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凛、元気になる


とある大学からの帰り道買い物して行こうと街をブラブラしていた。

少し前に広瀬達が歩いていて俺は例によって長浜のお守り。はぁ、最近岸本との絡みも少なくなってきた、こいつのお陰で……


隣では出店で買ったチョコクレープをもぐもぐと食べながら広瀬達を見続ける長浜。


「お前っていろいろと忙しい奴だな、主に広瀬関係で」


「当たり前じゃない、伶奈ちゃん何しでかすかわかんないもん。それにありがたく思いなさいよ? 私が伶奈ちゃん見張ってるって事はあんたにも利点あるでしょ?」


「まぁ一理ある」


ふと長浜の顔を見るとチョコが口の端に少し付いていた。ぷぷッ、普段俺に偉そうにしてるこいつに黙っていて恥でもかかそうか? と思ってると怪訝な顔で長浜が俺を睨む。


「その意地悪そうな顔は何? また私に何かしようとしてるでしょ!?」


しまった、顔に出ていたのか? はぁ、なんか企んでるのがバレたのなら面白くない。あ、でも待てよ? 少し動揺させて広瀬を揺さぶってみるか。


俺は出来るだけ真剣な表情を作って見せて長浜に言う。


「長浜、ちょっといいか?」


「何?」


俺は人差し指で長浜の唇に触れそのままなぞってチョコを拭き取った。


「何してんのよ!?変態ッ!セクハラ! 」


長浜は口元を押さえ急いで俺から離れる。長浜の声がデカいせいで周りからなんだ?と思われたけど仕方ない。


「いやぁ、長浜の唇が色っぽくてついさ」


「こ、このスケベ! むっつり!」


長浜は耳まで真っ赤にさせてそう言った。くそ、こんな所で言われると俺まで恥ずかしくなってくるけど、どうだ広瀬? お前の長浜また俺に弄ばれてるぞ? とチラッと見てやる。


あれ? いらっしゃらないんですが……?


「おい……」


「何よ!? このバカ!」


「広瀬達は?」


「え?」


長浜も俺の目線に方向をやってキョロキョロ辺りを見回すが広瀬達の姿はない。ひょっとして…… いや、そうでなくても今の俺達のやり取り全然聞こえてなくてついてきてるもんだと思って広瀬達はどこか先に行ってしまったか?


マジかよ!? 広瀬はどうでもいいけど岸本はどこだよ!?


「おい! お前ずっと見張ってたんならあいつらどこ行ったんだよ!?」


「はぁ? あんたのせいで見失ったわよ! 本当にあんたって余計な事しかしないんだから!」


「いいから騒いでないで探すぞ」


「誰のせいだと思ってんのよ!?」


俺達は広瀬達を探すが結構人混みが多くなってしまったのでなかなか見つからない。というか今頃俺達が居ないのに気付いてあっちも探してすれ違いなんてならないよな? すると横から……



「あれあれぇ? もしかして凛ちゃん?」


「え? もしかして柚さん? て事はそっちの子は新村君?」


「そぉ! 超久し振りじゃん!髪切ったの?うん、今の髪型の方が似合ってるねぇ!」


そう言って長浜の知り合いらしき女は長浜のおでこをパシパシと軽く叩いた。


「な、なんでおでこ触るの!?」


長浜は少し後ずさっておでこを押さえる。


「あははッ、相変わらず凛ちゃんは可愛いなって思って。ていうか凛ちゃん彼氏変えたの? 結構カッコいいじゃん」


「ああ、これはただの知り合いの柊君。あ、柊君、こちらは朝日奈柚さんと新村啓君」


俺の事これ呼ばわりかよ? ふざけんなし…… てか啓君って事はこいつ男?


「あ、啓ちゃんは男の子だから勘違いしないように!」


朝日奈とやらが俺にそう言う。マジで? こんな女にしか見えない奴いるんだ?と少し驚いた。 てかこいつもこいつでムスッとした態度だな。


「それとね、私と啓ちゃん結婚する事になりましたぁ!」


「ええ!? そうなの? あの、おめでとう」


「いや、今通ってる大学卒業して俺が就職してからだろ? 気が早いんだよ柚は」


「だってだって! もう啓ちゃんの親も公認なんだし何も私達の邪魔するものないんだもん、啓ちゃん愛してる!」


そう言って朝日奈は新村をギューっと抱きしめる、その光景を長浜は羨ましそうに見ていた。


「じゃあ私達はそろそろ行くね?結婚式には凛ちゃん呼ぶから来てね!」


そして朝日奈達は街の中へ行ってしまった。長浜は小さくいいなぁと呟く。広瀬との結婚でも妄想しているのだろうか?


「凛! どこ行ってたんだよ?」


しばらくしてようやく広瀬達が俺らを見つけた。


「瑛太はぐれちゃってごめんなさい、探した?」


「当たり前じゃない、凛ちゃん達急に居なくなってるんだもん」


岸本もホッとしたようにそう言った。そしてその日はファミレスで食事を摂り解散となった。





そして次の日……


「よし! 決めた!!」


隣に居た長浜が何かを決意したように言う。なんかやるぞと言う気合を込めているようだった。


「何が?」


「こんなウジウジしてるの私らしくないよね? だから瑛太も気にして私の事避けてるんだ」


「え? そうかなぁ?」


「そうだよ、だって私話しかけ辛かったような気もするし瑛太もあれじゃ私も話しかけ辛いもん!」


長浜はそうに違いないとよくわからない根拠で自分に言い聞かせているように俺に話す。


まぁ俺とのノリで話せばいいんじゃないか? とは思っていたけど俺との場合だとこいつ本当に容赦ないからな。


「て事で私瑛太の所に行ってくるね!」


長浜はそう言って広瀬と岸本の所へ行った。その様子をしばらく観察してみる。急に来た長浜に広瀬は少し驚いていたが長浜は距離をグッと狭め岸本を押す勢いだ。


岸本はそんな長浜を見て何故か喜んでいる。 岸本からしたら邪魔者だろうに。


そうしてその時間の講義が終わると凛は戻ってきた。


「せっかくいい感じで居たのになんで戻ってくるんだよ?」


「だって久し振りに瑛太にくっついて緊張しちゃったんだもん。ドキドキしすぎて体持たないよ」


なんて言って惚気てきやがった。


「お前ら付き合いたてのカップルかよ?」


「へへー、いいでしょ?」


長浜はニカッと笑って見せた。それは久し振りに広瀬と付き合ってた頃のような笑顔を見せた長浜だった。


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