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第5章 学園生活

アーサーとバーンズが次の授業の教室に移動していた。


「お前ホントに『剣術入門』の授業やるのかよ?」

「俺はやるぞ。この授業は剣士スキルがなくてもできる授業だろ?だったらやるしかねぇよ!それで剣術を鍛えてお前らと同じレベルまで到達してやるからな」


アーサーはそう意気込む。すると彼らの前に3人の学生が立ちふさがる。3人とも人相が悪くできれば関わりたくないような人物だ。


「お!もしかしてアーサー君ですか~?君、花を出せるんだよな?見せてもらえる~?」


ニタニタと笑いながら真ん中の髪が尖った男が聞いてきた。


「おい、アーサーに何か用か?」


バーンズが問う。


「噂になってんだよ~今年の黄盾には花を出すだけしかできないヤツがいるって。どんなに凄いスキルか見ておこうと思ってな!」


両サイドの学生も答える。


「はぁ…ほらよ」


アーサーがため息をつきながらロベリアの花を出して見せた。


「おー怖い、怖い!」

「俺たちの剣じゃ敵わないぜ~」

「パーティだとさぞ大活躍だろうな~ハハハ!!」


3人がそれぞれに反応する。


「おいお前らいい加減にしろよ!」

「いや、いいんだ、こんな奴らほっとけ」


怒りを見せるバーンズをアーサーが制止する。


「こんな奴らとは失礼な!俺たちは剣士だぞ!」

「そんなスキルでよくこの学園に来ようと思ったな!」

「次に俺たちにそんな舐めた態度でとったら剣で串刺しにしてやるからな?」


「おい!お前ら全員ブッ飛ばしてやるよ、ほら来いよ!!!」


バーンズはもう怒りを隠しきれない。


「やめとけ!」


それでもアーサーは制止する。


「花スキルが俺たちにビビッてら~!ハハハハハ!」


3人は笑いながら歩き去った。それを見てバーンズが問う。


「なんであんな奴らほっとくんだよ!?」

「よく見ろ、あいつら既に模造刀を持ってる。ここで喧嘩したところで勝てる訳が無い」

「でも、お前は悔しくねぇのかよ!?」

「悔しいけど…いるんだよ、俺のスキルを馬鹿にする奴が、自分のスキルでマウントをとってくる奴が!入学して日も浅いけどもう既に何回か似たような奴に絡まれてる。そんなのにいちいち相手してたらきりがないだろ」

