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その32


私は今日瑛太と放課後お出掛け出来ると思って楽しみにしていた。 瑛太の様子もちょっとおかしいし何か気になっていたなら聞いてみようと思ってたのに……


だけど今隣にいるのは榎本えのもと 誠治せいじ。誠治は小中の同級生で小学生から中学始めまでは私は誠治によく意地悪されていた。


ある出来事があってからそんな事はなくなったんだけど……


どうして今更私に絡んでくるんだろう?

私は瑛太と一緒にいたかったのに。


瑛太も瑛太だよ、あんな風に言われたら私だって誠治について行かなきゃ私がワガママ言ってるみたいじゃない……

止めて欲しかったな。



「凛?」


「え? 何?」


「さっきの一緒にいた人友達?」


「そうだけど?」


「それにしては今の凛彼と離れた途端凄くテンション下がったね?」


「だって…… 誠治が来るなんて予想外だもん」


「とりあえずどっかファミレス行かない? 俺の奢りで」


「何か私に用あったの?」


「ハハッ、つれないなぁ。 同級生が久し振りに訪ねて来たんだからもうちょっと愛想良くしてくれよ?」


「だからぁ、いきなり来ていきなり連れ出されるなんて私聞いてないもん!」


あ、でもこれって私瑛太にもしてる事かも。 瑛太もこんな気分になってるのかな? だったら嫌だなぁ……


電車を1本乗り継ぎ、ファミレスがある場所まで誠治と歩く。

行くなら瑛太とがいいな、なんてずっと考えながら誠治の話を聞き流し店に入った。


「ふぅ、ここならゆっくり話せるな、今日はわざわざ付き合ってくれてありがとな」


「ホントだよ、私だって予定あったのに」


「そう邪険にすんなって」


奢りと言ってもなんか借りを作るみたいで嫌だなと思い一応私も鞄から財布を取り出そうとした。すると……


「あれ? やっぱりそれまだ付けてるんだな」


誠治が私の鞄のブローチを見てそう言った。


「何よ? 当たり前じゃん!」


「あはは、怒るなって。 あの時はマジで悪かったと思ってるんだって」


「まぁ…… 別に私ももう済んだ事だし、何より無事だったからもう気にしてないけど」


「てかもうひとつ新しいの増えてるな? それって最近のぽいな?」


誠治が瑛太にプレゼントされたぬいぐるみを触ろうとしたので私はサッと鞄を引っ込めた。


「そんな警戒すんなよ? もうあんな事しないって」


「いいから。 で、何の用なの?」


「まったく…… そんな刺々しくされたら話し辛いだろ?」


「はいはい、わかりました。わざわざ学校まで来てくれてありがとね」


「はぁ〜、まぁいいかぁ。 凛、今の学校楽しい?」


「うん、楽しいよ?」


「彼氏とか出来た? 凛ってもとから可愛かったからもう高校とかでは告白とかされるだろ?」


「う〜ん、まぁそれなりかなぁ。 別に彼氏とかはいないけど……」


「でも好きな奴いるだろ? 例えばさっき校門で一緒にいた奴とか」


「え?」


「ほら、図星」


「友達って言ってるじゃない。からかわないでよ」


「そんな隠さなくてもあいつと一緒にいた凛の顔見ればわかるよ?」


「だとしたらなんなのよ?」


「俺さ、ずっと前から凛の事好きだったんだ」


「は!? 何それ? ここで言う?」


「だって凛とは学校違うしなかなか会えないだろ? だったら今言っておこうかと思ってさ」


「あんた私にあんな事しておいてよく言えたわね」


「だから悪かったって言ってるだろ? お前結構根に持ってんじゃん。 俺ガキでさ、凛の事好きだったから意地悪してそれを表現する事しか出来なかったんだ。 それが凛にとって最悪な事したってわかって凄く落ち込んだんだ」


「そうだよ、最悪だったわよ……」


「その時だろ? あいつの事好きになったの? 面影少しあるよな」


「なんで誠治がその事知ってるの?」


「だってお前あんなに必死になってたから…… 俺も反省して謝ろうと思ったらもう既にあいつがいて事が済んでたんだ、お前は気付いてなかっただろうけど」


「そうだったんだ」


「だからあいつがいる高校に入ろうと思ったのか?」


「違うよ、確かに私瑛太の事ずっと想ってたけど名前しか知らなかったし…… 同じ高校だったのは本当に偶然」


「それで? その瑛太ってのと上手く行ってんの?」


「それは……」


「その様子じゃ微妙そうだな?」


「別に誠治にとやかく言われる筋合いないでしょ?」


「あるよ。 俺は凛の事好きだし」


「私は誠治の事……」


「まぁそう言われると思ったよ、だけどお前勿体無いよ? そんなに可愛いのに上手く行くかわかんない瑛太って奴をずっと想ってるのか?」


なんだろう、そんな事人に言われると凄く腹が立つ。私自身上手く行かないと思ってるから? そんな風に思いたくない……


「俺凛と付き合えたら凛が寂しくないようにずっと支えるよ? 前みたいな俺と違うって見せてやりたい」


「なんで今更……」


「凛、あいつの事そんな好きならあいつに好きって言ったのか? ずっと想ってたんだろ?」


「想ってたってそう上手く行くとは限らないの。 でも私は瑛太の事が好きなの! 瑛太に好きって告げるか告げないかは私が決めるの、誠治は口出ししないで!」


「わかったよ、まぁそう返されると思ってたしすぐにOK貰えるとも思ってもないからさ。 だけど俺もずっと凛の事想ってたんだ、だからそんな意味では凛の気持ちはわかるよ」


「…… バカなんじゃないの? 誠治だってそこそこかっこいいんだからさっさと彼女でも作っちゃえばいいのに」


「さっき俺が凛に言った事と似たような事言ってるぞ? だったら同じ境遇同士俺達お似合いじゃない?」


「私、瑛太しか眼中ないから。だから誰に何を言われても瑛太以外は考えられない」


「うん、今はそれでいいよ? だけどやっぱりダメそうなら俺の事思い出してよ、俺凛の為ならすぐに駆け付けるし凛なら誰を差し置いても凛の事だけ考えるから」


「あはははッ」


「何かおかしかったか?」


私が瑛太に対する想いに似ていて少し可笑しくなった。 こんな恥ずかしい事いつも沙月に言ってたんだなと客観的に思ってしまった。


「ううん、ごめん。でもほんの少し親近感湧いただけ」


誠治が私を好きだと言ったのは少しビックリしたけどやっぱり私は瑛太の事が好きなの。 それくらい私にとっては瑛太の存在は大きかった。


「ぶっちゃけそいつにその気がないなら凛はただ辛い思いするだけだぞ? 今もしてるかもしんないけど」


「私わかっててやってるもん。 そりゃ好きになって欲しいって気持ちもあるけど私は約束したからそれを私が勝手にしてるだけ。もう私の気持ちはわかったでしょ? どうなろうと覚悟はしてるから……」




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