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その62


朝目が覚めると気分はスッキリしていた。 瑛太君や凛ちゃんと話したお陰なのかな?


昨日までの暗い気持ちが吹き飛んでいる。 私ってつくづくあの2人の事好きなんだな……


朝食を食べ学校へ行く支度を終えた頃インターホンが鳴る。


「伶奈ーッ! お友達が来てるわよ?」


「え?」


誰だろう? と思ったけどすぐ思い出した。 昨日美香に一緒に登校しようと言われてたんだ。 友達か、こんなに早く私と仲良くしてくれる人が居て良かったなって思う。


急いで玄関へ向かうと美香がニッコリして私を迎えた。


「お! 今日も可愛いね」


「朝一からお世辞はよしてよ」


「ちょっとぉ〜、伶奈が言うと嫌味にしか聞こえないよ?」


すると美香の少し後ろから人影が動く。なんだろう?と思い顔を出すと柊君だった。


「おはよう」


ボソッと顔を合わせずに挨拶された。うーん、柊君って私の事苦手なのかな? 目も合わせてくれないし。 やっぱり私の所に寄るの面倒かな?


「柊君おはよう!」


そう思ったけどせっかく来てくれたので私は笑顔で柊君に挨拶した。 でもやっぱり何かよそよそしい。


「柊! あんたそんな態度じゃ伶奈に嫌われちゃうよ?」


「は!? 何言ってんだよ? さっさと行くぞ!」


柊君はそう言って前を歩く。 美香、あんまり余計な事言って怒らせない方がいいと思うけどと思ったけど美香は何故かニヤニヤしている。


「そぉいや伶奈今日は元気いいね、何かいい事あった?」


「へ?」


「え? そうなの?」


美香の問いに思わず間抜けな声が出てしまった。 私昨日とそんなに違うのかな? 何故か柊君まで反応してるし……


「やっぱり何かいい事あったんでしょ? 教えなさいよぉ!」


「んー、大した事じゃないけど。 前の高校の友達と冬休み遊びに行くねって約束したくらいかなぁ」


「え!? 何々? それって男? てか彼氏!?」


「お、男の人もいるけど友達だよ」


美香の予想外の食い付きに少し引き気味に答える。 彼氏って言えないのが寂しいなぁと感じてしまう。


「怪しい…… その気分の上がり様は男の中に好きな人がいるね?」


美香が疑うような視線で私を見てくる、そしてその視線の後ろから柊君の視線も感じる。 私そんな変な事言ってないのに…… それでも尚踏み込んでくるので仕方なく答える。


「う、うん。 それはあるかも」


「え? そんな人いるの!?」


美香ではなく柊君に即つっこまれる。 柊君にどんな人か事細かく聞かれた、あれ? 柊君ってこんなに喋る人だったっけ? と思ったけど美香には普通に話してるし……


早く冬休みにならないかなぁ、私はすっかり寒空になった空を見上げる。 瑛太君達も今頃学校だよね? 隣には凛ちゃんがいるのかな……






___________________________________________











伶奈が引っ越して行って1ヶ月以上が過ぎた。 伶奈はコツコツと連絡をくれていた。 凛にもよく連絡を取っていた。


「もう少しで伶奈ちゃんと会えるねぇ」


「そうだなぁ、もう冬休みだし」


「あ! そういえばいつ来るんだろ?」


「まだあっちでも決まってないんじゃないか? それにお金だってかかるしなぁ、結構離れてるっぽいし」


「あ! お金と言えば柚さんに返す分ようやく貯まったんだぁ、瑛太にも工面してくれてありがとね」


「伶奈や凛の為なんだから当たり前だろ? それに大体は凛が出してたんだから気にするなよ」


朝日奈から借りたお金もクリスマス前には返せるし、凛もホッとしたろう。 後腐れなく今日のうちに返しとくのがいいだろう。


