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第13章 出発

今日もまたパーティは集まった。


「皆、園遊会お疲れ様だった。楽しかったな!」

「そうっすね!」


バーンズが答える。


「あの後実は国に申請をしてな、そして審査の結果暗黒都市へ行く許可をもらった!」

「おーマジすか!?」


暗黒都市、『海の涙』の封印された所。かつては栄えた都市だったものの度重なる魔獣の襲撃により荒廃し、国より立入禁止区域とされた街。今でも最強クラスの魔獣が多く存在するが、都市に残された遺品や『海の涙』を求めて不法に侵入する者が後を絶たない。

そのため国から許可をもらい、誓約書に署名すれば暗黒都市へ行き『海の涙』を探す事ができる。

そして『海の涙』は暗黒都市の中心部、フィール大聖堂にあると言われている。

過去9組のパーティが暗黒都市へと向かったが内7組はメンバーが全滅。残り2組は生き残ったメンバーのみが生還し、海の涙へは辿り着けなかった。


メンバーはそれぞれ誓約書に署名した。

イヴより皆へ告げられる。


「これは非常に危険な作戦だ。万が一の事を考えて家族や親しい人に会っておいた方がいい。遠方なら手紙を書いておけ」


一気に緊張感が高まる。


「わざわざ国に許可をとって死ににいくんですね…」


ヤーハンが誰にも聞こえない声で呟く。


「よーし、作戦会議だ」


円卓に暗黒都市の地図を広げる。

そしてヤーハンが伝える。


「始めに言っておきたいがこの地図は少し古い。倒壊した建物もある。そのため私か一部を修正しておいた。複製してあるから皆へ配る」


それぞれ地図を手にする。アーサーはそれを上着へしまう。




出発の日が近づきバーンズは最後にリサと会っていた。


「ホントに行くの?絶対帰ってくるよね?」

「…うん…リサのために生きて帰ってくるよ…」

「…そう…」


この頃バーンズのリサに対する態度は素っ気なかった。何をするにも魂の籠もっていない様子だった。


「いつ帰ってこれるかな?私ずっと待ってるから」

「ありがとう…無事に帰ってこれたら…」

「帰ってこれたら…?」


「………その時は必ずまた会おう…」


その言葉を聞きリサも魂が抜けた。

バーンズがリサに顔を近付けたが肩を手で押さえられ。

彼女は下を向いた。すぐに顔をあげたが彼とは目を合わせなかった。


「気を付けてね…」


これが2人の出発前の最後の会話だった。




一方アーサーは伯母から何度か手紙が届いてたいたが返事を書けずにいた。そんな中唐突に暗黒都市へ向かう事を伝えなければならない。

彼は文に迷いながらも手紙をしたためた。


出発前、アーサーとバーンズは荷物を馬車に積みながら話していた。


「リサちゃんには会ったのか?」

「あぁ」

「なんか喋ったのか?」

「うん…帰ったらまた会おうって言った…」

「それだけ?」


バーンズは頷くだけだった。


「お前マジで引き裂くぞ、なんで結婚しようって言わねぇんだよ!?」

「いや、それは…」

「ランから色々聞いてるぞ、お前最近リサちゃんに冷たいらしいな。あの子も自分が何か怒らせたり悲しませたりしたんじゃないかって不安がってるぞ」

「だったら申し訳ないな」

「申し訳ないじゃねぇよ、てかこれが会うの最後かもしれないんだぞ!本当にそれでいいのかよ!?」


アーサーは自分でもここまで怒っているのが不思議だった。アーサーは結局ランに想いを打ち明けていない。一方バーンズは学生時代から上手くいっていた。恵まれているにも関わらずそれを粗末に扱っているように見えた。


「現実的に考えろ!」


珍しくバーンズが声を荒げる。


「リサは…ランカスター家の一人娘。伯爵だ。彼女の父さんはでっかい領地を持ってる、家にはお手伝いさんが沢山いて専属の家庭教師までいる!

片や俺は?ただの田舎の平民。家族で馬具を作ってそれを得意先に売るだけ。

それに俺は長男じゃない末っ子だ…どう考えたって不釣り合いだ!俺では彼女の家に泥を塗る」

「…でも…このままズルズルいくのかよ…」

「そうはしたくないけど…」


2人はそれ以上何も言わなかった。




馬車にパーティの荷物が全て積まれた。

目的地へと馬は進む。途中検問があり、必要書類を確認させ中へと入る。だがまだ目的地ではない。周辺の比較的魔獣の少ないエリアも緩衝地として封鎖されている。


その先の門からは、暗黒都市。


彼らは馬車を降りて5人係で門を開く。

昼間なのに薄暗い。荒廃した建物に蔓が巻き付き、辺りには冷たく重い空気が流れる。


「ここから先はいつ何が起きてもおかしくない、非常に危険な場所だ」


イヴが皆に語りかける。


「でも、皆なら必ず乗り越えられる。それぞれが助け合い、自分のできる事を最大限成し遂げれば、必ず達成される。

魔獣が現れれば私が先頭に立って討伐する。本当に危険な状況になれば私が囮になる。皆には私という盾がある。だから安心して先へ進んでほしい」


皆が彼女の言葉に聞き入っていた。イヴの言葉が不安な気持ちを掻き消していく。


「よし、じゃあ皆。行くぞ!」


イヴが啖呵を切ったその時だった。

突如飛来したガーゴイルによりイヴは喰われた。

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