11 お披露目
後ろに複雑に編み込まれた髪、白い肌に薄っすらと頬に紅がさし、濡れた果実のようにしっとりとした唇。目元は明るいオレンジ色にグラデーションされ、長い睫毛が瞬きとともに揺れる。
鏡の前には、すごく垢抜けた少女が映っていた。
――これ…?誰かしら?って私か…!?
フーカさんの類稀なる技術によって、何処にでもいそうな田舎娘が、垢抜けて都会美少女に変身!
自分で自分を見惚れて、ポーとしているうちに、あれよあれよと、フーカさんに「お披露目しましょう」ってドナドナされていた。
ちょうど食堂に、ダンテさんと、ムカさんが遅めの朝食を食べているところだった。
あ、アレン様は……よしっ!いないっ!
キョロキョロと食堂を見渡したが、推しは今は居ないようだ…。フーカさんに気付かれないように、そっと安堵する。
「おはよ。フーカさんに……そっちの子は?新しい子?」
ムカさんが私達に気づいて、気さくに声をかけてくれた。
「ふふ。わからない?この子は……エリナちゃん!!」
ジャジャーンとばかりに前面に出され、ちょっと照れくさくて、はにかんでしまった…!
「えっ!?エリナちゃん?」
「うわぁ〜!エリナちゃん!可愛いね。いつもと雰囲気全然違うから!分からなかったよ」
ダンテさんにも、ムカさんにも、可愛い可愛いって褒められ、何故かフーカさんも我がことのように、ドヤ顔になっている。
「でしょ〜っ!エリナちゃん可愛いでしょ?」
エッヘンとはわかりに胸をはるフーカさん。
――ちょ、ちょっと恥ずかしぃぃ!!
ムズムズするような感覚になり、私はフーカさんに「そろそろ行きましょう」って袖を引っ張って街に促した。
その時に「みんな、何かあったのか?」後ろから声がかかった。
―――こ、こ、この声は!???
ギギギギギギギギと、錆びついたブリキの人形のように、ゆっくりと後ろを振り返る……。
「あ、ちょうど良かった!アレンくん!こっち、こっち!!」
フーカさんが手招きをすると、一歩ずつ私のほうに近づいてくる………。
ど、ど、ど、ど、どうしよう!?
ピンチピンチピンチだわっ!!
推しの過剰摂取は、機能停止してしまうのよ!!




