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その35


伶奈に突然告白されキスをされた。 どうしよう? めちゃくちゃ嬉しい。 少し前の俺だったら飛び上がって喜んでいただろう。


だけど、嬉しさ反面戸惑いがあった。 嬉しい。 嬉しいはずなのに俺は凛の事も好きになっていた。


伶奈の唇が俺から離れ止めていた息を吐き出す。


「ずぅっと私瑛太君の事好きだったの。 瑛太君の気を引きたくて頑張ってたのに瑛太君ちっとも気付いてくれないから……」


「ご、ごめん」


「ううん、いいの。 それも含めて瑛太君の事好きだから、でも返事は聞かせてほしいよ。 私と付き合ってくれますか?」


伶奈が返事を待っている。 俺はどうするべきか…… このまま伶奈と付き合えば何事も問題はないのだろう。


凛もやっと成果が出て喜ぶかもしれない。 だけどこんな気持ちで凛の事も好きだという気持ちを隠して伶奈と付き合えるか? 伶奈に対して失礼なんじゃないか?


やっぱりダメだ、伶奈が勇気を出して告白してくれたんだ。 俺だって嫌われる覚悟で本当の事を言わなきゃいけない、言うべきなんだ。


「俺も伶奈の事がずっと前から好きだった。 だけど凛の事も好きって気持ちに気付いたんだ、こんな優柔不断な気持ちで伶奈と付き合うのは伶奈をバカにしているようで俺は……」


「瑛太君…… わかってたよ?」


「え?」


「私だって瑛太君をずっと見てきたんだよ? 凛ちゃんを好きってのもなんとなく感じてた、それが最近になってどんどん親密になってきたのもなんとなくね……」


「それにね、私は凛ちゃんは友達だけどライバルだと思ってた所もあるし。だからこうなるかもって予感もしてた、だけど私瑛太君の事が好きって気付いてもらいたくて。わかって欲しくて」


「俺ずっとわかんなかったんだ、こんな事初めてだったし。 伶奈が友達として俺に優しくしてるんじゃないかって」


「瑛太君鈍感なんだもん」


「ああ、本当そうだよな。 ごめん」


「でも私と凛ちゃんを好きって事は私と付き合うのも当然アリって事なんだよね?」


「でも俺って最低だよ…… こんな二股紛いみたいな事言ってるし」


「でもそれって瑛太君は私が好きって気付かなかったからでしょ? 凛ちゃんの事も好きだって気付いてそうなったんでしょ? だってそれ以前は私達友達だと思ってたわけだし……」


「それに…… ある意味正直にそう言ってくれて良かった」


「え、どうして?」


「凛ちゃんへの気持ちを押し殺して中途半端なままで付き合われたら私凄く悲しいもん。 だからはっきりそう言ってくれて少し救われた」


「俺ってそんなに伶奈に好かれる程の奴じゃないんじゃないかって最近ずっと思ってたんだ、伶奈の事を好きって思うと凛の顔も浮かんで……」


「うん、瑛太君の気持ちはわかった。 だけど私やっぱり瑛太君の事好きだよ? そんな所も」


「こんな俺を?」


「うん。 だけどこのまま付き合うのはやっぱりダメ。 だから私瑛太君の気持ちがハッキリしたら付き合う! それな

ら二股なんかにはならないよ? まだ私達友達だもん」


「伶奈って本当に優しいな、俺が傷付かないようにそんな提案にしたんだろ?」


「言ったじゃん。 私が優しいのは瑛太君だからだよ? だから私待ってるよ? だけど凛ちゃんに遠慮はしないから。 大好きだってアピールはしていくから」


「でもさ、凛は他に好きな奴がいるんだよ」


「え? 何それ?」


「凛は好きな奴がいてずっと前からそいつの事気に掛けてたんだ。 だから凛は俺が伶奈の事片思いしていたのもわかって同じ境遇だから仲良くなったんだろうな」


「…… それ、違うと思うよ? ううん、違うって言うのは瑛太君気付いてないだけで凛ちゃんの片思いは瑛太君だと思うけど?」


「は?」


「凛ちゃんが瑛太君を見つめる顔って恋する女の子の顔してるもん。 だから私は凛ちゃんをライバルだと思ってるんだよ?」


凛が好きな奴が俺? だからか? 俺に対してああまで好きな奴を言えなかったのは……


だけど俺の事が好きならなんでわざわざ伶奈と俺をくっつけようとする?

全然意味がわからない。


「やっぱり凛は意味わかんない奴だな……」


「どうして? とってもわかりやすいよ?」


ああ、そうか。 伶奈は知らないんだった。 俺はもうここまできたら凛と俺の事を話した。


「そう、そうだったの…… 凛ちゃんがそんな事を」


「そうなんだ。 だから凛がわざわざ俺達をくっつけようなんて提案したかよくわかんないんだ」


「うーん、それは私にもわからないけど何か理由があるんじゃない? 確かな事は凛ちゃんが好きなのは瑛太君ってのは確実かな」


「俺ってそんなのに気付かないなんてな……」


「あはは、瑛太君らしいけどね。 所で私と付き合おうとしていろいろしてたみたいだけど凛ちゃんと一体何をしていたのかな?」


「……うっ、それはその凛を伶奈だと思って練習を……」


「まぁいいよ、凛ちゃんも抜け目ないよねぇ。ちゃっかりしてるんだから」


「ははは……」


「でも条件があるの」


「条件?」


「瑛太君の事だからどっちと付き合うとかすぐに決められないと思うんだ」


「……う」


「だからね、文化祭が終わるまでに決めて欲しいの」


「え? そんなに時間かけていいの?」


「……いいわけないんだけどね、凛ちゃんだって私は友達だと思ってるよ? だから、そうだから私ももっと凛ちゃんと仲良くなってどっちかダメだったとしてもそれで終わりなんてしたくない」


「伶奈、そこまで考えてたのか……」


「でもこれは私の願望で凛ちゃんはどう受け取るかわからないけど……」


「わかった。俺今日放課後凛と話すよ」


「うん。…… でも私凛ちゃんに負ける気ないからね!」


伶奈はそう言い俺を抱きしめた。

そしてまたキスをしてきた、先程よりも激しいキスで息が苦しくなった。


「伶奈、誰か来たらヤバい……」


「私瑛太君なら最後までだっていいんだよ? ここでも……」


「え?」


伶奈は妖艶な顔で微笑みスカートを上げようとした。


「なんてね、私もまだ心の準備が出来てないし。 ごめんね、でもうかうかしていると全部凛ちゃんに持っていかれちゃいそうで私も焦ってるんだよ?」


「ああ、俺がハッキリしないせいだよな……」


「ふふッ、意地悪言っちゃったね」


珍しく伶奈がそんな冗談を言いそろそろ教室に戻ろうとなった。

俺も凛に言わなきゃ……

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