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教皇の光る帽子
ある教皇の帽子は神の力により光を放っていて、それは夜でも真昼のように辺りを照らすほどで、その銀色の光を浴びながら説法を聞いた者は皆、神の存在を信じ考えを改めるようになると言われていた。
ある日教皇は大変価値のある豆を運ぶ任を受け、この豆を背負った労働者の若者に報酬は何が良いかと尋ねたところ、教皇の光る帽子が欲しいと答えた。
すると教皇はその帽子を二つ返事でくれてやった。
労働者の若者は喜んで、その帽子を部屋に置いて、夜はその光をもって本を読むなりしていた。
だがある時からか、若者の目は光に過剰に敏感になり、ついには星の光でさえ目に突き刺さると言い、壺を被って生きるようになった。
帽子からはいつしか神の力は消え、強すぎる光だけが残った。