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その16


あー、恋だけじゃなくて体育でも岸本さんに負けちゃったよ、私は実は凄く落ち込んでいた。


私が岸本さんに勝っている所ってどこだろう? 往生際の悪さだけかな?


「またブルーになってるの? 凛」


昼休みになり落ち込んでいる私に声を掛けたのは友達の「今野こんの 沙月さつき」だ。


沙月は小中からの友達で私が瑛太を好きだという事も知っていて瑛太が私と同じクラスになったことを一緒に喜んでくれたがその瑛太に好きな人がいた事でお通夜状態の私を慰めてくれたのも沙月だ。


「あんたもそんな所だけは繊細だよねぇ」


「うるさいなぁ、私がどれだけ瑛太を好きか知ってるくせに」


「お弁当だって一緒に食べようって言ったくせに岸本さんが入って来たらすぐに退いちゃうんだから」


「だって瑛太と約束したんだもん」


「何年前の約束よそれ? 大体広瀬君は覚えてないでしょ?」


「私は覚えてるの!」


「今日だって岸本さんに闘志メラメラだったでしょ? あんた」


「うん、引いた?」


「ドン引きした。 しかも負けてるし」


「そう、何もかもボロ負け、自信あったのに岸本さん強いんだもん」


「途中まであんた勝ちそうだったのにね」


「まぁ岸本さんは途中までそこまでやる気出してなかったからね」


「あんたって往生際悪いのか諦めてるのかよくわかんないし」


「私これでも身を引こうかとおもったんだよ? いくら瑛太にアピールしても通じないんだもん」


「あんたがアピールしてダメなら完全に岸本さんに広瀬君は惚れてるんじゃない?」


「わかってるんだけどさぁ、どんどん自分が嫌な女になっていくような気がしてるんだよね。 協力したいのにしたくないっていうか」


「なんでそんな約束しちゃったのよ? しかも広瀬君はそんなの覚えてないしあんたが一方的じゃん?」


「だってそれしか自然に話せる方法思いつかなかったし瑛太は岸本さんに夢中だし」


「凛は基本モテるんだから他の子と付き合っちゃえば? そしたら広瀬君も危機感覚えたりして?」


「残念ながらそれはないね、前に聞いてみたけど私を尊重するって言ってたから瑛太からしてみたらおめでとうだよ。 それに瑛太以外なんて今の所考えられない」


「うわぁ、薄ら寒い台詞のオンパレードで鳥肌立ってくる」


「ちょっとぉ! こっちは真面目に話してるのにやめてよ」


「なんかあんた見てると焦れったいのよねぇ、そんな好きなら広瀬君を無理矢理押し倒して奪っちゃえばいいのに」


「押し倒して奪うかぁ……」


想像してみたがどう見ても悲惨な結末しか見えない。 どうせ振られるんだ。


「で? アピールって何したの? キスとか色仕掛け?」


「腕組んだ」


「は?」


「ギュッと腕組んで胸押し当てた」


「それで?」


「あと間接キス?」


「で?」


「それくらいかな……」


「中学生じゃあるまいしもっと攻めなよ? パンツでも見せたら?」


「うーん、やってみようかなぁ」


「それで? 岸本さんと広瀬君はもっと進んでる?」


「逐一報告してって瑛太には言ってるけどそれによれば手を繋いだり岸本さんが瑛太に寄りかかって寝たくらい?」


「あはははッ、なんてプラトニックなのあんたら2人、似た者同士じゃん」


「もうバカにすんな!」


「あんたも一途だねぇ、可愛いのにもったいない」


「沙月だって好きな人が出来ればわかるよ」


「あんたみたくこじれるのはごめんだけどね私は」


「だって瑛太鈍感過ぎるんだもん。 まぁ協力するって言った手前気付かれちゃったら私って最低じゃん」


「そうかな? 岸本さんと凛に2人から好かれてウハウハじゃない? どっちも可愛いし。 てか広瀬君モテすぎじゃない? モテ期なのかな?」


「うん、岸本さんもしっかり瑛太の事好きみたいだし」


「両思いであんたの立ち入る隙なんて普通はないよねぇ」


「それでもまだ瑛太の事好きなんだもん。 もしどっちかが告白しちゃったらと思うと……」


「あー、そうなると私もあんたの世話するの大変だわ。 想像するだけでこっちも暗くなってきた」


「あ!」


「ビックリした! 何よ!?」


「へへー! 私瑛太の妹さんから瑛太の家に招待されてたんだった!」


「へぇ、妹いるんだ広瀬君って。 だったら広瀬君の部屋で襲っちゃえばいいのよ」


「沙月ったらそっちしか考えないの? でも少しは大胆になれるかも!」


「大胆って具体的には?」


「岸本さんに抱きつかれてオロオロしないように私で練習するとか!」


「あー、やっぱあんたってバカだわ」


「なんでよ!? 名案じゃない?」


「はいはい、そうですねぇ。 いっそ初体験まですれば?」


「は、は、初体験!? だ、ダメだよ、いくら練習でも練習でそんな事したくない」


「体の相性よかったりしてねぇ、そしたら広瀬君も凛の体なしじゃ生きていけない体にしちゃえばいいのよ」


「私体だけじゃなくて私自身を好きになって欲しいの!」


沙月とくだらない事を話している間に昼休みは終わってしまった。

今度瑛太に家に行きたいってねだってみよう。



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