44麗子 鼻血を出すまでの感情。二
龍様は私の言葉に長い間固まっていらしたわ。
何だか、まともに女の子と話したことの無い感が出ててたのが、ついつい黙ってみててしまいましたわ。
すると一瞬だけ龍様は許婚殿を見ますが直ぐに諦めたように無視し、少しムッとしたようにもう一つの持っていたヘルメットの耳を広げるようにして私の頭に被せてきた。
案外簡単にヘルメットが私の頭に入り・・・・・というか、唐突に龍様が近づいてきて、私は全身が凍ったようにカチコチに固まったような気がするのに、心臓がドクドク! ドクドク!! どんどん大きくなり、最終的には全身に激しく音が鳴り響いているように感じました。
こ、こんな・・・・こんなな・・・・お、音外に響いていませんよね? 何てことも考えつつも、私の身体が、私の身体ではないかのように
どんどん、どんどん、心臓から温かい血が全身に目まぐるしく回りだし、手や足は勿論ですが、顔が猛烈に熱く感じますわ。私は一体どうしたのでしょう。
い、今龍様の顔を見ることが出来ない気がします。
ですが、如何すれば良いのか? 如何すれば助かるのか、視線を彷徨せてしまう。と、龍様が薄く頬を引き上げる仕草を見つけてしまった。
また、私は自分の身体が熱を生み出しているのを感じとってしまう。
でも、ですわ。
私だけこんな恥ずかしいのは何だかズルのような気がします。ですので、龍様に一言だけ言って同じ目に・・・・少しでも同じ用に有ってもらおうと思って、彼に視線を向けると顔を真っ赤にさせているのを見て先ほどと同じような人身でコントロール出来ない身体機能を体験し、口からは何も出ませんでした。
だって、私この時、若干、気を失いかけてました。
その間、龍様に何か言われた気がしましたが右から入って左に抜けていきますが、その直ぐ後、首筋に紐と龍様の手が当り身体の奥底を刺激し、一声かけられて手を握られた時には全身が震えてないかと思うほどゾクゾクと心地・・・良い・・・・。もう、心がヤバイ・・・・。
私はなされるがまま、龍様の言う事を必死の思いで聞き動く。
何かヘルメットから何かが取れた気がした。
何だろうと、一端意識がそれに向かい、なんだろうとそれを見る。
形状は刃物のような形ですが、僅かに鋸のような形でもある。そこから考えると・・・、
「これは・・・・・・・・、カッター・・・・・ですか?」
龍様は肯定してくれる。
でも、これはどうして有って、どう使うものなのか? と考えると直ぐに答えを教えてくれる。
龍様は、ヘルメットが何かの拍子に邪魔に成ったときに頬のところからカッターを入れて、紐を切り落とすというものだった。
私は、ああ、なる程。とも思ったが、装着させているところが使えないような情況だったら、何て考えていると直ぐに逆にもあることを教えてくれて納得しました。
そんな事を考えていると、いつの間にか身体の其処からこみ上げてくる熱が冷めていくのが解かり、また身体の制御不能感が落ち着いて来ている事は行幸だと思ったりしました。
だから、こそ、私は龍様の行動に、気が付いた。
回りが見えていなかったことを未来の妻として反省してしまう。
龍様はプラスチックのヘルメットを取り、紐を調節して被っている。
「あ、あの! もしかして、これで最後なんですか?」
私は自分の頭に乗っているヘルメットを言う様に聞いてみた。
でも、龍様に至っては場慣れしているのか、意に返さず答える。
「ん、ああ、でも大丈夫だよ。頭守るだけならライナーで十分だから。
それに、耳栓くらいは山田さんが予備含めて2組くらいは持ってるだろうから。」
「ですが、これは2つしかないのですよね? その一つを私が使うというのは、私が・・・!」
何かを言おうとしていたが俺は人差し指で彼女の口を塞ぎ、ロックを解除しようと手間取っている麗子の手を取り、首を振る。
「女の子が怪我するほうが男の沽券に関わるから、気にしないで欲しい。
それに、俺はキンタと違って何度もコイツ(CH-47)に乗ってるから、あと耳栓があれば全く問題が無いんだよ」
声音が優しく落ち着き払い、唇に男の子の手にしては少しゴツゴツした指の感覚、何よりもニヒルで男男しい表情を見て、私は今まで感じた事の無いような高熱が心臓から勢いよく飛び出し、左上胸部から頚部に移り、顔へ回り、周り切らない血液が鼻から吹き出ました。
ああ・・・・もう、本当に・・・・・・こんな恥ずかしいところを・・・・・見られたのですから・・・・・お嫁に貰ってもうらしかありませんよね・・・・・・・?




