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その41


凛は毛布に潜り俺の胸にしがみついている。 この状況でまだ付き合ってない俺と凛は何かをするわけにはいかず、若干膠着状態だ。


凛がいつも寝ているベッドに寝ている俺は全身凛の匂いに包まれもうどうにでもなれという気持ちに陥りそうだ。


俺の胸にしがみつく凛を見た。 凛もそれに合わせて俺を見る。 凛はウルウルとした目で俺を見つめる。


凛みたいな可愛い子にそんな顔で見つめられると理性が飛びそうになる……

俺は自分の太ももを抓り痛みで我に返ろうと抵抗する。


「い、いいよ?」


「え?」


「瑛太のしたいようにして」


「したいようにって……」


「ちょっと乱暴だって構わないから」


「え?」


「私瑛太なら今ここだって!」


すると凛は起き上がりシャツのボタンを外し始めた。

え? もしかして今この瞬間に!?


俺は凛の両手を掴みそのまま押し倒した。 いや、ダメだろ。 俺はまだ凛と付き合ってもいない。


まだ友達だ、これじゃ凛にも伶奈にも申し訳ない。 凛はそれでもと思ってこんな事してるのかもしれないけどそれは間接的にハッキリしてない俺がやらせてるんだ。


「凛、まだダメだよ。 俺の心の準備が出来てない」


「嘘つき……」


「ん?」


「嘘つき! どうせ瑛太は私とまだ付き合ってもないしこんな事できないって思ってるんでしょ? でも私はそれでも瑛太ならいいって思ってるんだよ? ううん、瑛太とじゃなきゃ嫌なの!」


「それは……」


「ねぇ瑛太、それとも私とじゃ嫌? やっぱり……伶奈ちゃんがいい?」


「そんな事あるもんか、伶奈とだって俺はこんな事するつもりない」


「じゃあ私のこの気持ちはどうすればいいの? うぅ、うあ……」


凛は泣き出してしまった。


「私恥ずかしいよぉ、こんな事までしてそれを大好きな瑛太に止められて凄く恥ずかしいんだからッ…… ひっく、グスッ」


「ごめん、ごめんな凛。 こんな事くらいしか出来なくて」


凛の両手を離し俺は凛を宥めるように優しく抱きしめ背中を摩った。


しゃくり上げるように泣いていた凛はだんだん平静を取り戻していく。


「私が瑛太に惚れている弱味に浸け込んでこんな事で誤魔化して……」


「うん、でも凛にこんな状態でそういう事して貰ったら凛が1番傷付くと思って。 いや、多分それは俺の言い訳かも…… 俺のそういう所が凛と伶奈を悲しませてるんだろうな」


