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道化師の歌

作者: 朱寿

「道化師の唄」

この世界は嘘まみれで穢れている


強者は弱者のうえで嘲笑う


弱者は強者の下で這いつくばりながら涙をこらえ

笑う


そんな世界で貴女がすこしでも笑って下さるように


僕は唄おう…この身が消えるまで


ですから貴女は綺麗で美しいその純粋な笑顔でいて

ください。


僕は道化師…。貴女だけの道化師…。


……………………………………………………………………


僕の家庭は何処にでもあるような家庭で父さんも母

さんも優しくて僕はそんな場所がすきだった。

やがて、弟ができ僕は…独りになった。


「家族」という場所に僕の存在が消えたかのように

誰も僕に見向きしない。


僕は焦ったこのまま誰にもみられないで死んでくの

かと、必要としてくれる人はいないのかと…

誰かにみて欲しくて僕は必死に考えた


「馬鹿になればいいんだ…ピエロのようにすれば

誰かがみてくれる。わざとお調子者みたいにすれば…」



その考えを導いてから僕はわざと転けたり馬鹿した

り怒鳴られてもヘラヘラ笑って石を投げられたって

鞭で殴られたってひたすら笑って相手が面白いと思

ってくれる事を考えては自分を殺していった


何時からだかは、覚えてないけど泣きたくなっても

心ではないてるのに僕の顔はヘラヘラ笑っていて

まるでお面をつけてるかのように笑うことしか出来な

くなってた。


そんな僕を不気味に思った弟が両親にいった

「兄さんは悪魔に取り憑かれたんだ」と。


両親は「冗談は辞めなさい」と笑ったけど顔が引き

攣っていて僕がその話をきいてもヘラヘラ笑ってるの

に気づくとその4つの瞳に恐怖の色を滲ませていた。


それから、少し経った頃「家族」を僕は失った。


僕を置いて皆消えてしまったのだ。夜逃げかなんな

のかわからないけど忽然と消えた


そんな時貴女にあった


家の前で座り込んでいた僕に話しかけてくれたのだ。

家族が消えてから食事もろくに食べず風呂にだって

はいることはほとんどなかった。そのせいで周りの

人は余計僕に近づかないのに…


何処かのお嬢様なのか小奇麗な格好であどけさの

残る可憐な少女。その綺麗な瞳は深海のような濃い

青なのに透き通っていて引き込まれそうだった。


僕は何時ものようにヘラヘラ笑って

「お嬢様なんでしょ?こんなとこにいてはだめだ

よ。物騒だ。」と言った。


すると貴女は哀しげに

「可哀想なお方。泣いて良いのですよ?笑ってい

てるだけはつかれるでしょう?」と


僕にはわからなかった。どうして笑っている僕に

可哀想なんて言うのか理解出来なくてでも面白そ

うな方だと思った。



それからは、毎日のように貴女は現れて僕と話して

くれたり食事をもってきて一緒に食べたりして過ご

した。

楽しくて楽しくて幸せだった。


貴女も僕の法螺話を聞いて楽しげに笑ってくれた。

それが嬉しかった。



でも、それをよく思わない人がやっぱり居るわけで

そんなことわかってたのに僕は貴女との幸せな時間

を1秒でも永く過ごしたくて見ぬ振りをした


最初は貴女が帰ったあとに僕に石を投げつけたり刺し

てくる物が多くて貴女にバレないよう法螺話(ほらばなし)

をして嘘をでっちあげケロケラ笑った。そんな時でも

貴女は哀しげに笑うだけだった。

今はエスカレートしていて正直貴女にはもう来て欲し

くなかった。だから、冷たくしてみたりしたけど貴女

には効かなくて逢いにくる。


でも、最近になって来る回数が減っていきこない月も

あって嬉しいやら悲しいやらで僕には広すぎる家で笑い

続けた



久しぶり貴女がきた。でも、その顔は浮かなくて嫌な予

感がして僕は問いかけた


するとこう言った

「私ね、結婚するの。だからもう逢えなくなるわ。

でも、それが辛いのです。」


「どうして辛いの?僕といても危ないだけだよw」


「それは…好いているからです。危険なこと承知で

逢いにきていました。」


貴女の後ろで何かが光るのがみえた。


「ほんとに好いてるならさ。僕を殺してよ?ww

僕は貴女に殺されるなら本望だよw」


ふざけた調子でそう言った。

でもこれは本当に思ったことだ。


「ごめんなさい…」


何かを決意したのか

震えた声でそう言うと僕に近づいてきた


そして、軽く僕の唇に自分のそれをあわせると

ゆっくりと僕の真の蔵に護身用の刀を刺した。


「ちゃんと殺して…くだ…さいよ。」


僕は貴女の震えた手を握り自分に突き刺す。


「死なないで…こんなお別れしたくありません」


「わらっ…てあなたの…わらったかおすきです…

あなたには…わらっていてほしい」


そう言った。その時、貴女の後ろで銃を持った男が

憎々しげに僕を見ていた


そして、ニヤッとわらい引き金を引こうする


僕は渾身の力で僕を抱きかかえている貴女を突き放

して男の前に立つ


男は

「俺のもんをとりやがってこの悪魔…」と呟いた


そのあと、銃声と悲鳴がきこえた…


「ふっ…ふふっふはっははっ」





でも、そのあと響いたのは僕の笑い声



そう、僕は男が銃を打つときに僕に刺さっていた

護身用の刀を抜き投げたのだ

周りの人達にいたぶられ殴られいつか復讐するため

に鍛えといたのが役に立ったようだ


男は死んだかわからないが倒れてうごかない


貴女は…失神してるようだ。


僕は貴女の横に貴女が好きだった花をおき


その場をあとにした。



その時、僕は初めて泣けた。

痛いのと貴女をこんな目にあわせてしまったこと

いろんな感情が絡まって僕は泣いて笑った。


死ぬ最期まで狂ったように…




貴女がこの世界で生きる限り僕は何度でも生まれ

変わって貴女を笑わせたい。




道化師の歌



end


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