿った表現で書かないと。作業する人が心理的に抵抗を抱えて読まなかったり、拒絶反応を抱えて理解しなかったりで、自分の倫理観で独自に解釈して、”何故に?そんな事をする”というような作業をしてしまう。いっその事、麦国で「試しに使ってみて不都合があったら、このユーザーサポートへ電話してくれよ。」とだけマニュアルに書いてあるソフトみたいにしてみたくなった・・・そうしたら電話対応が大変になるか・・・駄目だな。



・・・



 うーん、(゜-゜)ひとりごとのようなモノローグが長いなぁ・・・我ながらクドイ。性格がクドくてシツコイから仕方無いか・・・と想っていたら4年前の山本のように一緒に作業する若い人が配属された。ザイスタンとかいう国の軍需産業大学とかいう大学を卒業したばかりのオクガーとかいう男だ。ザイスタンのどんな地域にいたのかを世間話などで聞き出してみると。麦国サンデーゴみたいに巨大な海軍基地があって、軍用携帯電話から民需展開されたワイヤレスバレーみたいな軍需産業があって、デジタル兵器に必要なタンタルが産出される鉱山地帯があるという軍需産業企業の企業城下町のような地域だったらしい。そういう軍需産業世界の国際電子商取引とかに慣れているからなのだろう、軍需産業用語や交渉会話をペラペラに話せる。


「ここに来る直前には、どんな仕事をしてたんだ? 守秘義務契約があるだろうから話せる範囲でいいけど」


『んー、ミサイルAI、いや違うっすね一般的な言い方で言うと、同じ電子商取引をする同業他社攻略用AIの設定作業っすねー。どうしたら同業他社を攻略できるかとか、取引手口の裏をかけるかを判定するAIのレベルアップのための設定を毎日してたっす』


「へー、そーなんだ。市場シェアとかの奪い合い活動をAIに指示させてみると、どうなるかの実験みたいなもんか?」


『実験っすかーそうっすねー、言われてみれば、そう言える部分もあったかも・・・ですが人間が人力で営業推進や営業行動管理を経験と勘で選択するよりは市場シェアが大きくなったようっすよ。えーと、ですね、ところで、ここで作業するのに気をつける事って何かありますか?』


「ん? そうだなー、なるべく誰かの事を語るんじゃなくて自分の事を言った方が、いいかな? 誰かの事を見たとしても、自分にもある部分しか見ないし自分に無い部分は理解できないだろ? だから、誰かの事を言っているつもりで、いつのまにか自己紹介のように自分の事を言うだけになる奴が多いんだよ。同じ作業の繰り返しで疲れてくると特にな・・・一緒に作業をしている人の悪口を言っているつもりで自分の悪口を言うという変な奴になる可能性が高いから、それなら自分の宣伝を語るように自分の事を言っている方がマシだろ?」


『そうっすか? 大丈夫ですかねー、”自分の事ばかり言って身近な人間への配慮が無い” とか言い出す管理職いないですか? いないなら、そういう態度でも大丈夫でしょうけど、いた場合、”なんだ、このガキは態度が悪いなぁ” ってなりませんかぁ?』


「なんねーだろ。態度が悪いって言うとしたら、それは ”貴様の態度は偉い偉大なる上官の私の前でする態度では無い。直属の上司である少なくとも貴様よりは有能な私は気分が悪いぞ” てな意味で言うだけだろ。今時、そんな元兵隊、時代遅れだよな? いても短い間でサヨーナラだろうけど時代がお呼びじゃないから」


『そうっすかー・・・』


「ん? なんか、”偉大なる上官の私” とか "元兵隊" って単語を言った途端に妙な反応したなぁ? 何か謎の物体Xでも連想したか?」


『いやー、いましたからねー、昔いた所には学校教師にも親族にも、そういう元兵隊』


「もし、みかけても、今まで関わった、そういうのと同じだと思わない方がいいからな。そう判定して、たかをくくって、どうせ、こんな奴だろ。なら、こんな感じで接すればいいかぁって態度をとると、ここじゃ結構に大変な事になるからな」


『え?大変な事って?』


「下手すると、そういう奴等の遠隔操作イジメに、つきあわすだけ、つきあわされて仕事に影響が出る」


『え? 遠隔操作イジメ? なんすか? それ?』


「軍での行動管理をする管理職が、ここじゃ昔、偉くてな。昔はイジメじゃなくて兵隊行動管理とかだったんだろうけど。ロボット兵隊動作制御の世界になって必要無くなった。んでも管理職は、しょうもないイジメでもいいから残したがったらしくて、職場の常識として人間ドミノ倒しのように同じ馬鹿な真似をする奴が何故か偉くなってるから発生しているイジメ。」


『なんだーいるんですかー、やっぱー。どんな事を言うんすかねー』


「”こうしてみては、どうだろーか”、と部下に言って本当にそうして裏目に出たら。”誰が、そんな事をしろと言った? 有能な私は、そんな指示をしていない。全ては無能な貴様のせいだ” と言って自分の面子を守り。そう喚いた時点で失敗原因も裏目に出た状況も全てを忘れて、すぐに全く同じような面白半分指示を間違いと思わないでして裏目に出てー・・再現動画の繰り返し再生のように何度も何度も・・馬鹿げた堂々巡りの繰り返し・・・」


『なんでですか? なんで? そんな人が偉くなるんですか?』


「何故だろうなー、何故かは知らんが、そういう偉い管理職が何割かは発生するな。仕方ないんだ職業精神病みたいなもんだ。気づいても気にするな。」


『難しいっすねー、気づいても気にしない失礼にならない態度っすかー、でも頑張ってみまっす』


「そうか、まあ、短い間だと思うが一緒に頑張ろうな」


『はい、よろしく、御願いします』


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