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第12章 国王

この日カメリアの一同は隣町のパブへ集まった。

先程イヴからメンバーへ重大発表が行われたばかりだった。


「それでは園遊会へ招待されたことを祝して、乾杯ー!」


パーティメンバー5人で乾杯をする。

この度カメリアは国王主催の園遊会へ呼ばれた。パーティにとっては功績と信頼が認められる大変な名誉である。


「いや〜皆ホントによく頑張った!エラい!」


イヴはもう酔いが周り顔を赤くする。


「私は確信してるんだよ。私達は最強のパーティになれるってね」


若干呂律が回ってないが彼らの活躍にかなり満足したようだ。


「それもこれもイヴさんのおかげですよ。ありがとうございます」


アーサーも礼を言う。


「私も不安だった訳よ、前のパーティ辞めて新しいパーティ作ろうとした時は。ちゃんと皆着いてきてくれるのかとか、自分に統率力はあるのかとか…。でもこうして皆と出会えて一緒に活躍できて、私は本当に嬉しい」

「私もイヴさんとご一緒できて嬉しいです」

「俺も、イヴ先輩に着いていってよかったっすよ」


ランとバーンズも応える。


「私な思ってるんだ、いつかこのパーティで『海の涙』を探しに行こうって」

「『海の涙』ですか…?」


ランが尋ねる。


「あん?知らないの?」


ヤーハンがイヴに耳打ちする。


「地方出身です。知らなくて当然かと」

「ウルセーな」


イヴが一蹴する。


「じゃあ教えてやろう」


イヴは語る。

その昔勇者と呼ばれる者がいた。彼は魔法で無限の力を持つ剣を創り上げ、あらゆる魔獣を討伐した。その剣こそ『海の涙』である。

そしてそれには更なる魔法がかかっており、剣を天に掲げればどんな願いも叶えられる。

だがそれがあまりにも強力で万能だったため魔法で2つの鍵をかけた。

1つ目はこの剣は「心の清い者にしか持つことができない」2つ目は「願いが叶った時、同時に絶望も訪れる」

そしてこの剣は暗黒都市と呼ばれる魔獣の多発する廃墟と化した街の奥深くへと隠された…。


「そういう事なんだよ」

「あー、なんか学生時代に聞いたことがあります。詳しくは知らなかったんですが、この事だったんですね」

「なんだよ知ってたのかよ」


イヴは2杯目のジョッキに手を付けた。


「暗黒都市は元々完全に立入禁止だったんだけど、近頃魔獣が多いだろ?だから人為的に魔獣が生み出されてるんじゃないかって言われてるんだ。

そいつは『魔王』と呼ばれてるがな。

それで国王は魔王討伐を条件に探索許可を出すようになったんだ。

ただこれが中々危険だから並のパーティじゃ探索許可が降りないんだよ。でも私達だったらできるんじゃないかと思ってな!」


イヴのジョッキは空になっていた。


「なぁバーンズよ、もしお前願いが叶うとしたら何したい?」


イヴは唐突にバーンズに尋ねる。


「俺っすか?そうっすね〜。やっぱ黄金大剣聖の勲章が欲しいっすね!」

「なんだよ!そんなのお前が頑張ればいいだけじゃねえか」

「違うんすよイヴ先輩、勲章は議会の推薦と国王の承認で決まるじゃないですか。その議会が貴族しかいないから勲章貰ってる人は皆貴族なんです!」

「そうだな」

「去年もありましたよね!平民出身だけでできたパーティが国内で1番多くの魔獣を討伐したのに結局勲章を貰ったのは大した討伐数もない貴族だけでできたパーティでした」


バーンズの語りに熱が籠もる。


「そうだ!勲章は誰にでも与えられる機会があるべきだ!」

「結局平民には何も与えられないんです!

