その36
放課後になり俺は凛に一緒に帰ろうと言った。
「珍しいね、瑛太から帰ろうなんて言ってくれるなんて。 何かあった?」
「ああ、俺さ、今日伶奈に告白されたんだ」
「え…… ? そ、そうなんだ!? よかったじゃない、私も手伝った甲斐があったよ」
凛は俺から見てもわかるくらいに目に見えて動揺していた。
「ごめん、瑛太先帰ってて? 私寄る所あるからッ」
凛は俺に背を向け走り去ろうとした。
「待てよ!」
凛の腕を掴んでこちらに引き寄せた。
振り返った凛は泣いていた。
「こ、これは…… 嬉し涙なんだからね! やっと瑛太の想いが伝わった……」
「凛、落ち着いてくれ。 俺の話を聞いて欲しいんだ」
「お礼ならいいよ ……私が勝手に協力しただけだし」
「そうじゃないんだ。 俺さ、凛の事が好きなんだ」
「えっ?」
「俺凛が好きだ。 だけど伶奈も好きなんだ」
「何よぉ、それ……? 伶奈ちゃんと付き合ったんでしょう? 浮気じゃん……」
「伶奈とは付き合ってない」
「え?」
「伶奈にも言ったんだ、俺いつの間にか凛の事が好きになってたんだ。そんな気持ちで伶奈とは付き合えない」
「だ、だったらどうするの?」
「俺がどっちかハッキリするまで伶奈は待つって」
「ますますそんなのダメだよ、 私邪魔してるじゃん」
「伶奈はさ、凛と友達になりたいって本気で思ってる。 だから俺が答えを出す間どっちかを選んでもそれで終わりにならないくらい凛と仲良くなりたいって言ったんだ」
「伶奈ちゃんが?」
「ああ。 だから文化祭が終わるまで伶奈は待つって」
「瑛太、私の事本当に好き……なの?」
「本当だ」
「本当に本当?」
「ああ、好きだよ」
「私ずっとずっと瑛太の事が好きだった! 本当に好きだったんだから」
「気付かなくてごめん」
「本当だよ! 私なりに頑張ったのに瑛太ピクリともしないんだもん、うぅ……」
「だったらなんで俺と伶奈をくっつけさせようとしたんだよ?」
「そ、それは約束したんだもん」
「約束?」
「う、うん。 だから私瑛太を好きって気持ちずっと押し殺して…… 辛かったよぉ! うぅ、グスッ」
凛はそのまま泣き崩れてしまった。 よくわからないけど伶奈の言う通りだった。 凛は俺に言えない状況でずっと俺を応援してくれてたんだ……
そしてしばらく凛は泣いていたがようやく落ち着きを取り戻してきた。
「だけど、どうするの? 私か伶奈ちゃんどっちを……」
「ごめん、俺本当にどっちも好きなんだ。 だから今のまんまじゃ2人と付き合えない……」
「ズルいよ、瑛太…… 私が好きってわかったのに」
「そうだよな、俺だって自分が最低だって思ってる。 だけど」
「うん、瑛太は気持ちに踏ん切りが付かないと私と伶奈ちゃんどっちかとは付き合えないって事でしょ?」
「ごめん」
「瑛太らしいよね…… わかったよ、私諦めないで済んだから。瑛太が好きって言ってくれたからそれが凄く幸せ」
「ありがとう、凛」
「それに私がワガママ言ったら伶奈ちゃんに本当に瑛太がとられちゃうもん。 伶奈ちゃんって本当に強敵だし…… でもやっぱり瑛太ズルい! 私結構嫉妬深いんだからね!」
「ああ、だからよく伶奈の話するとお前機嫌あんまりよくない時多かったもんな」
「うるさい!」
凛は俺を上目でジトーッと見つめるが凛に好きだと告白した今そんな所も素直に可愛いと思った。 だから凛の頭を撫でて抱きしめた。
「え、瑛太ッ!?」
「うん、だからごめん……」
「え、瑛太にそんな事されたら私もう何も言えないよぉ……」
「凛、こんな俺でも好きでいていてくれるのか?」
「当たり前じゃん…… 私だって瑛太の事わかってるつもりだもん。 相変わらず鈍いけど」
「ちゃんとハッキリさせるから」
「それ死刑宣告が先延ばしになったようなもんなんだけど瑛太が私の事好きってわかったから。 今はそれでいい……」
そうなんだ、伶奈と凛はそんな気持ちなんだ…… 俺は本当にズルいと思う。 だけどどっちかの気持ちを残して付き合うのはもっと2人にとって最低だと俺は思ったんだ。
「伶奈ちゃんがその気なら私だって受けて立つんだから! 瑛太覚悟してよね! これからは私と瑛太が仲を深める為の特訓だよ!?」
「一体何する気だよ?」
「え、えと、それはその…… お互い嬉しい事?」
「嬉しい事?」
「と、とにかく私が伶奈ちゃんに勝つにはどうしたらいいか瑛太も考えるの!」
「あ、ああ…… 凛は凛で凄く可愛いと思うけど」
そう言った途端凛の顔が真っ赤になった。
「今まで私なんか眼中になかった瑛太に言われると破壊力凄い……」
「いや、眼中ないとかはなかったし前から凛は可愛かっただろ?」
「も、もうやめて……」
凛は大分照れたのか俺から少し離れた。
「でも、これからはちゃんと言える! 瑛太の事が好きって」




