その15
家に帰り部屋に行くと俺はふと思った。おっと! 一応今日の事協力してくれてる凛にも連絡しておくか。 黙ってたら凛の奴むつけるもんな。
そしてあった事を一通り凛に電話で話した。
「へぇ、私の選んだ服の出番がすぐきて良かったね」
「オシャレになったって言ってたよ」
「まぁカラオケで会った時と比べればね、というか…… 私と遊んだ次の日にもう岸本さんと会ってたなんて」
「俺もいきなりだったからビックリしたんだよ、断るわけにいかないしな」
「ま、まぁその為に選んであげたんだし役に立ったのなら何よりだけど! で?」
「で? って?」
「何か……進展はあったの?」
「手を少し繋いだり、あとは寝たくらいかな?」
「はぁ!? 寝た? もう一緒にそこまで!?」
とても驚いたように凛がツッコむ。
「い、いや、寝たって言うのは本当の意味で寝たんだよ。 岸本が公園のベンチで」
「あ、ああ。 あはは、そ、そういう事…… 心臓に悪いなぁ」
「一体何を考えてたんだよ……」
「てっきり瑛太が岸本さんを襲ったのかと」
「そんな事するわけないだろ、お前じゃあるまいし」
「え? 私に襲われたいの? 全然OKだよ私は」
「はいはい、じゃあまた明日な」
「あぁん! もうちょっと話してたかったのに」
そうして次の日になり学校に行くと岸本が俺の所へ来てくれた。
少し凛は不満そうな顔をしていたがちゃんと話に入ってきてくれている。
そして今日は体育の時間体育館で女子と男子が一緒になり女子はバトミントン、男子はバスケになった。
バスケの合間に岸本を見るとあっちもこっちを見ていたのか目が合った。
ニコッと岸本が微笑みかけられたので恥ずかしくて俺は苦笑いになってしまった。
そして俺が休憩中になるとちょうど岸本は誰かとバドミントンをしていた。
ていうか凛と試合していた。
2人ともそこそこ運動できるんだなぁと感心して観戦しているとなんだか思った以上に白熱してる。
特に凛が…… 何ムキになってんだあいつ。 際どい所へどんどん打っていきだんだん岸本も本気になってきたのか必死に応戦している。
なんかその場だけちょっと異様な雰囲気になってるし…… そしていつまで続くのかと思いきや結果は岸本の勝ちに終わった。
凛はこちらを見つめ困ったようにえへへと笑っていた。 対する岸本はニッコリ微笑んでいた。
「はぁー、岸本さんに負けちゃったぁ、ねぇ瑛太慰めてよ?」
「お前超ムキになって勝ちに行ってたな」
「そりゃバドミントンくらいは勝ちたいと思ってたからね、岸本さんには」
「なんでお前がそんなに岸本に対抗意識燃やしてんだよ?」
「だって友達の瑛太を任せられるかどうかなんだから当たり前じゃん?」
「え? そういう理屈なの?」
「他に何があるってのよ? まぁ結局バドミントンでも私は負けましたぁ」
「岸本も途中からガチになってたしな」
「あ! そういえば瑛太って私と岸本さんどっちを応援してた!?」
「え…… どっちってどっちも?」
「あ、それ私も気になるな広瀬君」
なんと岸本が来てその話題に割り込んできた。
「あ、岸本さんなかなかやるじゃん、私の完敗だよ」
「長浜さんこそ手強かったよ、私も負けちゃうかもって思ったもん」
「で? 瑛太はどっち応援してた?」
「うん、どっち? 広瀬君」
なぜか2人に迫られる。 2人とも笑ってるのになんか怖いぞ!? 試合してた時と同じ雰囲気になっている。
なんて言うのが正解なんだ? この場合どうしたらいい? 岸本は無条件に応援している、凛だって俺の為になんやかんやで協力してくれてるから傷付けたくない。 こうなったら……
「うぅ…… 」
俺は腹を押さえて苦しむ。
そう、嫌な雰囲気になる前に逃げる事ににした。
「「え?!」」
「腹が…… 痛い! 悪いっ!」
俺は2人を振り払い男子トイレへ駆け込んだ。 ふう、このまま授業まで戻らなければ平和的に終わる。
はっきり言えない俺を許してくれ。2人とも。
そして頃合いを見計らい教室に行き席に戻ると凛がツンとした表情で俺を出迎えた。
「お帰り! 瑛太の意気地なし! 」
「いや、だってどっちかに決めたら片方傷付くだろ? 」
「いいんだよ、わかってるもん。 どうせ岸本さんを応援してたんでしょ?」
「いや、そんな事もないって。 2人とも頑張れって思ってたんだからさ」
「どうだか! 瑛太が私なんか負けちゃえって思ってたから負けちゃったんだ」
「そんなに怒るなよ〜、俺が凛にそんな事思うはずないだろ? 後でジュース奢ってやるから」
「本当? なら許す」
「お前…… またからかってただろ?」
「うん、瑛太ったらオロオロしちゃって可愛い」
「やられた……」
「あ〜あ、でも岸本さんに負けたのは本気で悔しいなぁ」
「たかだか体育なんだからそんな悔しがる事ないだろ?」
「まぁそんなんだけどねぇ〜」
凛はそう言い机に突っ伏した。




