7 歓迎会
「本日からお世話になりますっ!!グッズ担当のエリナって言います。よろしくお願いしますっっ!!」
無事に念願のサーカス団の一員になれ、今日の朝の集会で、正式に全団員さんの前で自己紹介と挨拶をした。
もちろん挨拶の最中でも、私の視野にうつるアレン様には後光がさして見える。
推しは何処にいても、後光ですぐに目につくっていうのはヲタのテンプレ機能だ。
――今日も推しは尊い。幸せだ。
グッズ販売は大波乱をサーカスに巻き起こした。
蓋をあけてみたら大繁盛も、大☆繁盛!!
会場の一角にブースを作って貰い、販売したところ販売開始30分もせずに毎日完売になってしまい、販売数を増やしてくれとクレームが殺到した。
すぐに売れてしまうという、レア感が出たのか、販売前に長蛇の列が出来きてしまった。
最初の頃は、お客さん同士のイザコザもあって、お客さんがスムーズに並べるように「グッズ最後尾」というプレートを掲げてはどうかと提案すると、即採用されて喜ばれた。
まだこの世界には馴染みがないけど、今後は整理券の導入も検討してこうと考えてみたわ。
お客さんがいっぱいてことは、グッズもいっぱい必要ってことで……、嬉しい悲鳴とはこのことかしら。
持ってきていた在庫では心許ないので、団長さんに相談して、販売員はサーカスのスタッフさんに任せ、ひたすら宿に籠もって私はグッズ作成を行った。
お陰で目の下のクマがヤバい……。
推しの為ならっ!!っと思って睡眠時間を削って頑張った!!(良い子は真似しちゃダメよ〜)
まさか初日で目標の半分の5万リブを達成するとは思ってなかったから、誤算だ……。
だけど販売は1週間という宣伝を既にしていたので、頑張ったわ……私。
1週間で合計32万4800リブの売り上げた。
………やりきったわ。燃え尽きた。
幾度も栄養ドリンクがないことが悔やまれたか…。
この世界にもポーションっていうのはあるんだけど、徹夜を乗り切るためには、やっぱり前世の栄養ドリンクが恋しくてしょうがない。
これも、いつか自分で作っちゃおうかなぁ。
ビタミンとタウリンと、カフェインと……あとは身体に良さそうなやつを入れれば…!何とかなる…のかな?……知らんけど。
何はともあれ!これで晴れてサーカス団の一員になれた!!
宿生活から、推しのアレン様と共同生活になる。
その事実だけで、胸がいっぱいだわ〜。
朝礼が終わってから、団長室に呼び出された。
「今日から改めてよろしく頼むよ。それで、今夜はエリナちゃんの歓迎と、この街も今夜で最後だから、打ち上げをやろうと思ってるよ」
「ぇ?私の歓迎会ですか?」
「そうだよ!グッズ販売も大成功で、エリナちゃん大活躍だったじゃないか!!だから、夜は予定空けておくようにね。よろしく!!」
「~~っっありがとうございます!!」
ひゃぁ〜っ!やったぁぁぁああ〜!!嬉しいっ!!
眠いけど、寝たいけど、推しとのご飯会に参加しないなんて、あり得ないでしょっ!!
――そして、夜の最後のサーカス講演が終わった後。
サーカス団員達との飲み会が始まったんだけど、何故だかメインキャラに、いつの間にか私は囲まれている……。
「エリナちゃんって、僕たちのグッズ作ってくれてた子だよね?あれ、すごいね」
ピンクのザック様はピエロのメイクを落とすと、意外と童顔なのがわかる。
「そうそう、講演中に自分の色のハンカチがヒラヒラと振られるとテンション上がるよな」
ニカって笑いながらオレンジのムカ様。
「あ!わかる~!!ボクも嬉しくなっちゃう」
「ボクも~~」
双子のショタボーイ達が、嬉しそうに賛同する。
ワイワイする若者達を温かく見守りながら、その後列では、大人な雰囲気を醸し出している、ダンテ様とテル様……そして、アレン様がいる!!
「あ、ありがとうございます」
普段は元気よくハキハキと答えるエリナだが、突然のアレン様の登場で、全身がガチガチに固まってしまった。
ア、アレン様が……ち、ち、近いぃぃ~~!!
い、1メートルの半径内に……お、お、推しが…
エリナは、推しを目の前にして、あまりの緊張のあまり、手に持っていた乾杯用のお酒を、グビッと一気に飲み干してしまった。
―――あっ……ヤバい……世界が回るぅぅ〜
バタン!!!!
目の前が暗転していく最中、周りが慌て出す気配と声だけは、うっすらと分かった…。
「おい!大丈夫かっ?!」
アレン様の声が耳元でする……ここは極楽ですか?
好きすぎて、本当に滅亡の5秒前だわ……これ。




