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その7


昼休みになり俺は弁当を食べようとしていると凛が俺を意味深な顔で見つめていた。


「なんだよ?」


「ちょっと前から思ってたんだけどさ、瑛太ってぼっち君なの?」


「ん? なんで?」


「お昼ご飯1人で食べてるんだもん」


「静かに食べたいだけだよ」


すると凛はニヤリと笑った。


「それはそれは大した心掛けだけど、 でもね、入学してから1ヶ月以上経ってるのに誰からもお誘いもないって事は瑛太って第1印象取っ付きにくい人だと思われてんじゃない?」


「ぐっ……」


図星だった、実は誰でもウェルカムなのだがどうしてこうなった? 状態に陥ってしまったけど今更だから仕方ないと思ってたのにこいつは……


「だったら私がご一緒してあげようか?」


「お前は友達といつも食べてるだろ? そいつらと食べればいいじゃん」


「私だって瑛太の友達でしょ?」


「…… まぁそりゃそうだけどさ」


「広瀬君」


すると後ろから声を掛けられた。 好きな人の声なのですぐわかった。 振り返るとやっぱり岸本だ。


「ん? どうかした岸本?」


「えっとね、あのね…… 私広瀬君と今日お弁当一緒に食べようかなって。 ダメかな? もしかして1人の方がいい?」


「え? い、いやいや、全然大丈夫! むしろ岸本なら大歓迎だけど?」


「ほんと!? よかった、じゃあ前の席借りるね」


「あ、ああ、どうぞ?」


「わ、私と全然反応が違う……」


ボソッと凛が呟いた。 あ、いくらなんでもだったかな…… 凛が思いの外がっかりしてるようなので俺も凛を誘い直した。


「えっと、凛も一緒だけどいいかな?」


「え? 全然いいよ、長浜さん食べよう?」


「あ、あ…… あの、その、やっぱ私はいいや、邪魔しちゃ悪いしね、無理言ってごめん瑛太」


「え? おい……」


そう言うと凛は申し訳なさそうにその場から立ち去ってしまった。 あ、そうか。 俺と岸本2人になるよう気を遣ったんだな……


「やっぱり私長浜さんに悪い事しちゃったかな?」


「え、 そんな事ないだろ?」


第一凛は俺と岸本が上手く行けるように取り計らってくれてるんだしこの展開はむしろ願ったりだろう。


「 広瀬君って長浜さんの事どう思ってる?」


「凛はいい奴だよ。 友達だ」


「友達……か、そうなんだよね」


「なんだよ急に?」


「ううん、広瀬君ってモテるんだなって」


「え? ど、どこがだよ?」


あまりに聞き慣れない事を言われたせいで若干どもってしまった。


「だって長浜さんあんなに可愛いし、広瀬君と仲良いし羨ましいなって」


「いやいや、俺なんかぼっちみたいなもんだしイケメンでもないしそりゃあり得ないって」


「そうかな? そんな事ないと思うけど……」


「俺からしてみたらそんな事言う岸本こそとても美人に見えるけど?」


「え、私が? やだ、広瀬君ったら…… 恥ずかしくてお弁当食べれないじゃん」


「あ、ごめん。 そんな事急に言っちゃってキモいよな」


「あ、ううん! 私広瀬君の事そんな風に思った事ないから」


なんだか慰め合いみたくなってしまって若干気まずい空気が流れる。

な、なんとか会話を…… こんな時凛がいたらなんて言うだろう?


すると岸本から話を振ってきた、全然ダメだな俺だけだと……


「あ、あのさ、さっき言ってたカフェの事なんだけどね。 あそこ人気だから結構混むらしいんだ、広瀬君そういうの大丈夫かな? って」


よかった、大丈夫そうな話題だ。 それにそれは経験済みだ!


「なんかそうらしいな、 待つとかわかってれば大丈夫だろ、30分ちょいくらいなら余裕だしな」


「良かったぁ、どんな美味し物あるか楽しみだねぇ」


「カレーとか美味しかったしな」


「え? 広瀬君行ったことあるの?」


あ、ヤバい。 誤爆った…… やっぱりこの場に凛もいてくれた方が良かったかもしれない。


「カレー好きなんだ、俺。 カフェだったらカレーとかあるよな?」


「ああ、うん、あると思うよ。 いつ行こうかなぁ、学校帰りとかでも平気?」


「あれ? 岸本こそ部活は? 」


「あ、私習い事とかやってるから部活やってないんだ。 だからその辺は融通きくかな。 岸本君こそ部活は?」


「俺、実は帰宅部」


「あははッ、だと思った! 」


そしてなんやかんやで岸本とのお昼は終わった。 しばらくすると凛が戻ってきた。 さっき俺と岸本の邪魔をしたと思ってるのか幾分元気がないような気がした。


「よう、凛お帰り」


「さっきは大丈夫だった?」


「いや、ちょっと危なかったかも。 カフェ行ったの言いそうになっちまった」


「もぉ、気をつけた方がいいよ? 私と最初に行ってましたなんて言ったら岸本さんショックじゃない」


「ああ、だから俺が変な事言わないように凛もあの場にいてくれたらよかったなぁってさ」


「え、 私いたら邪魔じゃない?」


「いや、全くそんな事ないだろ? 凛は俺に協力してくれてるし」


「ちょっとそう言われると嬉しい。 だけど瑛太はやっぱり女心がわかってないね」


「はいはい、俺には理解できないですよ、そんな俺にここまで協力するなんてお前も変わってるよなぁ」


「そっか、そうだよね。 無理ないか…… 瑛太だもんね! それに約束だし」


「ん? 約束?」


「ううん、なんでもない! それより例のカフェいつ行く事になったの?」


「行くには行くんだろうけど実はまだ決まってない」


「え〜? そこは瑛太がリードしてあげなよ」


「なんか岸本習い事とかあるみたいでさ、だから岸本の都合のいい日なんじゃね?」


「だったらいつ行くか決まったら私にも教えてね!」


「えぇ、教えるのかよ……」


「誰が瑛太にここまで協力してあげたかな? 」


「はいはい、凛様です」


「わかればよろしい!」


まったく凛は相変わらずだなと思ったが凛と話すのは俺にとっては楽しい時間だ。 岸本と話すのも楽しかった。 それにドキドキした、恋愛してるんだな俺もって感じた時間だった。

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