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その43


体育祭の終わりの帰り道俺は伶奈と凛と俺の家に向かっていた。 凛は相変わらず伶奈がいると若干機嫌が悪くなっていた。


「瑛太君の家行くの楽しみだなぁ、なんせ今まで凛ちゃん1人で楽しんでたんだから私がイチャイチャしても文句ないよねぇ?」


「何言ってんの? 私は伶奈ちゃんと仲良くなる前から瑛太と仲良かったんだから当然じゃない? だから後から仲良くなった伶奈ちゃんは私より瑛太との関わりが少なくて当然なの!」


「そんな事ないよね瑛太君? 私達両思いだったんだからね」


「そうやって瑛太の同意求めるのやめてくれない? 瑛太困ってるじゃん」


「瑛太君が困ってるのは凛ちゃんがそんなにツンケンしてるからだよ? そんなんじゃ瑛太君もっと困っちゃうよぉ?」


朝と同じく俺を挟み2人の口喧嘩が始まってしまった。


「ほら、もうすぐ着くからさ、2人共仲良くしてくれ」


「大体瑛太だって若干伶奈ちゃん寄りにくっついてない? そんなの許さないんだから!」


凛が組んでいる手をグイッと自分の方に引っ張る。


「凛ちゃん、また思いっきり引っ張ると私達転んじゃうよ?」


側から見たら両手に花なんだろうけど見方によっては冴えない男がなぜこんな美少女2人に腕を組まれているんだろう? という不思議な光景だ……

そして家に着いた。


「わぁ、ここが瑛太君の家なんだねぇ、緊張しちゃう!」


「フフッ、こんなんで緊張しちゃうなんて伶奈ちゃんもまだまだだねぇ」


「うん、瑛太君の家に来ちゃうなんてときめいちゃう! 凛ちゃんはそんな事もうないんだねぇ」


「……ぐっ、ああ言えばこう言う」


「ほら、喧嘩してないで早く入ろう?」


「「お邪魔します」」


まぁ今の時間帯だと奈々も帰ってきてないし、家には誰もいないけど。


「うわぁ、瑛太君の匂いがするね! てか男の子の家に来ちゃった」


伶奈は嬉しそうに俺の家の中をキョロキョロと見渡していた。


「瑛太と私の愛の巣に遂に伶奈ちゃんが……」


凛は絶望的な表情でそれを見ていた。 愛の巣とか恥ずかしい表現やめてくれ……


「あれ? そういえば奈々ちゃん帰ってきてないんだね、まぁ私達今日早いから当然か」


「まぁあと1時間くらいしたら奈々も帰ってくるだろ」


「瑛太君の妹って可愛いの?」


「うーん、俺に言われてもなぁ。 兄弟だからよくわかんないんだよな」


「ほら、そこに写真あるじゃん?」


「へぇ! これが奈々ちゃんかぁ、凄く可愛いじゃん! でも瑛太君と似てないね? フフッ」


やっぱりそういう反応だよな、俺に似てなくてよかったな奈々…… なんて心の中で呟いた。


「ねぇ、瑛太君の部屋に行きたい!」


「ああ、こっちだよ」


「ああ! 私の了承なしに入れないでよ!」


「凛ちゃんの了承なんているのかなぁ?」


また始まってしまった…… どうやら今日は覚悟して2人の喧嘩に挟まれるしかないなと思い俺は伶奈を部屋に入れた。


「ここが瑛太君の部屋なんだね! えいっ!」


伶奈が俺のベッドにボフッと体を寝かせた。


「瑛太君いつもここで寝てるんだねぇ」


「うぅ…… いきなりなんて事を」


「なんか凛ちゃんがいると私も少し大胆になれるみたい!」


「え!? 私がいると?」


「うん、やっぱりライバル意識なのかなぁ?」


すると伶奈は俺の方へ来た。そしていきなり俺にキスをした。


「なッ! 何してんの!?」


すかさず凛が俺と伶奈を離す。


「ほら、凛ちゃんもいるのにこんな恥ずかしい事だって出来ちゃう……」


伶奈は顔を真っ赤にして俺に微笑みかけた。 俺もいきなりだったので硬直してしまった。


「わ、私だって、私だって……」


凛が泣きそうな顔でワナワナ震え何かしようとしていた。 ヤバい、このままだとどこまでいくかわからなくなる。


「ちょっと待てって! 来たばっかだし2人共暑いだろ? 俺何か飲む物持ってくるよ」


俺がいるとヤバそうなのでいそいそと部屋から出た。 あれ? でも伶奈と凛も2人だと気まずいか? だけど俺がいるより状況的にはマシだろう。


キッチンへ行き麦茶をコップに注ぎ持って行こうと廊下に行くと……


「ただいまぁー」


玄関が開いた、奈々が思ったより早く帰ってきたようだ。


「あ、お兄ちゃんもう帰ってたんだ? あれ? 見慣れない靴…… 凛さんと誰か?」


「ああ、凛ともう1人友達が来ててさ」


「え? もしかして凛さんの…… 私も挨拶したいな! お兄ちゃんの部屋にいるの?」


「ああ、いるよ」


