6 条件
「じょ、条件とは?」
「試しに、ここにいる残りの1週間で、どれだけ売れるのか…それを見極めてから、君を雇うかどうか決めさせて貰う。それが条件だよ。もし売り上げが10万リブいかなければ、この話は無かったことにする。いいね?」
10万リブ……。この世界のお金1リブ=1円の価値と一緒だ。なので、1週間で10万円分稼がなくちゃいけないことになる。
因みに針子の見習い給料は月12リブ。それを1週間で10リブかぁ……。
―――やるしかない!!いや、やってみせる!!
それに、この世界には推しヌイっていう文化はない!!
これこそが、私が転生した宿命だと思うの!!
【この世界に推しヌイをバズらせてみせる!!】
「わかりました!やります!絶対に達成させてみせるんで、見ててください!!」
「厳しいこと言うかもだけど、期待もしているんだよ。僕個人としては、フーカと仲良しのエリナちゃんのお願いを聞いてあげたいけど、サーカス全体として考えると、どうしても厳しくなっちゃうんだ。すまないね」
「いいえ。チャンスをありがとうございます。頑張ります!」
ふんっ!…と拳を両手に作って気合いを入れた。
「この後出かけなきゃだから、詳しいことはまた明日。開演前に来てくれるかい?」
「はい!宜しくお願いします。時間を作って貰いありがとうございました。失礼します」
挨拶をして部屋から出ると、心配そうにフーカさんが待っていてくれた。
「エリナちゃん、お話できた?大丈夫?」
「フーカさん!ありがとうございます。……私どうしても、ここで働きたいんで頑張ります!!」
トランクをギュッと握りしめ、ニコッと元気よく笑う。
「ええ?!!エリナちゃん!!団長に相談って……ここで働きたいって話だったの?」
「はい!そうなんです!お題を出されたので、それをクリアしないとですが…」
「……エリナちゃん…あなた……私が知らないだけで、実はすごい運動神経の持ち主だったの……?それとも……身体がグニャグニャ柔らかいとか??」
「ち、ちがいますよ!サーカスに出るほうじゃないです!!」
手をブンブンと振って全力で否定しておく。
「でも…、それじゃ何なの?」
「フッフッフ。見て驚かないで下さいね〜」
本日2度目のジャジャーーーン!!
トランクを開けて中のグッズを披露した。
「っっっふぁあ!!!!!可愛いぃぃぃぃ〜!!」
「でしょ~~??」
「こ、これは!!すごいわ~~!!」
フーカさんは目をキラキラしてグッズに釘付けだ。
「こ、こ、これは……!!もしかして……!!」
「そうです。団長ウサギです」
ギン!っとフーカさんの目が1点を見つめて血走っている。
「このサーカス団をモチーフとした商品を販売させて貰おうかと思って、団長さんに話しをしてきたんです。」
そして、お題として1週間10万リブを売り上げないといけない事をフーカさんに説明をした。
「買うわ!これ!」
団長ウサギを指差し、フーカさんはテンションMAXだ。
「いえいえ!フーカさんにはいつもお世話になってるんで、とうぞ持っていってください」
「ダメよ〜!ちゃんとお代金は払うわ。そしたら私がエリナちゃんのお客一番乗りでしょ?だから買わせて」
「…フーカさん。ありがとうございます。だけど、まだどれを幾らで売るかも団長さんと相談してないんで、明日まで待って貰えませんか」
「わかったわ。うふふ。エリナちゃんってこんな特技があったのね〜。絶対に売れると思うわ〜。受付でも宣伝して応援するわね。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
グッズ一覧表とかが受付にあると、お客さんにも認知されやすいかもと、話が盛り上がった後に帰路についた。
今日はサーカスの近くにある宿をとった。帰りながら、家から持って来てある在庫についてあれこれと考えを巡らす。
カラーハンカチ(刺繍あり)は1枚 800リブ。
雪兎のノーマルマスコットは1体 2000リブ。
推し仕様(8人と1匹)のマスコットは1体 2500リブ。
缶バッチや胡桃ボタン(刺繍あり)は1つ 500リブ。
ちょっと頑張れば買えるっていう値段設定にした。
白、黒、ピンク、青、緑、赤、黄色、オレンジのメインメンバーのカラーとウルガに雪兎。
宿に帰るついでに、夕飯とグッズの材料を街で追加で購入した。
そして、今夜は宿に戻ってから紫のフーカさんバージョンのマスコットを一体縫い上げた。
これはフーカさんにプレゼントしようと思う。
フーカさんには、団長さんウサギとペアで部屋に飾って欲しいなって。
2つの推しヌイが並んでいる姿を想像しただけで、ニヤニヤしちゃうよね。




