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その12


週末になり俺は凛と遊ぶ事になった、凛は最近俺と岸本の間でソワソワしている。 恐らく俺と岸本が上手くいってるのか気になっているのだろう。


凛らしいと言えば凛らしいのだけれど俺と岸本が仲良くなる度に凛の様子がおかしくなるから若干気になる。


家で支度をしていると奈々が絡んできた。


「お兄ちゃん今日お出掛け?」


「そうだけど?」


「もしかして女の子とデート?」


「いや、女は女だけど友達だからデートじゃないな」


「え〜、わざわざお兄ちゃんと遊ぶ女の人いるんだ? 信じらんない」


「お前俺の事バカにしすぎじゃね?」


「お兄ちゃんと遊ぶくらいだからお兄ちゃんに気があるんじゃないの? その人」


「ないない、それはない」


気があったら俺と岸本をくっつけようなんて考えるわけないもんな。


「まぁ何にしてもそのファッションセンスじゃあねぇ、女の子もお兄ちゃんの隣歩きなくないだろうね、あはは」


「え? これのどこがいけないんだ?」


「お兄ちゃんろくに友達も出来ないから間違った方向に行くのは当然だもんね」


「失礼だな! 友達いるから遊びに行くんだろが」


「全身黒に纏めたいかにもセンスがないですよー、無難に決めました感が漂ってるもん。チェックとか着られるよりマシだけどさ、ていうか似合わないし」


とことんダメ出しをして笑い転げている奈々を睨みつけてやったが確かに服装とかよくわからん……


「じゃあどんなのがいいんだよ?」


「服にお金でもかける気にでもなった? 私はもっと可愛い服がいいと思うけどなぁ」


「思いっきり女視点じゃねぇか、参考にならんわ」


「甘いねお兄ちゃん、女にウケる服を女の子に選んでもらえたら一石二鳥じゃん。 変なセンスの男の人が自分で選ぶよりよっぽどいいよ」


「あ〜、なるほど! お前なかなか合理的な事言うな」


「まぁお兄ちゃんにまさか女の子の友達なんて出来ると思わなかったからダサくて結構だったもんね」


「余計な事は言わなくていい」


でもそれはそうかもしれない! 凛に服を選んでもらえば俺のセンスのなさは補えるかもしれない。


「でかした奈々、いい事聞いたわ」


「でもお兄ちゃんお金あるの? それなりに掛かると思うけど?」


「今年のお年玉使わなかったから余裕だろ?」


「ふぅん、そんなんで足りるかなぁ? デパートとかに行くんでしょ? ブランド物とかだと1万円なんて一着で消えちゃうよ?」


「え?! そうなの? ユニクロしまむらで済まそうかな……」


「あははッ、やっぱお兄ちゃんだねぇ!

そういえば私も友達と遊ぶ約束してたから一緒に行こう? お兄ちゃんの友達見たいし」


「お前と一緒にかよ……」


「失敬な、そんなんでもなければ私もお兄ちゃんなんかと歩きたくないもん!」


しばらく罵り合いが続いたが流石にそろそろ行かないとな。 そして俺達は家を後にし駅まで行き電車に乗った。


「お兄ちゃんの友達になる物好きな女の子ってどんなか楽しみだなぁ」


「さっきから酷過ぎだろ」


「ねぇねぇ、その人って私より可愛い?」


「見たらびっくりするぞ?」


「びっくりするくらい酷いの?」


「俺の心を折ろうとするのはやめてくれ」


駅に着き俺らが降りると凛が待っていた。


「おーい! 遅いよ! ってあれ? その子誰?」


「お、お兄ちゃんもしかしてあの人? 何かの間違いだよね?」


「え? 何がだよ?」


「あり得ないくらい可愛いんだけど? お兄ちゃんどうやって友達になったの? まさか弱味とか握って無理矢理……」


「んなわけあるかよ! 気付いたら仲良くなっただけだっつの」


「えーと、瑛太、そっちの子は……? なんか凄く仲良さそうだね」


「ああ、これ俺の妹の奈々」


「これって言うな! 初めまして、広瀬 奈々です。お兄ちゃんがお世話になってます」


「あ、なんだ。 妹さんかぁ、似てないからどこのどなたかと思っちゃったよ。 長浜 凛だよ、よろしくね!」


「はい、お兄ちゃんに似なくて助かりました」


「ふざけんなよこの野郎、少しは俺を立てろ」


「お兄ちゃんの友達がこんなに美人さんだなんてビックリです、お兄ちゃんのどこが良かったんですか?」


「え? どこが!? うーん」


「なんだ、やっぱりないのか。 わかってたけどな」


「そんな事ないよ、あ! 私が困ってた時助けてくれたところ」


凛がモジモジとしてそう言った。


「え? そんな時あったか? うーん」


「ひょっとして凛さんってお兄ちゃ……」


「わーーーッ! ダメダメ! 奈々ちゃんちょっとこっちに来て!」


奈々の言葉を遮り凛と奈々は少し離れた所へ言ってしまった。 遠目で見ると何やらコソコソと2人で話している。


すると奈々がこちらを向きジトーッと俺を睨むように見つめた。 一体何を吹き込んでいるんだ? 凛の奴……


そしてしばらく話した後凛と奈々は戻ってきた。


「お兄ちゃんって本当にバカだよねぇ、私少しガッカリ。 本当にお兄ちゃんにはもったいないよねぇ、でも凛さんの事は応援してるよ!」


「凛、一体何を話してたんだよ? 俺の悪口か?」


「そんなわけないじゃん! 奈々ちゃんありがとね!」


凛が奈々の頭を撫でた。 すぐ仲良くなったなこいつら。


「凛さん、今度家に遊びに来てねー!」


「うん、お言葉に甘えちゃおうかなぁ、ねぇ瑛太後で瑛太の家に遊びに行ってもいい?」


「いいけど来たって何もないからつまんねぇぞ?」


「ううん、瑛太がいるじゃん! つまんないわけないし」


「2人ともラブラブだねぇ、私の前で」


「…… ラブラブ」


奈々が変な事言うから凛までおかしくなっている。


「いいからお前は早くどっか行けよ、行くぞ凛」


「へ? あ、うん」


そして俺らは駅を出た。 それにしても凛と奈々は何話してたんだ?


「奈々ちゃんって良い子だね! それにとっても可愛い、瑛太と全然似てないね!」


「おい、それ俺に対する悪口だから」


まぁいいか。 どうせ内緒で話すくらいだから教えてくれないだろうと思った。


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