16話 上 許婚
チャイムが鳴って僕たちの担任先生がやってきた。
喧噪が徐々に静まり、教室内には静寂が訪れる。
同時に、先生はいつもの穏やかな一言、
「皆、おはよう」
「「「おはようございます」」」×x人
席に座ったままだが皆挨拶には挨拶で返している。
まあ、中には「チース!」「ウスッ!」何てのも有るけど、皆先生の事を馬鹿にしてこういう感じなわけではない。
どちらかというと、好かれている事だけは言っておこう。
だけど今日の先生は少し、雰囲気が違う。
何だかワクワクしているみたい。
普段なら、出席を取り、移動授業や授業変更あった場合は教えてくれるのに何だか嬉しそうなんだ。何でだろう?
僕はそんな事を考えていたら、先生が唐突に言う。
「皆、実は今日転校生がウチのクラスにやって来た。」
そんな事をいうと回りの女子や男子が嬉々として騒ぎ出す。
「先生そいつ女? 男?」
「先生、その人、女の子それとも男子ですか? 格好いいですか?」
クラスの皆が騒ぎ出す。
先生は、のんびりとまあまあ、と手で制して、
「これからその子を呼ぶから楽しみにしてて、
ああでも、性別は女の子ある人にとてつもなく縁が有る人だから驚くかもしれないね?」
なんていうから、えっ!? 誰々、と周りで騒ぎ出す。
クラスメイト同士で
「お前の知り合い?」とか「女か~、可愛い子がいいなー」や「敵が増えるか!?」
「「「その時はギルティー・・・・(キンタファンクラブより」」」
男子の顔が蕩けていたり、女の子の顔が何だか怖くなって入たり、コタツに至っては興味が無いのか挨拶以外は机に突っ伏して寝ている始末。
先生はそんな中でもマイペースを崩さずニコニコして、転校生に入ってくるように声を掛けた。
「じゃあ、入って来てーー!」
その声の終わりと共にガラガラガラと音のする黒板に近い扉が開き、僕の良く知っている女の子が入ってきた。
彼女は日本人とは思えないほどの銀髪に白い肌整った顔に透き通るような青い瞳を持った美少女で、麒麟家の第一分家のご令嬢である。
そんな彼女は楚々として、教壇の前に進み出ていきお淑やかに澄まして凛とたつ。
クラスの男女共に言葉を失って彼女を見ている。
ただ、黙って見ている皆がそこに居た。
先生は彼女に自分の名前を黒板に書くように指示を出した。