17 トンカール領 開演初日③
「あら、これは……何?」
受付にあったグッズのラインナップの看板をみて、バニラ嬢が足を止めた。
「これは…、え〜と、……おいっ!これは何だ?今まで見たことないぞっ!お嬢様に説明しろっ!」
従者も初めてみるグッズ販売に戸惑っていたが、分からないみたいで、受付スタッフに怒鳴りつけている。
――やっぱり嫌な奴ね…。それを良しとしてるバニラ嬢も、どうかと思うわ。
「えっと……それは、先日から始まったグッズでして…あちらに……」
受付スタッフが、こっちをチラチラと見ながら、手で指し示す。
「何っ!」
ギロリと従者がこっちを見る。
――この前のこと、ちょっとの時間だったし……きっと気付かれないわよね…。
ツカツカと勢いよくやってくる従者の後ろから、扇を口にあてたままバニラ嬢がやってきた。
私はそっと、隣の人の背後にそれとなく隠れるように移動した。
「グッズっていうのは、これか!?」
従者が乱暴に雪兎のマスコットを持ち上げる。
「は、はいっ!それはサーカスのシンボルの雪兎のマスコットです。そして…こっちがサーカスメンバーの推しヌイと言いまして……」
白、黒、赤、青、オレンジ、黄色、ピンク、緑……推しカラーの雪兎達に、それに我等のウルガ様!
「グッズって言っても、縫いぐるみか!子供じみたグッズだな!」
そう吐き捨てる従者とは違って、推しヌイをみたバニラ嬢は……
「まぁ、まぁ、まぁ~!!!これはっ!凄いわ!」
目をキラキラさせて、興奮した様子が伺える!
それをみた従者が、慌ててコロッと態度を変えて
「そ、そうですよね!凄いですよね!」
ヘコヘコとバニラ嬢に同調していて…、やっぱり嫌な奴だ。
「こ、こ、これは………!!ダンテ様の??」
「はい。ダンテ様は赤の雪兎になります」
「か、買うわっ!!」
「あ、ありがとう御座いまます!」
慌てた様子でダンテ様の雪兎を袋にいれようとすると、「そのままでいいわ。ちょうだい」と言うので、雪兎を渡すと、ほんのり頬を紅くして嬉しそうに胸に抱えた。
――ふふっ、悪役令嬢も推しヌイにハマって改心するがいいさ。