「朝日奈に連絡しといたら? 今日返しとかないか?」


「そうだね、早いほうがいいよね」


そして凛は朝日奈に連絡を入れるが返事が来ないので仕方なく鮎川に相談した。


「ああ柚? 私にも最近連絡ないのよねぇ、新村君との邪魔されたくないのかしら? 良かったら私が届けようか?」


「そうなんだ? じゃあ鈴菜さん、お願いしていい?」


「任せなさいって!」


朝日奈の件は鮎川に任せて俺達は新しく出来たモールを見に行く。 俺は興味がないのだが凛が行ってみたいと言っているからまぁ仕方なくだ。


電車で街の方へ凛と向かう。凛はやたらベッタリとくっついてくるので少し恥ずかしいけど凛曰くずっと我慢してたからその反動だそうだ……


凛は前に自分で言ってた通り結構嫉妬深かった。伶奈との事は俺が伶奈の事が好きだった事もあってか、はたまたライバル発言のせいなのか、かなり大目に見てたんだろう。


今の凛の注意は橋本に向かっている。伶奈が居なくなった穴を埋めるように橋本が俺のもとへ来るようになったのだ。


橋本の場合は俺の恋人になりたいとかそういう理由じゃなくてただ単に仲良くなりたいだけだと思うけど凛からは俺は何もわかってないと一喝されてしまった。


たまに橋本の巨乳に目を奪われてしまう事があっても条件反射みたいなもので気持ちが行ってるわけではないのにな、まぁそれが凛を不安にさせているんだったら直さなきゃな。


「ねぇ瑛太、チューしよ?」


「おい、電車の中なんだけど? 向かいに人がいるだろ?」


スキンシップもなんだか過激になってきた。 バカップルってこの事か? それとも経験がない俺がそんな事に免疫ないだけか?


「冗談だよ、こんなとこでしたらバカップルに見えちゃうじゃん」


「いや、だったらもう少し俺と距離とれよ? こんなにベッタリしてたら変わらないだろ?」


「それはダメ! 私が唯一落ち着ける時間なんだから」


こんな調子で最近は凛がどこでも俺に抱きついてくるけど俺もそんなに好かれてる事は嫌ではなく凛といると落ち着くのは確かだ。そして凛が俺の肩で寝落ちしそうになっていると駅に着いた。


「凛、起きてるか?」


「ん? もう着いたの? ふぁ〜」


凛がとても眠たそうに欠伸をする。 こんな状態でも行きたいんだろうか? 試しに今日やめとく?と聞くと首をブンブン振り、やっぱり行きたいらしい。


そして目的の場所に着く。 やっぱり結構デカい…… ていうか伶奈が帰ってきたらまた行く羽目になりそうだ。


「おっきいねぇ〜!」


「見て回るだけで疲れそうだな……」


まぁ何しに来たかくらいわかってる。服を見に来たのだろう。こういう時いつも思うけどお金ないのに見るだけとかって意味あるか? と思うけどそこら辺は思考回路が違うんだろな。


「あ〜、そんな嫌そうな顔しない! ちょっと見るだけだし、瑛太の服も似合いそうなの見てあげるよ。ここはブランドばかりじゃないし」


「なら今日は何か買って行こうかな」


そして凛と一緒に服を見て回る。相変わらず俺の選ぶ服はことごとくダサい判定を受けたが下手にカッコよくなるよりはマシと意味不明な事を言われ好きなの選んでいいよと言われた。 どっちなんだよ……


「あはは、やっぱり微妙なの選ぶね瑛太は」


「もしこんな微妙な服着たら俺と一緒に歩けるか? お前めちゃくちゃ笑ってんじゃん」


「大丈夫大丈夫! 私瑛太にそんな格好良さとか求めてないもん。 瑛太だからいいんじゃない」


褒められてるのかよくわかんないけど俺自身の事が好きって事なのかな。 伶奈もいつだったかそんな事言ってくれたな。 すっかり寒くなった空はもう暗く雪でも降りそうな雰囲気だ。


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