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その2



「ねぇ瑛太、まだ怒ってるの? ごめんってば〜」


「怒ってないって言ってるだろ?」


「怒ってるじゃん、岸本さん呼んだ事」


「怒ってない!」


放課後になり凛にまた朝の事で茶化されたので適当にあしらっていた。


「喜ぶと思ったのになぁ、あ! だったら今日は私の奢りで帰りにカフェ行こう? 決定!」


「はぁ? いいよ別に」


「奢りなんだから文句言わないの! それに女の子とそういうとこに行くのは今後いいと思うよ? もし岸本さんに誘われたらどうするの?」


「う〜ん、そんな事ありえるか?」


「さぁ? でも今私に誘われたでしょ? だから私が練習台になってあげるよ!」


「まぁ…… そこまで言うなら」


「よし! じゃあさっそく行きましょー!」


そして俺と凛は学校から少し離れた所にある古民家カフェに行く事にした、結構人気な所でカップルやネットで調べた人達が来ていた。


「わぁ、混んでるねぇ」


「ここで本当にいいのかよ?」


「わかってないなぁ、女の子はこういうとこ好きなのよ?」


「へぇ、そうなのか…… なんか面倒くさいな」


「こら! そんなんだからモテないんだぞ?」


結構並んでいて俺達が触れたのはそれから30分くらいした頃だった。 それに店内は狭くて席がテーブル席が4席、後はカウンターだった。


「なんか私達カップルだと思われてるのかなぁ?」


「なんだよ急に?」


「あはは、照れてるの? まぁ私くらい可愛い女の子とカップルと間違われたら照れるよね」


「ああ、岸本だったらなぁ」


「むぅー! 仮にも私も女の子なんだからそんな事言っちゃダメなの! これだから童貞君は」


そして俺はそんな凛の言葉を聞き流してメニューに目を通した。


「うーん、何にしようかなぁ……」


「どれどれ?」


俺の座っている隣にわざわざ凛が隣に座って体を近付けメニューを覗いてきた。

肩と肩が当たり俺の顔の目の前には凛の頭が近付く。


凛の髪の毛から香るシャンプーのいい匂いが俺の鼻を刺激した。 女の子の匂いってこんなんなのか…… 普段よりかなり近い距離の凛は凛でとても可愛らしい女の子なんだと改めて思った。


いつも岸本に目がいってるせいかまったく気付かなかった。

俺が考えに耽っていると凛がこちらを振り向き決まった? と問いかけてきたので俺は我に返った。


おっとこれは練習だった、どうでもいい事は考えるな。


「じゃあこのカレーでいいや」


「え? 今からそれ食べるの? 夕御飯は?」


「いや、普通に食えるだろ?」


「男子っていいよねぇ」


「お前は決まったの?」


「私はガトーショコラとカプチーノで」


「そんなんで足りるんだ?」


「足りるとか足りないとかじゃないのよ、まったく! 美味しいならいいの!」


やっぱ女の子ってよくわからん。


そしてしばらくして俺のカレーがきた。 一口食べてみるとなんじゃこりゃ!? めちゃくちゃ美味い、人気なのも頷ける。


「美味しい? ていうか美味しそうだね? 私にも一口ちょうだい?」


「いいけど?」


そう言うと俺からスプーンを取り凛はそのまま自分の口に入れた。 え? それって間接キスなんじゃね? と俺は思ったが凛はなんとも思ってないのか美味しい! とだけ言って俺にスプーンを返した。


これでまた俺がこのスプーンに口をつければ間接キス…… なんて考えていると凛のガトーショコラもきた。


「やっときたー! うん、美味しそう」


凛はガトーショコラを頬張りニコニコしながら食べている。その光景を見ていると……


「瑛太も食べたい? ほら」


凛はフォークに一欠片刺し俺の目の前に差し出した。 俺は一瞬戸惑ったが恥ずかしがるとまたバカにされそうなので食べた。 少し緊張したので味はよくわからなかった。


「美味しい?」


「うん? ああ」


「そ、良かった!」


そして凛はまた食べ始めた。 女の子とカフェに来るとこんな事があるのか? いや、どうなんだろう? 岸本だったら? 岸本も男子と喋るのはあまり得意じゃないと言っていた。


凛は俺と友達で結構仲が良いからこんな事をするのかもしれない。

大体岸本とこんな風になれる時が来るのか来ないのかすらわからない。


俺がボーッとしていると凛にデコピンされた。


「また変な事考えてたでしょ? 女の子と来てるんだからそんな顔しない!」


「え? ああ悪い悪い」


そして食べ終わり俺達はカフェを出た。


「それで? どうだった女の子と来て」


「なんかよくわかんなかった」


「ええ〜? それだけ? 仕方ないなぁ、じゃあ私がもうちょっと慣れるまで付き合ってあげるよ?」


「マジかよ……」


「ホント失礼よねぇ瑛太は。 まぁ瑛太が失礼なのは今に始まった事じゃないか」


凛はそう言いクスクスと笑っていた。

女の子の友達って初めてな俺にはよくわからないことばかりだった。


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