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34話 麒麟 麗子の本気


 わたくしは初めて恋をした殿方に勇気を振り絞って思いをぶつけました。

 ですがその方は、私に冷たい視線と怒気を向けて断られましたの。

 私は恐怖と自身の恋が、思いが打ち砕けたことが辛く苦しくて思わず涙が零れてしまいましたわ。

 それと同時に、何でこの人は怒気を孕んだ瞳の中に孤独を抱えているのだろう。怯えを抱えているのだろうと考えてしまいました。


 と、そこへ私の忌避したい許婚殿が机を叩き、声を張り上げ、私を振ったことに対して怒ってくれているようですが正直そっとしておいて欲しいですわ

 本当に無粋な方ですわ。

 ですが、私は見ました。感じたのです。

 文句を言った許婚殿に冷たい視線と怒気、そして、嫌悪をするような瞳でご自身の幼馴染を見つめるこの方が僅かにやるせない何かを我慢するような視線をむけている事に私だけが気付いたのです。

 そして諦めるように小さく溜息を吐かれていましたわ。

 でも、私にはこの寂しそうにしている方に如何することも出来ませんの。

 ・・・・だって・・・・振られてしまった私に・・・何が出来るというのでしょうか?

 何も、出来ませんわ・・・・・。


 そんな事を考えていると、事態が進みましたわ。

 自衛官の山田一尉がまさかの一言を許婚殿に向けて発せられました。

 その言葉を聞くと許婚殿は驚いて毒気を抜かれたのか口を閉じてしまわれました。

 その後、龍様と山田一尉が2、3言葉を交わして、というよりも一方的に山田一尉が負けを宣告して、どうも龍様をなだめているように見受けられました。

 話が済まされると、龍様は私のことを一瞥する事無くベランダに向かい、縄梯子に手を掛けて当たり前のように上っていかれます。

 ちょっと、上られる姿が自然すぎて、それが胸にキュンとして、格好いいとおもってしまいましたわ。

 龍様と入れ違いで私に近づいてきた山田一尉が私の耳元で私の確信をつく言葉を言われました。


「麒麟家のお嬢さん・・・・本気で龍君のことを好きですか?」

 先ほど許婚殿に投げ掛けた侮蔑の声とは違い、淡々と期待する声音で私に聞かれます。

 私は、未だに慕い続ける思いと、振られてしまった思いに苛まれつつも小さく頷きました。

「・・ありがとう、お嬢さん。

 少しだけ、お聞き下さい。昔話です。

 昔、龍君が母方の生家に1人で来られた事があります。

 その時の彼は、心にショックを受け、逃げてこられました。たぶん如何しようもなかったのでしょう。

 親からは仲良くしなさいとか言われる年代ですし・・・・。

 逃げてこられた理由は、麒麟 太郎君がモテテモテテ、好きになる女の子が太郎君を好きになり、しかも、当時の・・・・まぁ、今も見たいですが、仲が良いせいで目の仇にされていたらしく如何すれば良いか本当に解からなかったみたいで迷ったり、嫉妬したり、恨んだり、戸惑っていました。

 でもですね、あるとき私は彼にお酒を盛り聞いたのです。


『あなたは、嫉妬とか恨みとかしないのですか?』

『嫉妬と家族どっちが大切かなんて決っているだろ。』

『愚かですね』

『コレばかりは如何しようも無いだろ?』

 

 そう諦めるように納得するように笑って言って、眠ってしまわれました。

 その後の事は解かりませんが、彼の中に答えが出たのは確かだと思われます。

 正直、私は貴方を当て馬に使いました。

 あの時の彼が如何物事に決着をつけるように成ったのかを見るために。

 ですが、彼は、家族以外を全て敵として判断し傷つくことを避けるように成ったみたいですね。

 正直悲しい気持ちが私にはあります。

 でも、もし貴方が龍君を思っているなら私は貴方にかけたいのです。一方的な願いでは有りますが龍君をお願いします。」

 山田一尉は小さくとても嬉しそうに頷かれ龍様の何故あのような振り方をしたのかを教えてくれました。

 私は、思いました。

 山田一尉の憶測ではあるみたいなところもありますが、私はあの方の瞳に写った寂しさと悲しさをちゃんと理解した気がします。

その上であの方のお心をお慰めしたい。嫌われても好かれても居なくてもいいからあの人の傍に居たいと心から思い一尉さんにお願いしました。

「お願いされる事でも有りませんわ。

 私はあの方が龍様が好きです。それがどんな風になっても、それにそのお話を聞く限りだと、家族になれば大切にしてくれる。という、事でもありますわよね。

 なら、尚更私を貰って貰わないといけない気がしますの。

 だから、私もヘリコプターに乗せてくれませんか?」

 私は思ったことをそのまま、堂々と言ってやりましたわ!

 そしたら、一尉さんはとても嬉しそうに無線機に話しかけていましたが、私は一つやることを思い出しました。

 一尉さんに少し待ってもらうようにお願いして、その仕事を済まして私は、梯子を上るつもりで居たらベランダに居たらヘリコプターから人が降りてきて、一緒に吊って機械で上ってくれることになりました。

 

 そして、私がヘリコプターに乗り込むと、龍様が目を開いて驚かれる現場を見ることに成りましたが、ヘリコプターの中ってかなりうるさいのですね。

 これどうにか成らないのでしょうか?


 ついでにいうと私は覚悟を決めて龍様の隣に行き抱きついてやりましたわ。

 なんだか、今の私高揚している気がしますわ。


土曜の23時頃出します。

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