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伶奈と凛と瑛太と……


めでたく? 新年を迎えて次の日俺達は初売りなどに興じる事なく俺の部屋に凛、伶奈がお邪魔していた。 ぶっちゃけ初売りとかに行きたいとか言われなくて良かった。


俺はあんな人がごった返す所に行くなんてごめんだからなぁ。 大体並ぶのが辛い、お得だからと言ってあんな行列にしかも寒い中待つなんて耐えられない。


テレビを付けると初売りなど行列を作っている映像が流れてくるが気がしれないなぁという感じで観ている。


「食い入る様に観ちゃって。 もしかして瑛太も初売り行きたかったの?」


「いや、よくあんなに並ぶなぁと思って観てたんだよ。 前行ったカフェくらいなら別になんともないけどあそこまでの行列に加わるのは嫌だなぁって」


「うーん、私もせっかく瑛太君達に会いに来たのに初売りとか行って時間潰すのも嫌だしこうしてるのが1番いいかな、なんてったって瑛太君とまったりできるし」


その伶奈の言葉に凛は若干ヒクヒクしながらも同意する。 まぁ伶奈は隙あらばという感じを隠す気ないしな、 なんか伶奈って少し変わったな。


最初の頃なんか少し控えめでおとなしい性格なんだなって思ってたけどそれが変わったのは告白した頃かな。だけど離れてから更に積極的になったな。


「じゃあ今日は1日瑛太君に寄り添っちゃおっかなぁ。 ねぇ瑛太君!」


「私の瑛太なんだけど!? 伶奈ちゃんは放っておいて私と一緒にまったりしようね瑛太」






________________________________________










ヤバい、この感じだと伶奈ちゃんに本当に瑛太を奪われそう…… 伶奈ちゃん本気だ。 なかなか会えないから伶奈ちゃんは押しが強くなっている、自分が居ない間は任せるけど居る時は遠慮なんかしないって事よね。


私だってこのまま引き下がるなんて出来ないしそもそも瑛太は私の彼氏だもん!

それには…… もう瑛太を押し倒すしかないや。 彼女の特権だしいいよね? という考えに至ってしまった。


瑛太にベッタリしている伶奈ちゃんをどうやって引き離そう? そしてどうやってそんなシチュエーションに持って行こう? ボーッとテレビを眺めながら私は考える。


それに伶奈ちゃんって私の家に泊まっているからそんな暇なんてないよね……

うーん、何かいい感じに誤魔化す方法ないのかしら? ふと考え事に夢中でチラッと伶奈ちゃんを見るといつの間にか瑛太の顔を自分の胸に押し当てて抱いている…………


「え!? どうしてこうなった?」


「あれ? 凛ちゃんにこのままくっついちゃっていいのかなぁ? って確認したら『うん』ってしっかり言ってたじゃないの」


それはうーんと唸っていただけなのでは? ていうか瑛太もちょっとは抵抗しなさいよ! と瑛太をジトッと睨むと瑛太もマズいと思ったのかジタバタし始める。 もぉ〜! 遅いよ反応が……


そりゃあ伶奈ちゃんは久し振りに会いに来たからってのはあるだろうけど私の瑛太なんだからしっかりしてよねぇ。


「フフッ、暴れちゃダメだよ瑛太君」


「もうこれ以上はダメーッ!」


瑛太だって男の子だ、それを伶奈ちゃんはあんなに自分の体に触らせたら瑛太も思わず反応しちゃうかもしれない。 そういうのは私でして欲しいのに。


あれ? でももしかして普段瑛太にベッタリしてた私よりなかなか会えない伶奈ちゃんにくっつかれた方が新鮮で私なんかより反応しちゃうんじゃあ…… ダメダメ! そんなネガテイブ思考じゃ。瑛太は私を選んでくれたんだもん、わざわざ好きな伶奈ちゃんまで断って。


