第0話
「よくぞ来られたな勇者よ」
ここは魔王城。
王の依頼で多くの勇者がこの地を踏んでは戻らなくなると言われる終焉の決戦場。
そこに彼らは人類に希望を与える為にその地を踏みしめる。
「ああ、お前を殺すこの時を楽しみにしながらここまで来た」
「仲間はどうしたんだ? クフフッッ……そうか、我が同胞達はそこまで仕事してくれていたか!」
勇者は俯き、憎悪に満ち溢れたその瞳を投げつける。
「まさかここまで仲間の醜い死体を見るとは思わなかったぜ。全部お前が悪いんだよ……全部全部全部全部全部全部全部!」
勇者は魔物を血を吸い込み溜め込んだその剣を抜き放つ――。
「死ねぇえええええええッ!」
「来るが良い――。」
魔王も剣を抜き放ち勇者と剣を交える。
「どうした? その様な荒々しい剣では我の体に掠りもせんぞ?」
「畜生!あァアアアアアアア!」
剣がぶつかり合い激しく火花が散る。
次の瞬間勇者の疲れ果てた体は遠くへ吹き飛ばされる。
「その程度か!? 勇者よ!? 呆れたぞ」
「くそっ! まだだ……まだ終わらせない!」
勇者の剣に聖なる力が溜め込まれていく――。
その力は魔王を呑み込まんとするほどの絶大なる力だった。
「貴様……まさかこの勇者が女神の怒りを引き継ぎし勇者だったか…!」
勇者は放つ、その力を――。憎しみに呑まれながら――。
「これで終わりだァあああああ!」
勇者の剣は魔王の体を貫き魔王は倒れる。
「っ……いずれ貴様は気付くだろう……私の――」
「勇者様のご帰還だー!」
街は勇者の帰還で大いに賑わい始め、王にもその栄誉を称えられ名声や土地も金も手に入れた。
だが、勇者には決定的に足りない物があった。
それは大切な仲間達だった――。
「くそっ!くそがっ!俺一人で帰って来てどうするんだ!俺は仲間達と同時にこの街に帰って来たかったんだ!なのに……」
しかし誰もその葛藤に気づかない。
そして、世界は終わる。
勇者も眠る――。その記憶と共に――。
我ながら酷い文章だと思う。