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10話 コタツ 下 4

長いよ


 現在、鉄の雨降り注ぐ戦場に来ている。


 ・・・・・・・・・・・・どうしてこうなった?



 俺は母艦に乗り込み、二週間色々やった。

 父は楽しそうに軍艦の上から釣り糸をたらし魚釣りをしたり、外国に行く途中に機雷見つけ、引き上げて「面白い機械すくったから解体してみようぜ!」で手伝わされたり、母艦から夜間俺が海に落ちて次の日の昼まで必死に船体に捕まっていたり、父が鯨を見つけて、肉が食いたいからと母艦の砲を奪取しに走ったりと、ホント、イロイロ・・・・・アッタ・・・・。


 ちなみに鯨は最終的に獲れませんでした。父と海自及び父の部下が必死に戦っている間に鯨は何処かに行きました。


「いやーついた。着いた! おっ、どうした。そんな遠い目をして、まだ旅はここから始まるんだぞ!」

 母艦から先に降りた俺に父が近寄って来て背を伸ばしいつもと変わらない笑みで世界を楽しんでいた。

 俺は言葉にならない言葉で父を見ていると、父は何を汲み取ったのかこう言ってくれる。

「まー、人生生きていれば色々ある。だがな、俺達はここの国に旅行をしに着たんだぜ!

 ここからは危険なんて何も無い楽しい旅行だぞ。

 それに良く考えろよ。まあ、来る時は最低だったかもしれないが、こんな旅の仕方、億万長者でも出来ないんだぞ! それを考えたらこんな贅沢な旅はそうそう出来ないんだぞ!」

 父は嬉々として俺のレアな経験と旅ができた事を語ってくるが、俺の心はそんな言葉じゃ動かない。

 父もそれを理解したのか、「ふっ」と一つ笑い、やれやれしょうがないこの手は言いたくなかったんだお前を吃驚させるためにな見たいな感じで口を開きだした。

「実はな、父さんのコネがこの外国にも有って、日本では出来なかった実物の射撃が出来るんだ。」

 お前やりたかっただろ? 三度訓練混ざってこれだけは出来なかった訓練だったろ? と俺を誘ってくる。


 俺は、そんな言葉に喜びを覚えると思っているのかと瞳を爛々にして、父のほうを見た。

 だって、聞いてくれよ。語るも涙、聞くも涙な話をしようじゃねーか。


 俺は小学4年生のときから始まった新隊員教育のときや、小5のときにやった夏山レンジャー訓練のときも、冬山レンジャー訓練のときも父のコネを使ってもこれだけは無理と射撃訓練をさせてくれなかった。

 というか、最低限の身長が無いと銃を持てなかった事実があったからしょうがないが、今は成長期で身長が165cmはあるから大丈夫なはずだ。

 ゆえに俺は銃が撃てる事に興奮を覚えてしまった。


 父は『おっ!』という顔をし一瞬で笑顔を見せる。

「そうだ。AK-47やM16は勿論。

 自衛隊装備の89式小銃を奪ってきてでも撃たせてやるからな、楽しみにしてろよ!」

 サムズアップしていい笑顔を見せてくる父に俺は、

「父さん、マジか! 絶対だぞ!! 絶対の約束だぞ!!」

 喜々として飛びついてしまった。

 ここが恐らく運命の分岐点だったんじゃないかと後で考えたが一番の分岐点は日本にいた時の海外旅行の下りだと大分後になって気がついた。



 俺は父さんに連れられて、その国の大きな駐屯地に招かれ約束どおりに射撃訓練をした。

 服装は迷彩服に弾帯とサスペンダー装備、サイズをあわせたかのようなテッパチ(鉄帽)を装着し、銃撃を始めた。

 ついでにいうとなんでここまで装備がそろっているのかというと、父が、

「今日の日の為に父さん用意してみたんだ。今までだって訓練で出来なかったんだからあのときの屈辱を、(その迷彩服で)・・・・なっ!」

 指で鼻を照れくさそうに『解かるだろ?』と擦り楽しそうだった。

 俺も、「父さん」とウルウルして遠慮なく着た。

 

 そして、一通り訓練を終わらせ今日は何処で寝るのか聞こうと父を見ると、この国の軍隊の偉い人と喋っていた。

 しょうがない今は駄目だな。と、喋りかけるのを諦め、父さんが見える範囲で探検をする事にし10分ほどして父が近づいてきてジュースを渡されながら言われた言葉がその日の俺の最後の記憶だった。

「龍、ちょっと悪い1時間・・・いや後30分だけ喋らせてくれ、そしたら今日の寝るホテルに行くぞ!」



 遠くの方からお祭りをしているようなドンちゃん騒ぎが聞こえる。

 時折俺の顔付近に土の匂いと、小さな粒が飛んでくる。

 次第に昨日銃撃をしたの火薬の臭いまでしている。

 遠くの方から「RPG!!」と聞こえ、爆ぜる音や、銃撃音がそこかしこから明瞭に聞こえてくる。

 ん? ・・・これ、何の祭りだ? 薄っすらと目を開け始め、俺は目の前の光景を呆然と見つめながら父が89式の引き金を引いて味方に指示を飛ばしている。

「つーか、アツっ!」

 俺の顔面に空の薬莢が飛んできて当る。

 滅茶苦茶アチー。

 薬莢が当った頬を押さえて驚くように身体を起こすと父が俺を見て、

「おっ!? ようやく起きたか! じゃあ、これ持って、向こう側に向けて、撃て!」

 寝起きの俺にいつもの世界を楽しむような笑顔で今しがた使っていた89式を手渡してくる。

 おい、銃口から煙りだしてんぞこれ?

