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【連載版】推し活にいきる転生少女は、推しヌイを流行らせたい  作者: あかさたなっちゃん


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14/18

14 聖水

青白い顔をして、頭から血を流しグッタリしている少年が目の前にいる。

息はありそうだけど、意識はないみたい…。


どうにかして助けられないかな!

1番てっとり早いのは、私が彼に触れて『ヒール』がかけられたらいいんだけど、この状況だと難しいそうだ。


あとは……!!そうだっ!聖水だわっ!!

聖水をぶっかければ、いいんじゃないかしら?

そうすれば私が聖女だってバレることもなく、少年を助けられるはず!


聖女だけが作れるっていう、万能薬の聖水!希少価値が高くて、高額で取引されてるらしいけど、世の中に存在しないことはない!


聖水は液体に聖女が『ヒール』をかければ、作れるんだと思う。


あぁぁ!でも、手元に液体がない!!

何処かにないかしら?

キョロキョロと辺りを見渡す。

すると、ちょうど路面店にジンジャー水のお店があった。

前の世界でいうジンジャエールみたいなもので、ジンジャーとハチミツの炭酸水を瓶に入れ、キンキンに冷えたものを売っている。

アルコールは入ってないから、子供から大人まで飲めて、市民のポピュラーな飲み物だ。


私は1度人混みから抜け出し、「オジサン!1本ちょうだいっ!」と急いで購入した。


キンと冷えた瓶に『ヒール』と念じると、薄っすらと瓶が光った気がする。ちゃんと聖水になってるか心配で、3度ほど重ねてかけておく。


あとは……。


ぬおおおおおおおおおおおお!!

瓶を全力で振るっ!振るっ!振るっ!振るっ!


よしっ!!


「ちょっと、すみません!」

私は瓶を片手に、また人混みを掻き分けて、なるべく少年に近くに行く。


まだ従者のグダグダ説教が続いていた。

( もうっ!身分優先で怪我人を蔑ろにする奴は、天罰でハゲ散らかしてしまえばいいのにっ! )


そんな事を願いながら、少年の様態を観察する。


ー良かった…、まだ生きてる。


人混みの隙間から、ギリギリまで少年に近く。


ー届きますようにっ!!!


最後にもう1振りしてから、私は思いっきり瓶の栓を抜いた。


ポンっ!!!

ジュワワワワーーーーーーー!!!


大きな音と共に、ジンジャー水が凄い勢いで放水される。まるで優秀した野球選手のビールかけみたいに……。


「な、なんだっ!!」

「うおっ!!」

周りと、従者が騒ぎだした。


少年にジンジャー水がかかった!…良かった…。

少年を抱いている母親にも、かかっちゃって、2人ともビショビショに濡れてしまったけど。

母親は目を丸くし、ビックリした顔で、こっちを凝視している。


「ごめんなさいっ!ジンジャー水がっ!」


「ちっ!これだから平民はっ!」


従者が舌打ちをして、私を睨んだあと、「もういい!おい!出発するぞ!遅れてしまう!」と馬車の中に戻り、慌ただしく馬車が動き出した。



「…うっ……」

少年が意識を戻したみたいで、顔をしかめ、ピクっと眉が動き、声がでた。

「っ!!マルクっ!マルクっ!大丈夫っ!?」


母親は、私と去っていった馬車から視線を戻し、少年を心配そうに伺う。


「…、かぁ、さん」

少年はさっきよりも顔色がよくなっていて、まだ虚ろだが、もう命の危険はなさそうに見える。


……よかったぁぁぁぁぁ、助けることが出来たわ。


ホッと安堵の息が漏れる。


そうだわ!フーカさんをカフェで持たせてるんだった!急いで戻らなきゃっ!


びしょ濡れの親子に、ペコリと頭だけ下げ、心の中で謝っておく。


ーごめんなさいっ!ハチミツも入ってるからベタベタするかもだけどっ!こうするしか考えつかなかったのよ!!でも無事で何よりだわっ!!


私は人混みに紛れ込み、騒動から抜け出し、「御馳走さま」とジンジャー屋さんに瓶を返しながら、カフェに急いで戻った。

お読み頂き、ありがとう御座います。

新年度が始まりましたね。

バタバタしてますが、なるべく毎日7時半に更新出来るように頑張ります。

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