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その17

「ねぇねぇ、瑛太の家に行きたいなぁ」

「男の家だぞ？いいのか？」

「何か問題あるの？奈々ちゃんだっているでしょ？」

「いや、でもなぁ」

「この前行くって言ったじゃん！」

「うーん」

「あ、もしかしてエッチな本とか私に見せられないような物でもあるんでしょう？安心していいよ？私その辺は寛大だから」

「そんなもんあるわけないだろ？」

実際はあるけどな。ただ親にも奈々にも見つかってないしこいつに見つかるわけはない。

ただ友達とはいえ岸本以外の女の子を入れていいものか……

いや、岸本も入れた事ないけど。

「お願い！遊びに行きたいなぁ」

「あー、もうわかった！じゃあいいよ、わかった」

「やったぁ！ちなみに私が初めて？」

「他に誰か俺に知り合いいると思うか？」

「だよね！私くらいしか行きたいなんて言わないもんね、でも嬉しい」

「はぁ、それで？いつ来るの？」

「今日でしょ！」

「だと思った、わかった」

「じゃあ今日は瑛太の家まで一緒に帰れるね！」

「それがそんなに嬉しいか？」

「瑛太だって少しは嬉しそうにしなよ？私モテるの知ってるでしょうに」

「あー、モテる凛と一緒に帰れて嬉しいなぁ」

「棒読みご苦労様」

そして俺は凛と一緒に家に行く事になった。つうか親にも誰にも連絡してねぇ、まぁ問題ないと思うけど。

一応奈々にはLINEで連絡しとくか。

「奈々には連絡しといたから。うちの親は仕事してると思うから携帯見ないと思うし」

「はーい！」

そして凛と一緒に家まで帰るが家まで一緒だと不思議な感じがする。いつもは1人で帰ってるのにな。

「なんか良いねぇ、ドキドキしてきた」

「来る方は気楽でいいよな、来られる方にもなってみろよ」

「そんな気負わない気負わない！私が来たって別になんともないでしょうが」

「奈々はもう帰ってるみたいだし早くお前と会いたいって」

「ウフフッ、やっぱ奈々ちゃんは可愛いなぁ。あんな妹さんがいて瑛太羨ましい」

「どこがだよ？生意気なだけだぞ？」

「照れ隠しだよ」

そして家に着き玄関を開けると……

「凛さんいらっしゃーい！待ってたよ」

奈々が凛に飛び付いた。

「あははッ、奈々ちゃん、私も会いたかったよぉー！瑛太が渋るからさぁ」

「お兄ちゃん！凛さんに冷たくしないの！私が許さないよ！」

「だからちゃんと連れてきてやったろ？大体俺はこいつに冷たくした事ないけど？」

「じゃあもっと凛さんに愛情表現してあげなさい！」

「なんでそうなるんだよ……」

「ねぇねぇ、凛さん！今日は夕飯うちで食べてくよね？ね？」

「え、いいの？じゃあそうしようかな！いい？瑛太」

「お兄ちゃん！」

「わかった、わかったよ」

「やったぁ！良かったね？凛さん」

「ありがとね、奈々ちゃん」

「凛さん、あれから順調？」

「う〜、微妙かも。何やってもあんまり効果なくて」

「鈍感だからねぇ、でも凛さんみたいに可愛い人からなのに微妙ってバカだよねぇ」

「あははッ、私も困ってるの」

何やらまた俺にはよくわからない会話が始まってしまった。

「おい、何の話してんだよ？相談なら俺も乗るぞ？」

「はぁ？何寝ぼけた事言ってんのよ？分からず屋のお兄ちゃんのくせに」

「え？なんで相談乗るって言ったのにそこまで責められるんだよ！？」

「わぁ〜、1番ムカつくパターンだわ」

「仕方ないよ奈々ちゃん、瑛太ってそういう人だもん」

「凛さん可哀想…… お兄ちゃん友達は大事にしなよ！」

そしてしばらくするとうちの母さんが帰ってきた。

「あら、お客さん？とっても美人じゃない。奈々の友達？」

「お母さん、なんとビックリな事にお兄ちゃんの友達なの」

「ええ？！瑛太の？あらまぁ瑛太なのにこんな美人な友達いるなんて」

「お邪魔してます、長浜凛と申します、今日は瑛太君の家に招待させてもらって」

「凛さん今日うちで晩ご飯食べさせていくからよろしくね」

「全然構わないわよ、むしろ瑛太とのお話聞きたいわ。お父さん今日遅いからもう支度しちゃいましょう」

「おいおい、余計な事聞くなよ？」

「あ、私も何か手伝いましょうか？」

「いいのいいの、瑛太達とゆっくりしててね、凛さんは」

「ねぇ凛さん、私の部屋行こう？お兄ちゃんの部屋変な物あるかもしれないし」

「んなもんあるかよ！じゃあ俺は自分の部屋行ってるわ」

「フフッ、じゃあ私ちょっと奈々ちゃんと遊んでくるね瑛太」

「ああ、行ってろ行ってろ」

そして俺は部屋に行って少し片付けをした。別に変なもんなんてないよな？と部屋を見回した。

如何わしい本は本棚の奥だしわかんないだろ…… 後はコロコロで掃除しておくか。

すると隣の奈々の部屋から笑い声が聞こえた。あいつら本当に仲良くなったな、明るいもの同士気が合うんだろう。

つうか凛と奈々は俺の知らない話をしているようだけどなんでか奈々の視線が痛い。一体なんなんだよ？

そして更にしばらく経った頃俺の部屋のドアがノックされた。

「瑛太、凛だけど入っていいかな？」

「いいよ、入って来いよ」

ガチャッとドアが開き幾分照れたような表情をして凛は入ってきた。

「お、お邪魔します……」

「何今更緊張してんだよ？来たいって言ったのは凛だろ？」

「そ、そうだけど男友達の部屋なんて初めて入るし…… へぇ、こんな部屋なんだね」

「あんまマジマジ見るなよ」

「へへへ、なんかいやらしい物でもあるのかなぁ？」

「ないよ、そんなもん。立ってないでどっか座れよ？」

「じゃあそこのベッド！」

凛はベッドに腰掛けた。フワッと凛の匂いが部屋の中に漂う。俺も女なんて奈々以外部屋に入れた事ないので若干戸惑う。