その45
そして終業式が終わり夏休みに入った。
夏休みの間瑛太とたまに伶奈ちゃんも込みで遊んでいると鈴菜さんから連絡が入った。
私はすっかり忘れていたので鈴菜さんからの連絡でようやく思い出した。
「凛ちゃん、前話してた事覚えてた?」
「う、うん。覚えてた!」
「あ、その反応忘れてたでしょ〜?」
「あはは……」
「じゃあさ、いきなりでいい?」
「え?」
「明日海に行きましょ〜!」
「ええ!? いきなりだよ」
でも用事とかは早く済ませたいタイプの私は了承した。 瑛太達にも連絡しないと!
「て事で瑛太、いきなりだけど明日大丈夫? てか水着とか持ってる?」
「海かぁ〜、まぁ水着は前に奈々が勝手に買ってきたやつあるからいいけど」
「ならよかった。 で、行ける?」
「わかったよ、行けるから安心しろ」
「ありがとう瑛太、無理言ってごめんね」
そして伶奈ちゃんにも連絡した、伶奈ちゃんは準備万端なようで即OKしてくれた。 後は私かぁ。ん〜、水着どれにしようかなぁ? 悩んだ挙句シンプルな黒白ドット柄の水着にした。
瑛太嬉しがってくれるかなぁ…… なんて考えていたらあっという間に翌日になった。
電車に乗ると瑛太は私を見つけたのか来てくれた。海は私と瑛太の反対側にあるから伶奈ちゃんと鈴菜さんの方向だ。 つまり瑛太と2人きりになれるのは今日この瞬間……
「瑛太、今日の私はどうかな?」
自分が考えられる最大限の可愛い仕草を取ってみて瑛太の気を引いてみる。
「う、うん。 凄く可愛い」
瑛太照れてるんだ、これは本当に可愛いって思ってるリアクションだ、お洒落してきた甲斐がある。 今日は鈴菜さんが朝日奈さんを元気付けるためと言ってもやっぱり私にとっては瑛太メインだ。
だからこの2人きりの時間は大切にしたい。 電車の中じゃなかったらもっと良かったんだけど贅沢は言ってらんないよね。
瑛太に精一杯スキンシップを取っているともう鈴菜さんの駅の所だ。
着くと鈴菜さんと朝日奈さんが入ってきた。 あれ? 朝日奈さんは前のような元気がない。
当たり前か、フラれたんだもの。 私だって瑛太にフラれるかもしれない。 そうなったらこうなるかもしれない。
「何よ? 人の事ジロジロ見て」
「あ、ううん」
「ほら柚、みんな柚を励ます為に来てくれたんだよ?」
「どうだか、人の不幸はなんたらでしょ?」
朝日奈さんはもう何を言っても辛辣な言葉しか返ってこない。 うわぁ、どうしようこの雰囲気。 瑛太をチラッと見ると少し困っていた。
ごめんね瑛太、こんな事につき合わせちゃって。 そして最後に伶奈ちゃんと合流して海に向かう。
「凛ちゃん、今日は私が瑛太君のお世話してあげるから任せてね!」
「誰もそんな事頼んでないもん!」
海に着くと白い砂浜と青い海が私達を出迎えた。 久し振りに来る海はやっぱりいいなぁ、去年は受験とかで来る暇なかったもんね。
「鈴菜、やっぱりこれって私に対する嫌がらせにしか見えないんだけど? 私が肌見せれないのわかってるでしょ」
「ごめん柚、すっかり忘れてた」
「バカ鈴菜! もういい、みんなと泳いでなさいよ! 私はあっちで見てる」
そういえば朝日奈さんは海だというのに水着を着ている様子もないし至って普通の服装だ、海に来る格好じゃない。
あんなに綺麗なのに肌を見せれない? 何かあるのかな? あ、でも詮索するのは失礼だよね、 だけど気になるなぁ。
「鈴菜さん、朝日奈さん海苦手なのになんで海選んだの?」
「あはは、選択ミスしちゃったみたい、柚は私が相手してるから凛ちゃん達は遊んでなよ?」
「なんか悪いけど瑛太の事放っておけないしお言葉に甘える」
「いいよいいよ、ほら、あの2人とっくに海に行ってるよ」
「へ?」
気付くと瑛太は伶奈ちゃんに手を引かれ海でもう遊んでいた。 伶奈ちゃん抜け目ない。 てか伶奈ちゃんの水着姿可愛い…… 私も負けてらんない!
