24話 山田一尉 の話を聞く、麒麟 麗子 三
私は現在、ワクワクドキドキしています。
それは何故かって? そんなの解かりきった事ですわ。好きになった殿方のお話を聞けるのです。女としてはこれほど嬉しい事はありませんわ!
「では、語りましょうかね?」
山田一尉は軽やかに歌うように騙り始めました。
「と、一応前置きで皆さんに言っておきますが、このクラス以外には基本話さないでくださいねというか気をつけてください。
当人も嫌がりますが、虎門家は国家が特別に管理している家出して、下手に喋ってはいけない家なので」
と、結構真面目にすごい事を言っている山田一尉が居ます。
というか、あれ? 目の前のお方はそんな家の方を平然と気にせずいっている事に気になりますが、皆黙っています。興味が勝っているのでしょうか? と考えていると話は続きます。
「というのも、虎門 狼も問い軍曹の父君で私たちが崇拝している隊長(一佐)は貴方達より若いときに船に勝手に乗り込み(密航)、海外の当時内戦をしていて戦いが激しかった国に赴き自分を兵士として売り込み、十数年戦場で戦い続けてきた猛者でした。
戦いが終わり数年すると世界がドンドン混迷し始めました。まあ、色々各国の動きや独裁者が現れたりと色々・・・・ね。
その煽りを受けて自衛隊も自衛軍に改名するべきだと言う話もありましたが、それより何より実戦経験の無い自衛隊や国家を生き残るためにはどうすれば良いか? を考える事が先決でした。
用は虎門一佐が日本に戻ってくる当時は本当に攻め込まれたら不味いと言える戦闘員の力量不足がありました。いつ戦争になっても大敗しても可笑しくない状況・情勢だった頃、外から国家を戦いにおいて導いき信用できる人物を探していたら、日本人で国籍を持った正規軍(昔は反政府軍)の中将にまで昇り詰めた人材を発見し招き入れたという経緯がある人物で、彼がこちらに来る条件に彼が行なおう事、特に彼と彼の家族、犯罪事以外で行なう事は全て黙認される事などを条件に好き勝手していいというものでして、今回の一件もそれにギリギリはいります。
まあ、隊長は余り派手な事はするなとは言っていたのですが、彼は隊長が鍛えた日本屈指の兵士ゆえ、帰りの下校・登校中隙あらば拉致しようとしていたのですが一切隙を見せず、我々も難儀する事一ヶ月。
最後の手段として、学校に乗り込み拉致しようとしていたところ校内に仕掛けた盗聴器・カメラが軍曹の油断している様を映し出したで好機と見て突入となりました。」
山田一尉すらすらとそれで居て嬉しそうに、その時の思い出に笑みを浮かべて笑って喋りきりました。
ですが、幾つか不味いと思うことを喋られた気がします。
それは、個人情報とか・・・と思っていたらそれを理解したのか、それとも溜めていたのか皆が疑問に思う十数秒してからポロリと零します。
「ああ、一つご安心を盗聴器もカメラも更衣室やトイレなんかには仕掛けていませんので。それと、その際に仕入れた情報は一切他言無用にしますのでどうぞご安心を」
はい。個人情報やっぱり漏れてますわね。
というか、この話自体本当に聞いては不味い話なのではないのでしょうか?
山田一尉の話を聞きながらもそんな事を考えていると、目が合いましたわ。
そして、気付きましたわ。
この方、表情も話し方も声のトーンも本当に楽しそうなのに瞳の奥の冷めた、それ所か怒りを感じる瞳で私は勿論これからクラスメイトになる人達を見回していたのでした。
そして・・・・・山田一尉は一つ深呼吸をした後、ガラッと人の恐怖心を煽る笑みを私達に向けてきたのでした。




