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その49



私は鈴菜。私は次の授業に出る為に廊下に出た所あの3人の姿を見た。

凛ちゃんと伶奈ちゃん、それに広瀬君。相変わらず2人を連れているんだな。


あんまりパッとしないけどモテるじゃない。 顔はそんなに悪くもないしだけど凄くイケメンってわけでもないし。

でもあの2人といつまであんなお遊び続ける気なんだろう? と思った。


広瀬君意外と遊び人なのかな? 2人を弄んでいるんじゃない? と思われても仕方ないよそれじゃあ。 現に広瀬君みたいな普通の男子が美女2人にいい顔してるとそんな噂も聞こえてくる。


私の友達の柚はようやく新村君とよりを戻したらしい。 今までは柚からの猛アタックだったけど最終的には新村君が柚に告白し直したそうだ。


でも柚は幼い時の経験からかなり病んでたからそれで幸せなまま新村君と心中しようとして刃傷沙汰になったのはそれはそれで大変だったろうけどそれでも柚としっかり向き合って受け止めた新村君は女の子みたいな顔して結構男らしい所はあるんだねって見直した、さすが柚と私を好きにさせただけあるねって。


でも広瀬君からは何も感じない。 少し接してみたけれど私は広瀬君よりあの2人にはもっと相応しい人がいるんじゃないかな? って考えてしまう。


余計なお節介だと思うけど…… でも2人が広瀬君の事を好きになったんならもう盲目的なんだろうね。 なんて私が偉そうに語る事でもないけどさ。


そんなある日広瀬君が1人で屋上に向かう所を見かけたので私は話し掛けた。


「やっほー、広瀬君。1人で屋上で黄昏るつもり?」


「ああ、鮎川か」


「ソワソワしてるけどどうかしたの?」


「ちょっとな……」


「もしかして浮気? あの2人がいるのにいけないんだぁ」


「いや、そんなんじゃなくて…… 先輩に呼び出されたんだよ」


「女の子の?」


「普通に男だけど」


「ふぅん、果たし合い?」


「なんでそうなるんだよ? …… でもなんかあるんだろうな」


そう言って広瀬君は屋上に行ってしまった。 それから少しして凛ちゃんと伶奈ちゃんとあともう1人、急に可愛くなった橋本水希ちゃんだ。


「瑛太ったらどこ行ったんだろう?」


凛ちゃんが心配そうにしているので私は広瀬君が屋上に1人で行ったよって教えてあげた。


「え? 1人で屋上…… 瑛太告白でもされるのかな?」


「ううん、先輩の男子に呼ばれたらしいよ? 広瀬君も少しソワソワしてたし」


「もしかして……」


凛ちゃんと水希ちゃんが顔を見合わせた。 何か心当たりあるんだろう、私の直感では。 というよりあの広瀬君とこの2人の反応ですぐ察せた、ああ、そういう事かって。


そして3人は屋上の方へ向かっていった。私も野次馬根性が出てしまい跡を追った。こっそりと屋上のドアの隙間からその光景を見ていた。


やっぱ広瀬君は先輩から殴られていた。新村君にも確かこんな事あったんだっけ? 新村君は自分でなんとかしたらしいけど広瀬君にはそんな器量はないようで女の子3人に逆に守られていた。


うーん、かっこ悪いよ広瀬君。 でもそんな広瀬君を大事にしてくれるその子達を大切にしないとね!


なんて思ってたら先輩が勢いよく私の方へ迫って来たので私は急いでドアを閉め階段を降りる。 危なかったぁ。


そして更に数日経った頃凛ちゃんとトイレで遭遇した。 私は凛ちゃんには興味があった。私には少し遠慮がちだけど凛ちゃんは私から見ても可愛くて明るくてとってもいい子なんだもん、凛ちゃんとなら仲良くなれそうなんて勝手に思ってた。


