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SWザターン 2

誤字脱字を訂正し、前話と共にレクリエーションをオリエンテーションへと変えました。

 そして、オリエンテーション当日。

「おはようユージ。そろそろドックに行くか!」

「おはようユタカさん。私あんまり気が乗らないですよ。人が多い所は苦手な…ちょっと、置いて行かないで下さいよ!」

 いつもの調子のユージと一緒に、ドックへと向かう。ガニメデに来て4日、備蓄基地には軍人や研究者らしき人、給仕や看護担当と思われる女性達が増えて行った。恐らく、全員がザターンの乗組員なのだろう。

 備蓄基地に併設されているドックは、縦1000メートル超、横500メートル、高さ500メートルほどの建屋が二棟連なった形で並んでいる。備蓄基地に似つかわしくないサイズの建屋なので、この船の為に建てられたのだろう。

ジュンに渡された図面でザターンの構造は分かっていたが、物々しい警備が敷かれ、建屋内を覗く事が出来なかった為、実物を見るのは今日が初めてだ。

 生体認証自動ゲートを抜け、二人はザターンを見上げる。

「ほ〜。ヴィーナス級戦艦の姉妹艦みたいだな!違う所と言えば、メインエンジンがスクラム熱核エンジンに換装されてるくらいか?いや、よく見てみると姿勢制御スラスターがクラスター化されてるな」

 ヴィーナス級戦艦は、旧火星連邦で運用されていた戦艦であり、地球連合と火星連邦の冷戦時代に作られた当時最大の宇宙船である。

地球と火星は長い間、木星資源の開拓を巡って冷戦状態が続いたが、10年前に和解して現在に至っている。

 当時では最大の戦艦であったが、散発的な小競り合い程度の戦闘しか無く、実戦で戦艦同士の殴り合いが行われた事は無い。

冷戦終結後は戦艦に活躍の場は無く、改装されて地球火星間高速フェリーとして平和利用されている。楔型の船体の全部上甲板と下甲板にはデブリ破壊用として43センチプラズマレーザー3連装砲が各一門ずつ搭載されているが、戦後はシールド技術の向上によりプラズマレーザーが無力化されてしまった為、兵器としては使い物にならなくなってしまった。


 オリエンテーションはザターン前のスペースで行われるようだ。いくつものテーブルが用意され、多くの料理が並んでいる。人の多さに酔いながらも、好みの料理を皿に乗せユージと二人で空いたテーブルに着く。


「ザターン乗組員の諸君。お集まり頂きありがとう。各々そのままで結構。」アツシ司令官の声が響いた。円卓のテーブル中央にはホログラムモニタが置かれ、アツシ司令とジュンと、白衣を着た女性が映し出されていた。

 その女性は、150cmほどの小柄な感じで、眼鏡を掛けている。見るからに研究者といった容貌だ。


「まずは自己紹介から行いたい。私は当備蓄基地の司令『アツシ』だ。また、本日を持って諸君の前にある調査船「SWザターン」の提督に任命された。階級は宙将ではあるが、提督と言う響きが気に入っているので、皆は提督と呼ぶように願いたい。」続いてジュンが前に出る。


「こんにちは、SWザターン艦長のジュン一等宙佐です。皆と共に、本航海を成功させ、更なる出世をしたいと願っています!」はははと乾いた笑いが辺りから聞こえた。


「ワタシはSWザターン開発技術担当、トモです。遺跡発掘からザターン建造まで携わりました。STTエンジンやGコンを作ったのはワタシ。遺跡解明の第一人者よ。何か分からない事があったら、何でも説明するよ。」遺跡やら何とかエンジンやら何とかコンやら、聞き慣れない言葉がズラリと並ぶ。研究者らしいがよく分からない感じだ。


「さて、諸君らに生涯守秘義務契約を結んでもらったのには訳がある。これからこの船の装備、目的を交えて説明して行く。詳細はこの後、各人にホロウォッチ端末を渡すので各自チェックするように。先ずはこの船の建造までの流れを説明しよう。」ベースが戦艦なのは図面で確認したが、装備についての記載は無かった。それにしても、生涯守秘義務契約が必要なほどの理由は何なのだろうか?


「今から15年ほど前、火星連邦と地球連合は木星資源の採掘の為、イオ・エウロパ・ガニメデに備蓄基地、採掘基地を建造した。皆の認識では、その後に木星資源の採掘比率の話し合いが決裂し、その結果冷戦に進展したと聞かされていると思うが、実際は違う。」一般市民の認識とは違うと言うのか?

「ガニメデにて火星連邦が備蓄基地を建造していた際、地下に空洞が見つかった。調査の結果、遺跡が見つかったのだ。もちろん、人類の遺跡ではなく、およそ1万年前の遺跡であると思われる。」

遺跡、その言葉を聞いた瞬間、皆一同に騒めく。

そんなマンガやSF小説のような話、聞いた事が無いからだ。

「続けよう。遺跡で見つかった物は、彫刻や壁画の他に用途不明の小箱が二つ。火星連邦はすぐさま研究チームを結成し、この箱の解明を行った。その際のチームリーダーがこのトモ君だ。」

アツシ司令の隣でトモがドヤ顔で胸を張っている。反対隣のジュンは眠そうに欠伸をしているが。

「解析の結果、一つの小箱は重力制御装置であると解明された。電荷を掛けると周囲に重力場を発生させる。効果範囲はザターン全体を覆うくらいだ。これにより、ザターン船内は1Gが保たれ、地球の海に浮かぶ船舶のように床と天井が存在する。宇宙船に慣れた諸君らは戸惑うだろうが、じきに慣れると思う。また、重力場により慣性も制御される。これにより、ザターンは急制動や急転回などの戦闘機動が可能であり、タグボート無しでの微速航行も可能となっている。」成る程便利な箱である。重力制御が可能であれば、機動性は抜群だ。居住区は6面使えないのは痛いが、1G環境ならトレーニングも必要無くなる。


 それにしても、そんな凄い技術が一万年前の遺跡から出るとは、一体誰が残した遺跡なんだ?

誤字脱字や表現の指摘が御座いましたらコメントお願い致します。


誤字脱字を訂正し、レクリエーションをオリエンテーションへと変更しました。

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