「もういいよ、なんか落ち着いた。 それに瑛太のせいじゃないよ?」


「瑛太のそういう所も好きだって。 私わかってて瑛太の気持ちを待たないで…… 自分が我慢できないからってこんな事しちゃったんだもん」


「凛、こんな俺で……」


「瑛太、いいから。 少しこのままでいて? 瑛太の匂い嗅いでいたら凄く落ち着けるから」


抱きついたままベッドに横になりいつの間にか凛は寝息を立てていた。 俺に抱きついたまま泣いていたんだろう、凛の目元は濡れていた。


俺は凛の寝顔をずっと見ていた。 あれ? こいつの泣き顔見てると少し懐かしい感覚に陥る。


なんでだ? と思っているうちに俺も凛と一緒に寝てしまっていた。




「……た、瑛太、起きて? お母さん帰ってきたよ?」


「ん、んん…… 奈々? もう朝か?」


「何寝惚けてるの? 凛だよ、私の家だよここ?」


「凛の家? あ、そうだった!」


凛の部屋を見渡して時計を見るともう18時をとっくに過ぎていた。 1時間以上寝てしまった。


「あはは、結構寝ちゃったねぇ。 お母さん今帰ってきてるから瑛太も来て? 流石に何も言わずに男の子上げちゃってたらビックリするから」


「だよな、わかった」


そして俺は凛と一緒にリビングに降りていった。 凛のお母さんが俺を見て少し驚いていた。


「初めまして。 凛の友達の広瀬瑛太です。 お邪魔してしまってすみません」


「あらあら、凛が男の子連れて来るの初めてだから少しビックリしちゃった。 そんな畏まらなくていいのよ? で、凛の友達って事はつまり彼氏さん?」


「あ、いえ、付き合ってるとかそういうわけじゃないんですが」


「じゃあ凛が惚れちゃってるのね、この子そういうのは堅いから好きな人じゃないと部屋に入れないって言ってるもんねぇ」


「お母さん! 余計な事は言わなくていいの!」


「はいはい、ごめんね。 瑛太君、凛と仲良くしてあげてね。 この子意外と繊細だから」


「言ってるそばから余計な事言うな! 今日は瑛太しばらく家にいるからね!」


「じゃあご飯うちで食べていくでしょ? あ、もしかして凛たまに遅く帰って来てたのは瑛太君の家でご馳走になってたからかしら?」


「えへへ、実はそうなの」


「あら、やっぱり。女の子の友達だったらあんた誰と食べてきたかいつも言うものねぇ」


「だから今日はうちで瑛太にご馳走しようかなって思ってね!」


あれ? 俺はそんなつもりなかったんだけど……


「じゃあ凛、ご飯作るから手伝いなさい。 お父さんはまだしばらく帰ってこないから先に食べてましょう?」


「うん、そうだね! じゃあ瑛太、私の部屋で待ってて?」


「え、いいの?」


「あ、下着とか見ようとか思ってたでしょー?」


凛は俺に近付きコソッと言ってきた。


「んな失礼な事するわけないだろが」


「フフッ、でも暇だったら見てもいいよ?」


「アホか……」


そして俺は凛の部屋に戻った。 ふと部屋の隅に畳まれていた服を見つけた。 ああ、ちょっと前にデパートで俺が凛にいいんじゃないか?って言って買った服か。


あん時が懐かしいな。 その光景を思い出しフフッと微笑んだ。

そして何もすることがない俺は凛のベッドにゴロンと寝転んだ。


そして写真立てに写真があった、凛じゃなくておばあちゃん? そういやあいつおばあちゃん居たって言ってたもんな。しばらくすると凛が俺を呼びに来た。


「瑛太出来たよー。あ、私のベッドなんかに寝転んじゃって!」


「ああ、物色するのも悪いかなって思ってさ」


「瑛太と違って私見られても困る物ないもんねぇ」


「別に俺だって何もなかっただろ?」


「奈々ちゃんがしっかり教えてくれたよ、如何わしい本とかDVD隠してるって」


「奈々の奴……」


「嘘だよぉ〜、ほら、やっぱあるんじゃない。 瑛太そういとこチョロいよね」


「はいはい、じゃあご馳走になろうかな」


そして俺は凛の家で晩ご飯をご馳走になり凛のお母さんにあれこれ質問責めにあった。


「瑛太、いいのに」


「いいよ、片付けくらい手伝うよ」


「あらぁ、瑛太君いい旦那になりそうね」


「お母さん、からかわないの!」


そして片付けを済ませ再び凛の部屋に戻った。


「瑛太、これでやっと私の家覚えたね!」


凛の部屋で凛と他愛もない話をして気付けばそろそろ帰る時間になっていた。


「そろそろ帰るな?」


「え〜、泊まっても良いのに〜!」


「そりゃいくらなんでも問題ありすぎだろ」


「じゃあさよならのキスして?」


「え?」


「それくらいしてくれても良いでしょ?」


「わかったよ」


そして凛と唇を交わす、軽いキスのつもりだったけど凛はだんだん激しくなっていった。これ以上は抑制がきかなくなりそうなので唇を離した。


「ああん! いいとこだったのに……」


「どこまでする気なんだよ?」


「ちぇッ! まぁいいや。じゃあ瑛太、また明日」


「ああ、また明日」



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