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凛との亀裂


「どうして瑛太ずっと電源切ってるの……」


私は何度掛けてもメッセージを入れてもうんともすんとも言わないスマホをベッドに投げつけた。

奈々ちゃんに聞いても家には帰ってないって言うし……


あの時バッタリとタイミング悪い所で瑛太と出くわしちゃって一瞬思考停止しちゃったのがいけなかった。柊君はあまりの間の悪さに謝ってくるしもう柊君を責めたって仕方ない。


取り敢えずやる事なす事全部が裏目に出ちゃってる。どうしてこうなっちゃうんだろ…… ついこの間まで私と瑛太には何も問題なかったのに。でもそう思ってたのは私だけで瑛太は柊君と私が仲良くしてるの見て思う所あったって事だよね。


私瑛太以外眼中になかったのに瑛太は私が柊君に惹かれてると思ったのかな? だったら私寂しいな、こんなに瑛太の事ばっかり考えてるのに……


「あ!」


私は瑛太が行きそうな所をひとつ思い出した。というか気付かないふりをしていた、だって出来れば行って欲しくないと思っていたから。


私は正直言って今の状態で電話したくないのでメッセージだけ入れた。そう、相手は伶奈ちゃんだ。伶奈ちゃんだったら瑛太が来たら絶対迎え入れる、瑛太が落ち込んでいたら尚更そう。


『瑛太そっちに行かなかった?』


簡潔に出来るだけ何事もないように伶奈ちゃんに聞いてみる。 返事はしばらく返ってこなかった。夕飯とか作ってるのかな? なんて思いながらソワソワしながら伶奈ちゃんの返事を待った。

そしてしばらくしてから伶奈ちゃんから返信が来た。


『ごめんね、夕飯とか作ってたりしたから気がつかなった、瑛太君なら来たよ。私の家で夕飯食べて帰ってったよ』


悪い方の考えが的中してしまった。瑛太はやっぱり伶奈ちゃんの家に行っていたんだ……


『瑛太の様子どうだった? それと瑛太連絡しても全然繋がらなくて』


『酷く落ち込んでたよ。理由は瑛太君から聞いたけど。連絡取れないってのは私にもわからないけど…… スマホも弄ってた様子なかったし』


も、もしかして瑛太私の事を避けてる?あれだけ連絡してわからないわけないもんね…… 私瑛太にそこまで嫌われた?


『ねぇ瑛太が来た時私の事なんて言ってた?』


『瑛太君かなり自信なくしてたよ、柊君に凛ちゃんが奪われるって。私はそんな事ないと思うし凛ちゃんは瑛太君しか好きじゃないよって言ったけど』


やっぱり瑛太誤解してる、伶奈ちゃんの言う通り私他の誰にも靡かないよ……


『瑛太君がそう思っちゃったのも最近柊君と仲良くしてたから瑛太君誤解しちゃったんだよね?それは凛ちゃんが悪い訳でもないしずっと柊君といがみ合っててもって瑛太君は思ってたみたいだけど瑛太君からしたら複雑だったみたい』


『私が迂闊だった。瑛太といつも一緒に居たのに』


『そうだよ』


伶奈ちゃんに窘められると思っていたけど短くそうだよと返事が来て一瞬戸惑う。


『ごめん』


『私は瑛太君と離れてからずっと瑛太君の事想っていたよ、私は瑛太君以外の男の子には振り向かないって決めたの。瑛太君の彼女は凛ちゃんなのにね、だけど凛ちゃんはいつも一緒に居るからって大丈夫と思って柊君の事で誤解されるような事になっちゃうなんて私からしてみたら本当に何してるの? そう思うよ』


『本当にそうだよね』


伶奈ちゃんの言葉が突き刺さる、伶奈ちゃんからしてみればそうだろう。やっぱり今日中に瑛太にちゃんと会って謝りたい。私を避けてるのかわからないけど瑛太の家に行けばもう戻ってるはずだよね……


私は伶奈ちゃんとのやり取りを終え、最後にもう1度瑛太に電話をしてみて決める事にした。 今度はちゃんと繋がった、だけどなかなか出てくれない。やっぱり私そこまで嫌われちゃったのかなって思った瞬間ようやく電話に出てくれた。


「……もしもし」


「瑛太ッ! ごめんね、さっきずっと掛けてたんだけど繋がらなくて。瑛太に謝りたくて…… だから今から瑛太の所に行ってもいいかな?」


「ごめん、今は会いたくない、ごめんな」


「え?」



そのまま通話がブツッと途切れた。私は瑛太なら会ってくれる、瑛太ならこんな私でもって思っていた。だけど突き放された…… ずっとこれからも瑛太と一緒だと思ってたのに。


嫌だよ瑛太、私を捨てないで…… 私の誠意が伝わらないならなんでもするから瑛太に捨てられたくない。


私はまた瑛太に電話を掛けたけどまた繋がらなくなってしまった。会いに行く? でも瑛太は私に会いたくないって。ここまで私嫌われたんだ、どうしたらいいの……









__________________________________________







「お兄ちゃん、凛さんから連絡来た?」


「ん? ああ」


奈々が本当に? としつこく問いかけてくるけど電話に出る事は出た。 だけどそれ以上は話せなかった。


俺は一体何をした? 伶奈の家で伶奈に。 冷静じゃなかった? だから伶奈をあの時後ろから抱きしめた時押し倒したのか?


伶奈は本当にいいの? と何度も何度も俺に言った、瑛太君がそうしたいなら私は拒まないけどと、ずっと諭すように伶奈は俺が間違いを犯すまで俺に問いかけ続けた。


そしてだったら私も最後まで瑛太君に付き合うよと伶奈は言ってくれた。 俺は伶奈がどうしてそこまで言ったのか事が済んでようやく理解した。


バカな俺はいくら打ちひしがれてたって凛に酷い裏切りをした。それに比べれば凛がしていた事なんて全然大した事ないじゃないか、なんで俺はそんな事くらいで凛は柊に靡かないって思わなかったんだ。


凛だけじゃない、伶奈にもだ。こんな事で伶奈への想いを遂げたって伶奈だって嬉しくないだろうに…… それなのに伶奈は俺に優しくて。


明日どうやって凛に顔を合わせる? 無理だ、合わせる顔がない。凛は出来るだけ俺に合わせるように時間を決めていた。


凛にも伶奈にも申し訳がなくて、だけど時間は過ぎていって何も導き出せないまま3人で笑っていた頃だけが俺の中を駆け巡っていた。


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