…機会すらも…」


急にトーンが落ちるバーンズ。


「別に優遇とかどうでもいいんですよ。でも、良いことも悪いことも分かち合えたらいいじゃないですか…。俺はそうしたいっす…」


彼の目はどこか寂しさが表れていた。

それを察しイヴが慰める。


「いつかは叶うって」

「どうして彼を応援するのですか?」


ヤーハンが横から割って出た。


「あなたの地位なら勲章を貰える事はあり得ますよ」

「私の身分を勝手にバラすんしゃねー」

「恥じる事はありません。あなたは誉れあるヨーク子爵令嬢。私なんて男爵ですよ」

「身分なんかどうでもいいんだよ」

「いいえ重要です。スキルの民主化以降貴族と平民との距離が一気に縮まりました。サン・ディースだって急増するスキル保有者を抱えきれなくなりついに身分を分けずに授業を行う様になりました。それが由来となって揉め事も多く発生しています。

やはり身分によって環境は分けるべきかと」

「そうなってたらバーンズもランもアーサーもここにはいない。私達が成長する事もなかったぞ」

「ここは別です。ですが平民だけのパーティではロクに討伐もせず、それどころか略奪を繰り返すだけのならず者集団となったのもあります。彼らによりパーティの権威が失われつつあるのです」

「平民だけのパーティでも多くの討伐数を上げてるところもある。結局は身分じゃなくて個人の資質じゃないか?」

「いえ、平民は平民らしく…」

「おい!!!」


ヤーハンは3人に目をやった。


「もちろん君達は例外だ…」


イヴがヤーハンの肩を小突く。

バツが悪そうに下を向くヤーハン。


「でもな、私は願いが叶うなら騎士団に入団したいんだ」


そう語るイヴにアーサーが尋ねる。


「騎士団ですか?」

「あぁ、パーティでの功績が認められると騎士団に入れるんだ。そこに入団したら外国での討伐も任される事もある。私はそこに行ってみたい」

「騎士団にはなれないんですか?イヴさんならできると思いますが」

「厳しいだろうな。スキルの民主化以降女でもパーティで活躍してる人は山ほどいるけど入団できるのはほとんど貴族の男ばっかだ」

「そうなんですね…」

「でも私は単に名誉のために騎士団になりたい訳じゃない。

私は外国を旅してみたいんだ。遠い海の向こうにはどんな人達がいて、どんな文化があって、どんな生き物がいるのか。それをいつか自分の目で見てみたいんだ」

「素敵な夢じゃないですか!」

「だろ〜!で、アーサーはどんな願いを叶えたい?」


突然話を振られ少し考えるアーサー。彼から一瞬笑顔が消えた。


「…僕は、剣士になりたいです…」


場が静まり返る。


「いや、今の事務員が嫌って意味じゃないんですけど、皆さんを支えてる事を僕は凄く誇りに思います。でも時々皆さんを見てたら思うんです。このスキルじゃなかったら僕は最前線で戦っていたんだろうかって…もし剣士のスキルを授かっていたら、僕はどんな剣士だったんだろうかって…。僕が貴族だったとしても花のスキルじゃどう足掻いても勲章も騎士団も絶対に手にできないので、羨ましいというか、悔しいというか…」


重くなった空気をイヴが切り裂く。


「でもそれがあんたの運命よ。アーサーが優秀な事務員になってくれたからこのパーティは強くなる事ができた。あんたが剣士だったらこうはならなかったかもしれない。私はあんたが事務員で嬉しいよ」