「じゃあそれ貸して? 私が代わりに持ってってあげる!」


「あ、おい!」


奈々は俺が持ってた麦茶のお盆を取り2階へ向かう、俺も後ろからすかさずついていく。


「こんにちは〜、それと初めまして! お兄ちゃんの妹の奈々です!」


「あ、奈々ちゃん!」


「瑛太君の妹だね、会ってみたかったんだ! 私は岸本伶奈です」


「……嘘、凛さんも可愛いのに伶奈さんもとっても可愛いなんて、お兄ちゃん何かの主人公なの?」


「何かの主人公ってなんだよ……?」


「お兄ちゃんもう女運ここで使い切ってるんじゃない? 多分こんなに綺麗な人達もうお兄ちゃんの前には現れないと思うよ?」


「奈々ちゃんだって十分可愛いよ?」


伶奈が奈々のもとに来て奈々の頭を撫でた。 奈々は伶奈の顔が近付くと照れたのか少し顔を赤くさせていた。


「あ、ありがとうございます」


「奈々ちゃんって可愛いね!」


「お兄ちゃんが凛さんと伶奈さんに多大な迷惑をお掛けしててすいません、妹として恥ずかしい限りです」


ここぞとばかりに俺を下げる奈々はさすがだ。まぁ迷惑は実際かけてると思うけど。


「伶奈ちゃんめ…… 瑛太どころか奈々ちゃんまでも!」


「あ、あの伶奈さんはお兄ちゃんの事を好きなの?」


「うん、大好きだよ。 でもまだ友達なんだけどね」


「やっぱり…… お兄ちゃんってとても鈍くて優柔不断だから凛さんも伶奈さんも苦労してるかなと思って」


「うん、瑛太君ったら全然私の気持ちに気付いてくれなくて本当に大変だったよ、それに瑛太君結構モテるから心配でね」


「お兄ちゃんったらいつの間にそんな女たらしに…… あ! ていうかそろそろ私はお邪魔だから退散するね!お兄ちゃん、凛さんと伶奈さんにくれぐれも失礼ないようにね!」


そして奈々は自分の部屋に行ってしまった。


「奈々の奴、何しに来たんだよ……」


「奈々ちゃんってとってもお兄ちゃん思いのいい子だね」


「え、どこが?」


「瑛太君にはわからないか、まぁ私は兄弟とかいないけどなんとなくね」


「伶奈ちゃん! そうやってさり気なく瑛太に触ろうとしない!」


「言ったでしょ? 遠慮しないって」


伶奈は俺の手を繋いでベッドに引き寄せた。 すると負けじと凛も俺の隣に来た。


「私も伶奈ちゃんに遠慮しないもん! ほら、瑛太! 私とキスして、さっき伶奈ちゃんにもキスしたんだから」


強引に凛は俺の顔を掴みキスをしてきた。 すると伶奈は俺の腰に手を回し耳に息を吹きかけた。ゾクッとし俺は伶奈の方を向くと伶奈は物欲しそうな顔で俺を見つめていた。


この状況はマズい…… 付き合ってない2人とこれ以上一線を超えてしまうわけにはいかない、俺は立ち上がり奈々の部屋へ向かいドアを開けた。


「わっ! なに!?」


タイミングの悪い事に奈々は着替えの最中で下着になっていた。 最悪だ……


「お兄ちゃんの変態! ノックくらいしろ!」


物を投げつけられ俺は奈々の部屋から追い出されてしまった。


「奈々、ごめん。待ってるから俺の部屋に来てくれ!」


そしてその後怒り心頭の奈々を説得して俺は奈々を連れて行き4人で伶奈と凛で過ごした。 奈々も居るとなると流石に伶奈と凛もさっきみたいな事は出来ないので事なきを得た。


2人が帰ると奈々は呆れたように言った。


「まったくお兄ちゃんったらあんなに可愛い女の子2人をはべらかしておいて焦らしてるなんて最低だね!」


「え、焦らしてる?」


「焦らしてるじゃん、お兄ちゃんがハッキリしないから拗れちゃうんだよ? 凛さんと伶奈さん可哀想!」


「でもちゃんと2人には結論出すからって言ってるからさ」


「ふぅん、お兄ちゃんのくせに急にモテ男みたいな事言っちゃって生意気! 私がいなかったらどこまで行ってたでしょうねぇ?」


奈々が意地悪な顔をしてそう言う。


「いや、巻き込んで悪かったって!」


「そうよ、私に感謝しなさいよね、お兄ちゃんろくに恋愛経験もないくせにいきなり2人とも気があるなんてすっ飛ばしすぎなんだから」


「え? じゃあお前って恋愛経験豊富なの?」


「ムカッ! それが助けてあげた私に対する言い方なの!?」


「ごめんなって! あとでなんか奢ってやるから」


「はぁ、お兄ちゃん後で大変な事になっても知らないんだからね! どっちか必ず泣きを見るんだから」



そうして奈々のご機嫌取りで更に大変だった。 確かにどっちか1人は必ず辛い思いをさせてしまう。その時俺には何ができるんだ? 待たせておいて残った方を傷付けて俺はそれでいいのか……


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