9 推しとは
本日より連載版の話が始まります。
「できたっ!!」
ウルガの推しヌイを両手で掲げ、エリナは嬉しそうに微笑む。
これでアレン様に渡せる。きっと喜んでくれるだろうと思うと、ムフフと笑みが無意識にこぼれちゃう。
私…耐えられるかしら……。
目の前で嬉しそうに微笑む推し…。
ああああああ、今度こそ滅される予感しかしない!
だ、だめだっ!妄想でも、耐えられそうにない!
そうだ!フーカさんに渡してもらうように頼もう。そうしよう!!
私はフーカさんを探しに部屋から出た。だいぶサーカスの従業員用スペースの内部構造も覚えてきた。
「あっ!いた」
ちょうど、フーカさんの部屋へ続く道の途中で見つけることが出来た。思わず駆け寄る。
「フーカさん」
「エリナちゃん!もう大丈夫なの?具合は?」
フーカさんも私を見つけると、心配そうに駆け寄り、私の身体をペタペタと確かめた。
「はい!心配かけてすみません。それにフーカさんがアレン様に頼んでくれたみたいで………ありがとう御座います…それで、ちょっと、相談が…」
段々と内緒話をするように小声になって話しをする。
「うふふ、どういたしまして。もうあんな飲み方しちゃ駄目よ?それで、相談って?」
フーカさんも私にならって最後は小声になっている。
「じつは……」
私は今朝のアレン様とのやりとりを説明し、ウルガの推しヌイをフーカさんから渡して貰えないかとお願いした。
最後まで話しを聞いたフーカさんは、口元に手をあて、ニマニマと笑っている。
「エリナちゃん!それって、チャンスじゃない?」
「チャンス……ですか?」
「そうよ!告白する!」
「ブハッ!!ゴホっ、ゴホ」
思わず、吹き出してむせてしまった。なんてことを言い出すのかしら。
まともに対面する自信がないから、フーカさんにお願いしてるのに、……こ、こ、こ、告白!?
ムリムリムリムリムリムリムリムリムリ!!!
推し様は、尊いものであり、めでるものである。
よりによって告白なんて、恐れ多いです。はい!
「む、無理です。ただでさえ、近くにいるだけでも危険なのに、喋ることはおろか、こ、こ、こ、こ」
「エリナちゃん、それ鶏みたいよ〜」
クスクスっと笑うフーカさんを軽く睨むが、可愛らしく微笑むばかりで、まったく動じて様子はない。
「フーカさ〜〜ん、お願いします〜」
最後の手は泣き落とし!!
やれやれとフーカさんは眉尻を下げ、しょうがないわね〜っと優しく笑う。
「折角アレン君と仲良くなるチャンスなのに、本当にいいの?」
「い、い、いいんです。推しは、神なので!」
そういうものなのかしら?と首を傾げながらも、「分かったわ、預かるね」と、ラッピングしたウルガの推しヌイが入った袋を受け取ってくれた。
良かった〜。これで、アレン様に推しヌイが届く。
――推しヌイのウルガを胸に抱くアレン様……頭の中で想像が爆裂する。
ぬおおおおおおおおおおお!!
推せるっ!!推しヌイを優しく撫でるアレン様!
最高かよっ!!
やはり推しは、神だわ!!
ゆる〜く連載スタートします。
よろしくお願いします。