でも2人きりになれる時間がないのよねぇ。まぁでも伶奈ちゃんを泊めたのは私だし、うーん、どうしたものか……


あ、そうだ! 伶奈ちゃんを私の家に置いておいて瑛太の家に私は行く。 ダメね、そんな事したら私だってなんか怪しいって思っちゃうもん。


「瑛太君! 今日は瑛太君の家に泊まりたいなぁ」


「え!? まぁ休みだし問題ないと思うけど、いや、問題っちゃ問題あるけど。凛、どうする?」


「じゃあ私も瑛太の家に泊まる!」


凄い、話がどんどん伶奈ちゃんによって進められていく。 私が考え事していて黙っていたからだけど……

伶奈ちゃんこのままじゃ瑛太を襲っちゃいそうだし。 目を離すわけにもいかない。でも伶奈ちゃんも同じ気持ちだろうなぁ。


あー! 瑛太の家には奈々ちゃんっていう心強い味方がいたんだった。 私は奈々ちゃんの部屋に行きノックをして入る。


「凛さん、どうかしたの?」


「奈々ちゃん今日ね、私と伶奈ちゃん瑛太の家に泊まる事になったんだけどさ、私が少しでも目を離すと伶奈ちゃん瑛太に何するかわからないのよ。 だからその間伶奈ちゃんを見張って欲しいなぁなんて……」


そう言った瞬間奈々ちゃんは顔を引攣らせた。 え? 私何か不味い事でも言ったかなと思うがそもそもこの頼み事自体がとても面倒なのだ。


「あ、あはは、凛さんごめんなさい。私凛さんの応援してるけど切羽詰まるとお兄ちゃん私に助けを求めてくるから」


あー、初詣の時かと思い出した。 あの時瑛太は私と伶奈ちゃんに迫られたので困って奈々ちゃんで逃げようとしてたんだ。私と伶奈ちゃんは言い合いしていてそれ所じゃなかったけど……


「あ、でも凛さん付き合って結構時間も経ってるし……例えばお兄ちゃんと一緒にお風呂でも入っちゃえば?」


「あ!」


その手があったかと私は思った。 そうそう、まずは私の裸に慣れてもらってからね! と思ったけどそれはそれで私も恥ずかしいし何より心の準備が…… 押し倒そうと思っていたけど一緒にお風呂って全部一石二鳥で済んじゃうんじゃないかってくらいだ。


「奈々ちゃんどうしよう? 私緊張してきちゃった……」


「え? 例えばだよ、例えば! 何も即試してみてなんて言ったつもりもないけど。 それにうちの家族いるから一緒にお風呂なんて夜中くらいしか入れないと思うよ? 無理ってわけでもないけど」


「それもそうか、夜中かぁ……」


「凛さん実行するつもりなの? 伶奈さんいるから厳しいんじゃないの?」


だよねぇ、私もそうだし伶奈ちゃんもそうだろうけど瑛太に目を光らせてる状態じゃ邪魔されたり邪魔したりで終わりだよね……


というか今この状況だと私部屋にいないから更に危ない事しているんじゃないかと私は思い瑛太の部屋に引き返す。

急いでドアを開けると案の定伶奈ちゃんに迫られている瑛太がいた。


「あ、凛ちゃんお帰り。 もうちょっとゆっくりしててくれてもよかったのに」


「もう! 本当に油断も隙もないんだから。 ゆっくりしてたら瑛太襲われちゃいそうだし。 ねぇ瑛太!」


「ぐっ…… 俺は何もするつもりなかったんだけど」


「酷い瑛太君、私には何も感じてくれなくなったの?」


そう言われて瑛太はアタフタしてるけど伶奈ちゃんがここまで狡猾だなんて……

まだ伶奈ちゃんが居た頃もしこんな感じなら私の協力や瑛太が頑張る事なく伶奈ちゃんの方から瑛太を落としていただろう。


改めて離れて瑛太への想いが強くなったんだなぁと私は感じた。 私にとってはまだ瑛太がいるのが当たり前で離れて行くなんて想像もつかないのだから……



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