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11話 上 下(もとい、キンタとコタツ) 5 前


 空気が固まっていた。

 見ていた男共は股間を押さえて青い顔しながら後ろに下がっている。

 誰しもが、俺を見ながらなんで出てきた? もとい、この後どうするの? てきな、雰囲気がばしばし感じてくる。

「取り合えず、こいつ連れて行くな」

 俺のは嫉妬の炎と理不尽な炎に狩られ、もぞもぞと悶えている親友を顎で指し、後ろの襟首を持って引きずり出す。

 誰が思っている感情なんて今の俺にはない。

 取り合えず、奴の股間を蹴り若干冷静になった自分を思い出し、同じ威力で蹴られたらと思うと少し悪い気持ちに成ってくる。

 だから、ここからコイツを逃がしてやる事にした。


「いや、ちょっと待ってよ! 何、部外者が勝手に連れて行こうとしてんのよ!」

 気丈にも瞳を赤くさせるだけで怒っている女子のほうが先に現状の光景に回帰し口を挟んできた。

「・・・そ、そうよ。・・・あんたには関係ないでしょ!! 首を突っ込んでこないでよ!!」

 喧嘩の片割れのほうがもう一方の発言に気後れしつつも気が着き、次第に現状の邪魔者に怒りが出てきたようで最後の方叫ぶよう口を開いてくる。

 俺は苛苛している。それも猛烈に、俺の三白眼はおそらく吊りあがるくらいに細まり、目力も異常だろう。

 俺は振り返り、女共を睨み見るとギャラリーまでも「ひっ!」と怯える表情を見せる。

 

 後々思い出して見ると酷い話だが今はおいておこう。


「いや、首を突っ込んでる気、無いけど。というか、お前らこそ普段俺達が喋ってるときこぞって邪魔したり、コイツと喋り終わった後俺のところ着て意味不明な文句言ってきたりしてたけど、俺達の関係性にお前らがグチグチ文句言ったり邪魔されたりする言われないんだけど」

 中学に入って父に連れられ戦場に行き、久しぶりに日本に帰ると親友にファンクラブが出来てて、俺が不用意にキンタに近づくと信者共がギャーギャーと文句を言ってくる事が多々あった。

「はぁっ!? 今そんなこと・・・・」

 関係ない! 何ていう暇なく口を開く俺。

「俺とコイツは従兄弟だよ。

 幼馴染であり、親友であるが血縁関係のある。従兄弟だよ。」

 喋っている間に冷静に、ゆっくり俺の心は冷えてくる。

 女共は、従兄弟発言に口を開いて固まっている。ついでにいうと回りの女子共もだ。

 回りの男子はこちらの様子を覗う為黙っている。

「ついでにいうけど、俺のほうが従兄弟・ケイでコイツが従兄弟・テイに成る。

普通同じ学校に居て縁者が居て困っていたら助けようとする事はおかしい事か?」

 俺は促すように俺を関係ない奴扱いしてくる馬鹿女に言葉を向けてみる。

 真っ直ぐそいつを見つめると女はゴクリと唾を飲み、あまりの衝撃的な発言に掠れた声をだす。

「・・・そ、そんなの嘘よ・・・」

「いや、この場で嘘いう必要ないだろ」

「・・・・・・・」

「どうせだから言っておくけど、こいつは鈍感なんだよ。鈍感で正義感が強くて、純粋なんだ。

 女と男から来る好意を同じものとして受け取る性格だからお前らの好意理解していないと思うぞ。それ所か、何でこんな情況に巻き込まれているのかさえ、たぶんここに集まってきた野次馬の話で理解した所じゃネーの」

 そこんところどーよ。と激痛が治まってきているみたいな幼馴染の足を蹴って促した。



 唐突に訪れた陰部の痛みに僕は悶えていた。が直ぐに聞きなれた親友の声に助けられた気持ちとなんで蹴られたか解からない混乱とない交ぜにしつつ悶絶は終わってくれなかった。

 

 僕の親友が女の子たちと話している間にゆっくりと痛みは下がってきていたときに僕とコタツが従兄弟である下りが出て、僕は何でここでばらしたのかチンプンカンプンだ。

 というのも、昔、

『俺とおキンタが従兄弟というのは内緒にしとこうよ』

『えっ? 何で??』

『何でも、嫌なら俺はもうお前と喋らない』

 結果そのときから従兄弟であるというのは誰にも言っていない。が、何故今回? という疑問が生まれる。

 会話が進んで相手の勢いが沈んできた頃、話の流れから僕に振られる声が上からしてきた。

「で、話聞いてただろ、お前はどう思ってたの?」

 従兄弟で親友が淡々と聞いてくる。

 僕はもぞもぞしながらも呼吸を整えゆっくりと立ち上がり口を開く。

「正直に言うとぅーぅぅ! ・・・・」

 急激に来る後遺症に声があがってしまったが、回りは聞いててくれる。

「コタツが言った通り、僕はリンカとアーコの気持ちを今初めて知ったよ」

 はあはあと息を整え腹に力を入れ答えた言葉に気丈に振舞っているアーコとないてしまっているリンカは「・・ひどい・・」と消え入りそうな声を盛らして泣いている様に下を向く。

 僕は心が苦しくなる。それと同時に僕だけが悪いのかよ。という気持ちも正直あった。

 でも、今は言えない。だから、口を閉ざすしかなかった。

 でも・・・


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