「そうだけど…次に絡まれたら俺に言ってこい!俺がブッ飛ばしてやるよ」

「あぁ…ありがとう」

「はぁ、あんな奴らと同じスキルかよ…」


アーサーは悟ったように語る。


「スキルは第2の身分だ。どんな身分で産まれてくるかわからないのと同じでどんなスキルが与えられるかもわからない。それにスキルで差別や不当な扱いを受ける事もある」

「そんなものなのか」

「皆、自分は誰かよりも優れてると思いたいんだよ」




そして『剣術入門』の授業が始まる。広い道場の中、参加者はかなり多い。剣士のスキルが無くとも剣士に憧れる者は多い。そのため他クラスからも志願者がいる。

教官から授業に関しての説明があった後、頭、胴体、手に各自防具を着け向かい合う。そして手には模造刀を持つ。

アーサーの目の前にいる相手はなんとジャックだった。

こんなヒョロヒョロのヤツならさすがに勝てるかもしれない、とアーサーはよぎる。


「始め!」


教官の声と共に一斉に剣で打ち合う。

だが、アーサーはまず剣が重く持ち上げた段階で手が震えてる。

模造刀の中に金属の重りが入っており、本物の剣と同じ重さとなっているためだ。


「す…すまねぇ…ちゃんと持てなくて…」


アーサーがジャックに謝る。ジャックは心配そうな顔をするだけで何も言わない。


「じゃあ行くぞ…」


アーサーが剣を振り上げるもそのまま後ろへ倒れてしまった。

尚ジャックは平然と剣を持っている。

これが剣士のスキルを持っているかどうかの差だ。スキルが無ければまず剣を持つ事すら危うい。

ジャックはやはり心配そうな顔のまま何も言わない。


すると道場の奥から大きな音が聞こえた。

周りのざわめきの中アーサーが目をやると、人が倒れていた。どうやら相手が強過ぎて防具を打たれただけでなく倒されたようだった。

その強過ぎる相手を見ると、それはバーンズだった。


「あーごめん、大丈夫か!?」


バーンズが手を差し伸べる。

そんなバーンズにある学生が声をかけた。


「お前強ぇな、俺たち3人でも相手できるんじゃないか?」


よく見るとアーサーに絡んできた3人だった。


「いいだろう、先生いいっすか!?」


バーンズは教官へ尋ねる。


「駄目だ」


教官は答えるが3人は無視してバーンズに剣を振り降ろした。

直ぐ様剣を構えて3本の剣の攻撃を防ぐ。

そして3対1の試合が始まる。

相手の攻撃をバーンズが避け、別の相手に当たる。そのまま倒れる。

もう1人が剣を振りかざして飛びかかるもバーンズに弾き返されそのまま壁に激突した。

最後に残ったのは髪の尖った奴だった。


「おい貸せ!」


そう言って別の学生から剣を奪い取り2本の剣でバーンズに襲いかかった。

それを剣で受け止めたバーンズは静かに囁いた。


「素人の二刀流はかえって不利に働くぞ」


直後にバーンズは左手の防具に剣を打つ。

相手は左の剣を離してしまった。


「お前はさっき不正行為をしたな!じゃあ俺もさせてもらうぞ!」

「う…うるせぇ!」


相手は剣を振り下ろすがバーンズが避け、剣先が床に刺さる。

するとその剣をバーンズが足で踏み固定する。


「これは先生を無視した分!」


バーンズが相手の手の防具に剣を打つ。


「これは無理矢理剣を剥ぎ取った分!」


次に胴の防具を打つ。


「そしてこれは、俺の親友をバカにした分だ!」


最後に頭の防具に強烈な一打を浴びせる。

そのまま相手はノビて倒れてしまった。彼の髪が尖ることは恐らくないだろう。

周りの学生達はバーンズに羨望の眼差しを向ける。

バーンズはアーサーに向かい得意気に微笑みかけた。

アーサーは呟いた。


「ありがとう、後で何か奢るよ」


アーサーが起き上がり何とか剣を持ち構えた。


「よし、行くぞ!」


アーサーが叫んだ瞬間ジャックがアーサーの頭の防具を打った。

目にも止まらぬ速さだった。あのヒョロヒョロに負けたのかとというショックと共にアーサーは倒れた。




授業が終わりアーサー、バーンズはランと合流した。


「ねぇ剣士の授業どうだった?」

「まっ、クラス内で最強ってとこかな!」

「それは言い過ぎでしょ〜」

「いや、こいつは本当に強かった。不良3人が束になっても勝てなかった」

「そうなの!?」

「そうなんだよ〜授業前になんかアーサーに絡んできた奴らでさ、そいつらが授業中に俺にも喧嘩売ってきたから全員返り討ちにしてやったんだよ!てか何であの後俺まで先生に怒られたんだよ!?」

「喧嘩を買ったからだろ…。でも逆に俺は本当にダメだった…。やっぱりスキルがあるやつには勝てない…」


「あー…でも続けてたら絶対に強くなれるって!」


ランも励ます。


「そういや魔法の授業ってどんな感じだった?」


バーンズが尋ねる。


「今日やった魔法はね〜」


ランはそう言いながら杖を取り出した。


「おー!杖だー!」

「それがあると一気に魔法使いらしくなるな!」

「そうでしよー!これ授業で自分で作ったんだよ。じゃあやってみるね」


地面に杖を向け魔法をかける。地面に少し火花が散る。


「バーンズ、そこ踏んでみて!」


バーンズが言われた通りに魔法がかかった所を踏んでみると


プ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜プリプリプスプスゥ~~~


「何これ!おならの音出す魔法!?」

「やだバーンズ何やってるのー!?」

「いや、お前がやったんだろ!」

「ちょ、お前何か臭うぞ」

「おい!アーサーまで!」


3人は笑い合った。


「この魔法いいでしょ!」

「面白いな!他には何かないの!?俺にも何かやってくれよ!」

「じゃあアーサー、私がいいって言うまで喋らないでね」


ランはそう言ってアーサーに杖を向け魔法をかけた。


「アーサー、思いっきり叫んでみて!」


アーサーは息を大きく吸い叫んだ。


「コオオオオオォォォォォケェーーーコッコオオオォォォーーー!!!!!」


3人はお腹を抱えて笑った。


「アハハハ、これ声が動物になるの」

「コッケ!コッケ!コココケ!」


アーサーも笑い声がニワトリになっている。


「安心して、お昼頃には自然に声が元に戻るから」




その日の夜、ランの部屋の扉が荒々しく叩かれた。ランは誰かと思いながら出る。


「は~い…ってアーサー!どうしたの?」


アーサーは怒った目つきでランを睨む。そして叫んだ。


「コケーーー!!!コココ!コケェェェーーー!!!」




翌日以降も彼らは授業を受ける。バーンズは剣士として頭角を現し、ランも魔法を徐々に使いこなせるようになった。しかしアーサーは


「あぁ!いってぇ…」


またジャックに剣で倒されてしまった。どれだけ頭では理解していても実際に剣を振るうとなれば話は別。1度も剣をジャックに当てた事もなければ、1度も攻撃を防いだ事もない。スキルの有無がこれだけ大きい差を生むとアーサーは身に沁みて実感した。

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