その38
昼休みの最中にこんな話が出た。
「そういえばさ、体育祭終わったら私も瑛太君の家に行ってみたいなぁ」
「うわぁ、私的にはそれは聞きたくなかったなぁ」
「フフッ、私前から言ってたよね? 行ってみたいって。 勿論断らないよね? 瑛太君」
「あ、ああ。 そりゃ勿論」
「伶奈ちゃんが行くなら私もついてくからね!」
「そう言うと思った。 わかった、じゃあ体育祭終わったら行くか? でも伶奈俺の家と逆方向だけど?」
「その事は気にしなくていいよ」
「まぁ伶奈がそう言うなら」
「瑛太君の妹、奈々ちゃんだっけ? 私も会ってみたいし!」
「うう、瑛太と私の領域にどんどん伶奈ちゃんが割り込んでくる……」
「だって凛ちゃんは私の友達であってもライバルだからね!」
「いいもん! 伶奈ちゃんにとってはアウェーな場所だから私の方が有利なんだから!」
「いや、そんな敵地に行くようなもんでもないだろ……」
「じゃあ決まり! 楽しみだなぁ」
そして昼休みも終わり教室に戻った。
「え、瑛太、伶奈ちゃんやっぱり手強いよぉ〜」
「まぁなんて言うか…… 伶奈は今は純粋に俺と凛と仲を深めようとしているような気がするけど」
「もう! 瑛太は余裕よねぇ、こんな事なら瑛太ともっとあんな事やこんな事とかしておけばよかった」
「なんだよ、あんな事やこんな事って?」
「瑛太には刺激が強すぎてとても話せません」
「弁当の量の多さでもう刺激受けたよ」
「瑛太ったらさすが男の子だね、あの量ペロリと平らげるなんて。 でも伶奈ちゃんの手作りずっと食べてたのは想像出来たけどあんな所やこんな所触った手で作ってるんだよね」
「なんだよ…… その想像?」
「瑛太のエッチ!」
「はぁ? 凛が勝手に想像してたんだろ!? それに凛だって」
「わ、私のは別にいいの! 変な事考えないでよ!」
「今のは完璧に凛が変な想像してただろ!」
「と、とにかく変な想像するなら私でしてよね!? 私結構スタイルは自信あるんだから!」
「何を想像しろって言うんだよ?」
「女の子の口からそんな事言わせる気なの? 瑛太ったらぁ」
「はいはい、凛は可愛いよ」
「フフッ、赤くなっちゃって瑛太可愛い」
そして午後の授業も終わった。 実行委員達は明日の体育祭の準備をしていた。
伶奈はその実行委員の1人だ。
「今日は私準備して帰るからとりあえず凛ちゃんに瑛太君を任せるね?」
「へへーん、言われなくても私は瑛太の側にいまぁーす」
「伶奈、あんまり無理するなよ?」
「瑛太君優しいね、大好きだよ」
「ああー! またそんなとこでアピールして! 私も瑛太の事大好きなんだから」
「変に張り合うなよ、じゃあ頑張れよ伶奈」
「うん、バイバイ! 瑛太君、凛ちゃん、また明日!」
そして俺達は帰る事にした。
「…………」
「どうした、凛?」
「え? あ、ううん。 伶奈ちゃんって優しいなって思って」
「凛もそう思うか?」
「うん、だって伶奈ちゃん、ちゃんと私が瑛太と取り合う隙を与えてくれてるっていうか…… 本当だったらもっとやり様があるっていうか」
「伶奈ってそういう奴なんじゃないか?」
「だったら私、そんな所でも伶奈ちゃんに負けてる。 だって瑛太を独占したいって私思ってるもん……」
「でもそんな凛の事嫌だなんて俺は思った事ないよ?」
「え? そ、そう?」
「だって凛っていつも俺の事考えて行動してくれてただろ? なんかそう思ったら俺って凄く幸せ者だなって」
「だ、だって瑛太の事ずぅっと片思いしてたし……」
「あ!」
凛が思いついたように急に声をあげた。
「どうかしたか?」
「瑛太! 今から私の家に来ない?」
「え? いきなり?! 女子の家に?」
「大丈夫だよ! 私の家族結構寛大だし」
「ほら、 女の子の家に入るの初めてでしょ? 」
「そりゃあそうだけど……」
「私だって自分の部屋に瑛太入れたいし、初めては瑛太がいいし……」
「へ?」
「あ! ううん、なんでもない! とにかく行こう?」
強引に凛の家に行く事になってしまった。 また奈々に連絡しておくか……
「ん? 奈々ちゃんに連絡?」
「そりゃ俺が帰ってこないとおかしいからな」
「私が上手い事奈々ちゃんに言っといてあげようか?」
「いい、絶対からかわれるネタにしかならないからな」
「あはは、瑛太!」
すると凛はスマホを操作している俺の手を下げさせもう片方の俺の手を掴み自分の胸に当てさせた。
「お前ッ! 何すんだよいきなり!?」
「…… わかる? 私今凄くドキドキしてるの」
「え?」
そう言われ手に感覚を集中させてみると凛の胸の柔らかさの奥から心臓の鼓動が伝わる。 とても鼓動は早く俺の手を握っている凛の手も熱かった。
「瑛太に触られるともっとドキドキしてきた」
「わかったって! こんな所で誰かに見られたらどうすんだよ?」
凛は強く手を握り更に自分の胸に俺の手を押し当てた。
「見られて何か困る事あるの? 私は平気だよ? だって瑛太の事が好きだから。 もしクラスの人に見られたって噂されてても私はそれでも平気」
凛はとても強い意志を灯した目で俺を見つめた。
「わかったよ凛、でもこのままだと歩けないし手を繋いで帰ろうか?」
「う、うん。 わかった」
凛は急に恥ずかしくなったのか少し俯き胸から手を離しそのまま俺の手を繋いで駅まで行った。 よほど恥ずかしかったのか凛の手は少し汗ばんでいた。
電車に乗ると座席が空いていたので俺と凛は座った。 そして凛は俺の肩に寄りかかってきた。
「えへ、今じゃ自分の意思で瑛太とこうやってくっつけるから楽ちん!」
「言うほどか? お前何かにつけて練習とか言ってあーだこーだしてきただろ?」
「それとは全然違います! 精神的な面で。 しかももっと大胆な事できちゃう!」
「ははッ、凛って前から大胆だったよ」
そして電車を降りて凛の家に向かった。
女の子の家に行くのってやっぱり緊張するな、凛も俺の家に初めて来た時はこうだったんだろうか?




