表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/90

その64


クリスマスが過ぎて伶奈が来る日になった。 今年のクリスマスは朝日奈の事が引っかかりそれを気にしながらのクリスマスだったが新村の願いが通じたのか朝日奈は無事に目を覚ましたようだ。


良かったな、新村、朝日奈。凛は昨日から俺の家に泊まっている。凛も朝日奈が目を覚ましたのを聞いてとても喜んでいた。


俺と凛はペアリングを買った。俺と凛だけのつもりだったんだけどなんでか伶奈の分まで買ってしまった。選んでいる時俺と凛はこのリングが良いと即決したのだが俺と凛は何か感じたのか同時に伶奈にもこれ買おうか?と2人で言っていた。


「これって伶奈にも渡して良いと思うか?」


「どうなんだろ……? 私もなんかあの時伶奈ちゃんにって思ったし。良いんじゃないかな?」


俺達は3人一緒にいすぎて切り離せなくなっちゃったのかな? 凛もそうらしく伶奈も一緒というのが未だに抜けないらしい。


そして朝8時を過ぎた頃俺の部屋のドアがノックされる。ガチャッと音がしてそ〜ッとドアが開くと奈々がこっそりと顔を出した。


「なんだよ奈々? いけない物でも見るような顔して」


「だ、だって2人ともいきなり裸だったらと思って」


その言葉に俺と凛は驚いて顔を見合わせる。 何言い出すんだ奈々の奴……


「な、奈々ちゃん、変な事言わないでよ、た、確かに私と瑛太はそんな仲だけど」


「や、やっぱりそんな仲だったんだ!?」


「落ち着けよ凛、余計変な事言ってるぞ? 奈々もそんな事ばっか考えてんじゃねぇよ」


「だってクリスマスにする事っていったら……」


クリスマスにする事がそんな事なんて…… みんなしてるのか? いやいや、まだ俺と凛には早いと思って凛を見ると俺の手を握って顔を真っ赤にさせている。


「おい奈々、冷やかしに来たのかよ?」


「だってお兄ちゃんいつもクリスマスは一緒に祝ってたのに今年は違ったからなんか変な感じで……」


「奈々ちゃんひょっとして寂しかったんじゃない?」


凛は俺の耳元でこっそりそう呟いた。 いつも俺の事ディスってばかりいた奈々がそんな事思うのか?


「なんだよ? 奈々も一緒にいたかったのか?」


試しにそう聞いてみると……


「はぁ? なんでお兄ちゃんなんかと!? 私も凛ちゃんと一緒に祝いたかったの!」


ほら、思った通り…… そう言って奈々は凛の手を引き俺から引き離して自分の部屋へと連れて行った。 朝から騒がしい奴だな。 凛の言う通りだったら少しは可愛いとこあるのになって思ったのに。


伶奈が来る時間は10時の電車で来るって言ったからもう少し時間あるなと思いベッドに寝転ぶ。


先程奈々の言った言葉を思い出す。俺と凛にはまだ早いと思ったけどする時ってやっぱするんだよな…… なんの準備もしてないし俺って未経験だし。 凛だってそのはずだよな?


朝からなんて事考えてんだ、伶奈だって今日来るのに。 ふと伶奈にプレゼントしようと買ったリングを手に取る。 伶奈ってまだ俺の事好きなのかな?


転校して伶奈の事だ、かなりモテてるに違いない。俺なんかよりよっぽどいい人はいるだろうし、もしかしたらもう好きな人も出来てるかもしれない。俺らからこんなリングなんて貰って嬉しいのだろうか?


1人でベッドで寝転び考えていると朝早くに起きたせいか再び睡魔が襲ってきて俺の意識はそこで途切れた。




ん? 何か柔らかな感触が口元に当たり目を覚ます。 目を開けると凛が俺にキスをしていた。


「あ、瑛太……」


凛は俺の両手を押さえていて顔を赤らめて言う。


「さっきの奈々ちゃんの言った事どう思った?」


「え、どうって?」


「瑛太はそ、その……私と…… したいって思う?」


「へ!?」


凛は言っててかなり恥ずかしいのか顔を俺の胸元に埋める。 そんな事言われても何も用意はしてないしいきなりなわけで俺は……


「わ、私瑛太がしたいなら…… い、いつだって。 てか瑛太じゃないと…………」


「あのー、凛さん。 ドア開いてますけど?」


「え!?」


開いたドアから奈々が今度は本当にいけない物を見る目で見ていた。 しかもこの体勢、凛が俺を襲おうとしているようにしか見えないので凛は慌てて離れる。


「わわっ! い、今のは瑛太の自制心を試してただけだからね! 奈々ちゃん!」


なんかそんな感じの台詞久し振りに聞いたぞ? てかいくら奈々でもそんなんじゃ誤魔化されないだろ……


「へぇ、聞いてたのがまだ私で良かったよ。 気を付けてね、お兄ちゃん、凛さん」


奈々はニヤニヤしながらドアをバタンと閉めた。 なんか今日奈々と顔を合わせるのが気不味くなったぞ……


時計を見るともう9時半になっていた。ちょうどいい時間になったので俺と凛は駅に伶奈を迎えに行く準備をする。 先程の事もあってか凛はまだ顔が赤い。


「凛、まだ気にしてんのか?」


俺は恥ずかしがっている凛の頬に手をやると凛は顔を押し付けた。


「バカ…… 瑛太の意気地なし」


凛は頬を膨らませ俺に抱きつく。 変な所は大胆なくせに、変な所は恥ずかしがり屋だ。 でもそんな凛がたまらなく可愛く見える。


「私、さっきの言った事は本気なんですからね!」


「うん、そう思ってくれていて俺凄く嬉しいよ」


「そう言ってすぐ誤魔化すんだから! でも瑛太のそんな意気地なしな所も可愛くて好きなの」


「え? 」


「だから瑛太が誰かさんに襲われる前に私が襲っちゃおうかな? なぁんて」


バシッと凛に背中を叩かれた。 ほら、もう行く時間だよと時計を指した。ヤバい、伶奈との待ち合わせに遅れないようにしないと。そして俺と凛は家を出て駅に向かった。


「なんか2ヶ月くらいなのに凄く伶奈ちゃんと久し振りに会うみたい」


「まぁあれだけ一緒にいて2ヶ月も会ってないって結構長いと思うぞ?」


「伶奈ちゃん元気にしてるかな?」


「伶奈ってかなりモテそうだからもう好きな人とか彼氏とか出来たかな?」


「うーん、伶奈ちゃんはモテると思うけどまだ瑛太の事好きだと思うよ?」


「そうなのか?」


「女の勘!」


女の勘は男には全くわからないんだけど…… 電車が着く前に駅に着いたのでベンチに座っていると程なくして伶奈が載っているであろう電車が来た。

あれに伶奈が乗ってるんだ、久し振りに会うせいか俺は少し緊張していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