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その8



そして何日か過ぎた頃こんな事が耳に入ってきた。違うクラスを通った時凛の名前が出てきたので俺は反射的に隠れてしまった。


「俺後で長浜呼び出して告ろうかな?」


「マジで? 長浜はレベル高過ぎだろ〜、あいつ今までOKした事ねぇだろ」


「わかんねぇじゃん、たまたまタイプじゃないってだけかもしんねぇし」


「いや、そうじゃなくてさ、なんだっけ? あ、広瀬って奴とべったりじゃん?」


「広瀬? 誰それ?」


「ほら、長浜の隣の席の奴だよ」


「ああ、見た事あるわ、そいつがどうかしたのか?」


「どう見ても広瀬の事好きだから断ってんじゃねぇのって事」


「ふぅん、まぁそんなのわかんねぇだろ?」


凛が俺の事好き? ああ、こいつら勘違いしてるな、凛は俺と岸本が上手くいくようにサポートしてるから俺にくっついてるだけであってそんな事はないはずだ。


「まぁ当たって砕けてみろよ? 長浜はいつも他に好きな人いるからって断るからさ」


まぁ凛は誰から見てもモテそうだからそんな事になっても仕方ないな。


そして昼休みになった途端その別のクラスの奴に呼び出されていった。

昼休みが終わる頃凛は戻ってきた。


「はぁ〜」


軽いため息を吐き凛は自分の席に座った。 理由はわかっていたがなんとなく聞いてみた。


「どうした? そんなにため息吐いて誰かに告白でもされたか?」


「あれ? 瑛太のくせにわかっちゃった?」


「失礼だな、俺のくせにってなんだよ?」


「あはは、ごめんね。 瑛太をバカにしてるわけじゃないんだよ? ただよくわかったなぁって思っただけ」


「まぁ凛はモテそうだからな、そりゃなんとなく察しもつくよ」


「え? 私って瑛太から見てもモテそう? どんなとこが?」


「どんなとこって……」


「あ〜、やっぱ適当な事言っただけなんだぁ? がっかりだな」


「いやいや、お前可愛いだろ? それに気が効くし優しいし」


「え!? そう思ってるの?瑛太」


何故か食い付いてきた凛は目を輝かせていた。


「お、おう……」


「フフッ、そうなんだぁ」


先程とは打って変わって喜んでいるから謎だ…… 喜怒哀楽が激しい奴だ。 と思ってるとまた凛の表情が暗くなってきた。


「そっかぁ、それなのになぁ……」


「どうしたんだよ?」


「ううん、告ってきた人が私のタイプじゃなくて残念だったなぁって事!」


「告られたからって自慢してんじゃねぇよ」


「もしさ、もしだよ? 私が告られてそれで私がOKして告られた相手から他の男と仲良くするなって言われたら私と瑛太友達じゃん? それってどうなるのかな?」


「なんだよそりゃ? う〜ん、でもまぁそりゃ彼氏の言う通りにした方が良いんじゃないの?」


「え〜? 瑛太はそれで良いの?」


「だって凛は友達だろ? その友達の俺が凛の事思ってないはずないだろ? だったら凛の為に俺は凛とは仲良くすべきじゃないんじゃないか?」


「そっか、そうなのかな? でもそれってなんか寂しいね……」


「お前もしもの話題で何そんなに落ち込んでんだよ?」


「どうしたの長浜さん、そんなに落ち込んで?」


岸本が話し掛けてきた、いきなりだったから心の準備が出来てない俺は焦ってしまった。


「…… えとね、瑛太に泣かされそう」


「え!?」


「はぁッ!?」


「なぁんて! 冗談冗談、岸本さん来るの見えたからからかっちゃった。 ごめん!」


それにしては目がマジそうだったからビックリしたじゃねぇか…… 女って怖いな。


「もぉ、長浜さんったら! 広瀬君がそんな事するはずないじゃん」


「いきなり変な事言うから俺まで焦ったじゃねぇか」


「2人して引っかかるなんてお似合いだね」


凛はケラケラと笑って俺と岸本をからかっていた。 こいつなりに頑張って俺達をくっつけようとしてるのかな?


「あ、ねぇねぇ! 広瀬君、今日私空いてるから例のカフェ行かない? 」


「岸本その話題してこないからてっきり忘れてると思ったら覚えてたのか」


「忘れるわけないじゃん! むしろ楽しみにしてたんだから」


「ああ、俺も楽しみにしてたよ。 じゃあ今日の放課後に行くか?」


「うん!」


そう言って岸本は去っていった。

すると凛が俺の事をジーッと見ていた。


「やったぜ! 凛、ついに岸本と行ける事になった」


「むぅ…… 私の時はそんな顔してくれないくせに、むしろ面倒そうにしてたくせに」


「なんだよその反応?」


「別に! その岸本さんへの反応のほんの少しでもいいから友達の私に向けてくれても良いのになって思っただけです!」


「そんなにムキにならんでも……」


「あー、やだやだ、ウキウキ気分で今日は岸本さんとデートに行くんだねぇ」


「で、デートって…… これってデートなのか?」


「デートじゃなかったら何よ? 私がそう思ってるからデートじゃない?」


「凛からしてみればデートなのか、そう言われるとますます緊張してきた」


「そんなに心配なら…… わ、私もついていってあげようか?」


「はぁ!? なんだよそりゃ? 聞いたことないぞ?」


「う、うん。 私もそんな事言った事ないんもん……」


「てかそんなのについてきてお前楽しいのか?」


「楽しいわけないじゃん、むしろ苦しいよ」


「なんで苦しいんだよ?」


「バカ! 私今日告ってきた相手を振っちゃったばかりなのよ? あー、私って本当バカ! 本当何もかもバカ!」


そう言って机に突っ伏した凛を見てそこまで後悔するならいっそ告白OKして彼氏を作ればいいと思ってしまった。


「ねぇ、上手く行くといいね……?」


「ああ、でも凛と行ってたお陰で初めてじゃない分気は楽かな」


「えへへ、初めてが私でよかったね?」


「なんかそれ変な風に聞こえるな」


「瑛太のエッチ! 何考えてんのよ」


「すぐ理解したお前もお前だな」


「うるさい! 私の苦労も知らないで」


「そうだな、凛は俺に付き合ってくれて感謝してるよ」


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