「ねぇねぇ凛ちゃん、私気になってたんだけどどうして広瀬君なの? バカにしてるんじゃないよ、ただなんでそこまで好きなんだろう? って気になったの」


そう言うと凛ちゃんは少し困ったような感じだった。 言いたくないような事なのかな? と思ったけど私がどうしてどうしてとしつこく聞いたらようやく教えてくれた。


なんだ、そういう事か、そんな時の事をずっと思ってて広瀬君を好きでいる凛ちゃんはとっても一途でいい子なんだねって再確認した。


「てか広瀬君鈍感にも程があるんじゃない? 気付かないのかな?」


「うん、そうなんだ。私は私であの時は少し地味で眼鏡とか掛けてたし印象違うのかも」


「あ、そうなんだ? じゃあ凛ちゃんまたもとに戻してみたらおもいだすんじゃない?」


「別にそこまでして思い出して欲しくもないしそんなん引っ張ってこなくても瑛太には今の私を好きになってもらいたいってのもあるし」


「へぇ、凛ちゃん真面目だね! 広瀬君にはもったいないなぁ」


「あー、瑛太の事バカにしてないって鈴菜さん言ったのに!」


広瀬君の事悪く言うとこんなにムッとしているって事は本気で好きなんだなぁ。


「ごめんごめん、今更だけどそれなのになんで伶奈ちゃんも広瀬君とあんなに仲良くしてるの? もしかして2人で半分こにしてるの?」


「そ、それはね。 ちょっとややこしくて……」


それから凛ちゃんにもろもろと聞いたけどなんか文化祭後にどっちかを決めるらしい。それがもし広瀬君の提案だったらお前何様? ってなるけど伶奈ちゃんからだったら仕方ないかな、話によると正々堂々と凛ちゃんに勝負仕掛けてるみたいだし。


でも悪いけど広瀬君がどっちを取るか少し楽しみなとこもあるよね。まぁ所詮私にとっては他人事か。


文化祭後って事はもう1ヶ月くらいだしどっちを取るとしても後の事考えると凛ちゃんも結構気不味いような気もするけど伶奈ちゃんはそうならないと思ってるなんて見た目頭良さそうな伶奈ちゃんだったらわかるはずなのにな。


とりあえずそんな好きになれる人がいて私は少し凛ちゃんが羨ましいな。関係はちょっと複雑だけど。


私も新村君がいいなって思ってるけど新村君はもう柚のものだし新村君ももはや柚を手放す気もない気がするし。 ジーッと凛ちゃんをそんな眼差しで見てると凛ちゃんが不安そうに言ってきた。


「鈴菜さん、今の事は瑛太に言っちゃダメだよ?」


「わかってるって! そんなに私言いふらしそう? そんな事したら凛ちゃんに嫌われそうだからしないよ」


「なら良かったぁ」


ん〜、文化祭終わった後なら私は柚のとこと文化祭被ってたからそっちに行ってから戻って来れば結果はわかるよねぇって凛ちゃんが隣にいるのにゲスい事考えてちゃいけないいけない!


「凛ちゃんが広瀬君と付き合えたら伶奈ちゃんとも友達でいられる? 気不味くならない?」


「私それ考えてたんだけど今のこの感じ悪くないなってたまに思っちゃう事あるんだ。伶奈ちゃんが瑛太とくっつくのはやっぱりムカつくんだけどでも伶奈ちゃんどこか優しくて。 伶奈ちゃんがいるからって所もあって……なんか言ってる事おかしいけど」


「そっかぁ、なんだかんだ言って凛ちゃんは伶奈ちゃんの事認めてるんだ」


「そうかも…… だから瑛太が私を選んでくれたら嬉しいけど伶奈ちゃんはどうなるんだろう?って思うんだ。でも私より伶奈ちゃんが好きかもしれないしよくわかんないよね」


「そうだね、てか凛ちゃん青春してるねぇ、羨ましいぞ! 私男運ないからなぁ」


「鈴菜さん凄く綺麗だからいい人絶対寄ってくるよ。 瑛太はダメだけど!」


私ももっと広瀬君と深く関われば凛ちゃん達みたいに好きになるんだろうか? でもそうなったらいろんな意味でもっと困るよね。


凛ちゃんはともかく伶奈ちゃんもそれにあの感じだと水希ちゃんまで好きにならせるなんて私が何も感じないだけなのかもしれない。最初に新村君をいいなって思っちゃったからなのかな?

考えてみたら普通の恋愛ってあんまりしてないなぁ、商売だったしね今まで。


凛ちゃん達はいろいろ悩んでるみたいだけど私にはそれ自体がある事が羨ましいなって思ってしまった。


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