「お前、弾詰まりの解除方法知ってるよな?」

 あ・・・・うんといまだ良く理解したくない現状で頷く。

「じゃっ、ここ任すからよろしくな!」

 ええ!!! 

「大丈夫。撃たれなければ痛くないし、脳天吹き飛ばされても痛くない。大丈夫だ」

 俺の父さんは力強く俺の肩を叩いて笑っている。

「いや、大丈夫じゃねーよ!! 脳天の下りは痛くなくても死んでるわ!」

 父さんの発言に思わず力を込め俺は銃弾が飛ぶ線上の戦場で立ち上がり抗議してしまった。

 この時丁度近くの塹壕から寝ぼけながら聞いたRPGの声が一体に木霊する。


 ゴオオオオオオオオン!!!!! 


 俺は突如襲われた強烈な衝撃に襲われなかった。

 砂煙が舞うのは空気の流動と火薬の臭いが教えてくれる。

 俺はいつの間にか目を閉じていた瞳を開けると俺に覆いかぶさる真剣な父の表情がそこにあった。

「・・・・父さん・・・?」

「・・・・ちちち、今の久々にビビッタわい。戦場でどんな理由があろうといきなり頭を上げるやつがあるかい?」

「・・・・・」

 真剣な瞳から表情からいつもの世界を楽しむ声に変え俺に説教をしてくる。

 無言の俺に「ふっ」と一度笑い本気の目で俺に話しかけてくる。

「お前を勝手にこんなところに巻き込んだ事については正直に謝る、なんだったら今までのこともだ。

 だが、これが最後だ。最後だから戦って生き残ってくれ。」

 父の今まで見たことが無いその本気に俺は息を飲む。そして、このような情況だからこそ父の本音を聞けると・・・聞いていた。

「父さん・・・・父さんは俺に何をさせたいの?」

「・・・・お前にこの世界の現実を見せたかった。

 お前に、もしもの時が来ても生き残る為に業を身につけて欲しかった。

 そして、同時に心も身体も強い男になって欲しかった。

 人を快楽で傷つける人間に成っては欲しくない。だが、命を狙ってくる人間の命を奪う事の出来るそういう男に育って欲しかった。

 いつ戦争があるか解からない。いつ目の前で暴漢が現れるか解からない。地震が、津波があり、生き抜かなければ成らない情況がそのときに強く逞しく生きて残れる男になって欲しかった。

 だから、これが最後だ! 約束する!! 戦って、生き残ってくれ!」

 父は目を一度閉じ真っ直ぐ俺の見つめ答えた。

 ・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・。

 ・・・・。

 俺は瞑目し、雄たけびを上げた。

「クソがァァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 俺は父さんの昔の話を知っている。

 俺は父さんの思いを知ってしまった。

 俺はこれから人を殺さなければ成らなくなってしまった。

 俺は誰かを守る側である事を知っている。

 俺はどんな理由があろうと停滞する事が嫌いだ!

 だから、俺は今までの訓練を思い出し心を無にし、どうせこんな場所にいれば戦わなければ成らなくなるなら最初から戦ってやる! の、今生で銃を取った。


 父は俺の雄たけびに一瞬驚きつつもこっちの覚悟を理解したのか直ぐに覆いかぶさるのを止め、塹壕の外に出て、ドッチボールを避ける様に銃弾を避けてここらにいる兵士全体に指揮を始めだす。

 が、俺の冷静な感情が、『いや、あんた人間だろ!? 何で避けられるんだ!? 何て関係ねぇー、やってやらァァ!!』

 1、2、3と頭を出して89式の引き金(ガク引き)を引く。レバーの位置【レ】、で連発を意味する。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!! カシン!

 烈しい音が銃口から吹き。鉄の兵器は虚しい音を鳴らして止まる。

 頭を下げ、脱落装置を押して弾装を抜き、小弾嚢から新しい弾装を抜き、【三】(三連射)に変え、コウカンを引き放す。カシャンと響き銃弾が装填される音を聞きながら銃口を適に向けて撃っていく。

 いつ終わるとも解からない戦闘に俺は染まっていくのだった。



 三ヶ月経った。

 俺は生き残っていた。

 父さんと一緒に来た自衛隊の三割は死亡し、4割は負傷して後方に下げられていたりする。

 親父に居たっては、敵にわざと捕まり、三つの敵の基地の破壊と捕虜の脱走を手引きして、腹に弾丸喰らいながら、弾丸が腹筋で止まる奇跡を実現させつつ、野戦昇任していやがった。

 だが、そんな事には俺はもう驚かない。

 だって、俺が一番驚いたのは昨日の全軍に伝わる一言だったからだ。

「この戦争は反抗ゲリラ軍の大将が俺の親友の父親の将補によって死亡が確認され戦闘終結が発せられたのだった。」

 そう、俺の最後で会ってほしい戦争が終わった報告と成った。



 そして、俺は無事に命を繋ぎ日本に帰ってきた。

 最初の頃は、戦争体験が抜けなくて色々敏感に反応し、日本の平和さにいらつきを覚えたくらいだったが我慢した。

 我慢する事半年がたってあるとき俺はその光景を見てブチ切れてしまった。

 そう、俺の親友が平和ボケかましながら2人の女に取り合いをされている。

 俺は怒りの余り、色々な感情混ぜて・・・・同じ自衛官の父を持つのに俺だけ戦場に立たされる理不尽に俺は切れてしまった。

奴の後ろに忍び寄り、本気で奴の子孫お知らせを告げに言ったのだった。


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