「こら伶奈ちゃん! 勝手に瑛太を連れてかないで! ねぇ瑛太、どう? 私の水着姿」
「ああ、凛も」
瑛太が何か言う前に瑛太の顔に水しぶきが飛んだ。 伶奈ちゃんだ、もうどこまでも邪魔して!
「あはは、瑛太君ボーッとしすぎ!」
「瑛太、私と遊ぼう!」
「おい! 2人と遊ぶから仲良くやろうな?」
そしてしばらく瑛太達と遊んでいたが伶奈ちゃんも流石に疲れ瑛太も疲れたので浜辺の方へ行く。
あれ? そういえば鈴菜さん達は…… キョロキョロと見渡すと朝日奈さんが隅っこの日陰でダルそうにしていた。
ど、どうしよう、朝日奈さん怖いけど話し掛けてみようかな? どんな気持なんだろう? 私も瑛太にフラれちゃったらああなるのかな?
なんて朝日奈さんの近くをウロウロしていると流石に朝日奈さんはウザいと思ったのか、話し掛けてきた。
「何なの? さっきからウロチョロして。何か言いたい事あるならはっきり言えば?」
「あ、あの元気出してね! 朝日奈さんずっと暗いから」
「あんたに何がわかんのよ? 気安くしないでくれる?」
「……うっ、なんかいろいろあったみたいだけどなんとなく朝日奈さんの気持わかるっていうか、これからわかるかもしれないっていうか」
「はぁ? 何言ってんの? 意味わかんないんだけど」
「私も好きな人いるんだけど私もフラれるかもしれないし」
「フラれたとか言わないで! 余計怒らせたいの!?」
「ごめん、そんなつもりじゃないの! 私が言いたいのは朝日奈さん諦めないでって事で…… 私も頑張るから!」
「あんたが何を頑張んのよ?」
「私も好きな人の為に頑張るから朝日奈さんも諦めないで頑張って!」
必死に励まそうとして朝日奈さんにがっつり近付いてしまった…… 若干朝日奈さんも引いているような気がする。
「はぁ、わかったからもういいわよ。それに朝日奈さんじゃなくて柚でいいわよ」
「え? 柚さん?」
「それでいいよ、なんで私がよく知らないあんたなんかに励まされてんだか……」
「てか鈴菜どこ行ったの?」
「えと、私も探してたんだけどどこだろね?」
しばらく辺りを見渡していると瑛太と伶奈ちゃんが鈴菜さんを連れて来た、どうやら鈴菜さんはナンパされていたらしい。 えへへと笑いながら来た鈴菜さんは柚さんに軽く小突かれていた。
それから柚さんは少し元気になったのか鈴菜さんと少し話しをして海の家に行き何か食べていた。
「凛、朝日奈となんか話してたのか?」
「うん、ちょっと気になったから」
「その間私と瑛太君はラブラブしてたからもっと話聞いてあげたら?」
「瑛太! 伶奈ちゃんと何してたの!?」
「いや、凛が変に思うような事は何もしてないって!」
「本当でしょうね!?」
15時くらいまで海で瑛太達と一緒に遊んでその日は解散となった。結局私朝しか瑛太とイチャイチャできなかったじゃない!
そして帰り際に柚さんから声を掛けられた。
「えと、凛ちゃんだっけ? さっきはその……ありがとね」
正直迷惑そうにしていた柚さんから思いもしないお礼を言われた。