「ありがとうございます…なんかすみません、場を悪くしちゃって…」

「いいんだよ、それでランちゃんは叶えたい願いとかあるの?」

「えっ私ですか!?」


今度はランの番だ。


「いや〜、私は特に…」

「はぁ?そんな訳ないだろ?」

「あの、私ホントにそういうのが無くて…」

「なんかあるだろ、ほら、その…世界一美味いもんが食いてえとかさ」

「世界一美味しい食べ物…食べられたらいいですね…ハハハ…」

「ふ〜ん、ツマンネ。おいヤーハン!お前は!?」


最後にヤーハンが聞かれる。

だが彼はすぐには答えずにランを少し見た。

アーサーはそれに気付いてしまった。


「いえ、私も特には」

「へーそうかよ!」


そう答えた後、アーサーはヤーハンに睨まれた気がした。嫌な予感がアーサーの脳裏に過ぎる。


その後もイヴの話は続く。


「なんで私が騎士団になりたいかって言うとな…」


ヤーハンは腕を組み下を向いて寝ていた。


「私が騎士団になんでなりたいと思ったかって言うとな…」


ランは虚ろな目をして今にも寝落ちしそうだ。


「私はな、絶対騎士団になってやるんだ!なんでかってーとな…」


アーサーはテーブルに突っ伏して寝てしまった。


「私がなんで騎士団になりたいかって言うとな…」

「もうイヴ先輩その話!」


ついにバーンズが痺れを切らして言ってしまった。

イヴは文句あんの?と言わんばかりに鋭い目つきでバーンズを睨む。彼は全てを察した。


「…もっと詳しく聞かせてください…」


イヴは満面の笑みを見せた。普段は険しい表情が多かったが笑った時はあどけなさがあった。


「なぁバーンズよ、

私達が戦ってるのは魔獣だけじゃないんだよ」


そしてイヴはテーブルに頭を置いた。


「イヴ先輩?まさか寝てないですよね?」


彼女は返事をしなかった。




そしていよいよ園遊会が始まる。

アーサーは昔の恩師に、花のスキルがあれば国王主催の園遊会に呼ばれるだろうと言われた事を思い出した。だがパーティメンバーとして招待されるとはその時は思っておらず何とも感慨深い気分となった。


会場には他のパーティもいくつか参加していた。それぞれ交流していく中で国王の挨拶が始まるとのアナウンスがあった。

場の空気を緊張感が支配する。アーサーも舞台に注目する。


そして中央の舞台より国王カイトが登壇した。


「本日は園遊会にお集まりいただきありがとうございます。私はこの園遊会を主催しました、エイル王国国王カイトでございます」


招待客の多くが初めて国王を生で見る。

アーサーもそれに感動していた。この人がスキルの民主化を成し遂げたのだ。

挨拶は続く。


「皆さんがここに来ているのは単に討伐数が多いからではありません。

国民の生命や財産を保護し、法を遵守し、人々の前に立つに相応しい、そんなパーティが皆さんなのです。

現在魔獣の襲撃は世界中で年々その規模を増しています。そして世界は今2つに分断されようとしています。

魔獣に勝てる国と、負ける国。

我が国はどちらか?実はどちらでもありません。

エイル王国は世界を魔獣から守る国となるのです。

そんな国、世界、そして時代を創るのが今日お集まりいただいた皆様なのです」


アーサーは思った。国王は身分や性別に関係なく平等にスキルを与えた。それどころか外国まで魔獣から守ろうとしている。こんな発想と実行力を持つ人物など今までどこの国にもいなかった。

まるで自分とは違う世界から来たようだ。


国王の挨拶が終わりパーティ同士交流を深める。イヴは他のパーティのリーダー達の話を食い入るように聞き入っていた。

相変わらずバーンズはいつの間にか女性達に囲まれていた。

ヤーハンとランは2人で話していた。


「人が多く集まる所は苦手でね」

「私もあまり得意ではありません…」

「…気が合うようだな…」

「そ、そうですね…」


アーサーは連日の酒ために少し気分が悪くなり、風を浴びにバルコニーへ出た。

すると奥から会話が聞こえた。


「であればそちらも建設を急がせましょう」

「そうしてくれ」


何か新しい建物でもできるのだろうか?そう思い興味本位で声の聞こえる方へ近づいた。すると国王の家臣が現れ、剣を半分ほど鞘から抜いた。


「何者だ!」

「す、すみません…」


アーサーは咄嗟に謝った。髭面で強面の大男に睨まれ恐怖を覚える。その時家臣の後ろからカイト国王が現れた。


「彼は園遊会の招待客だ。剣をしまいなさい」


そう言われ彼はアーサーを見たまま慎重に剣を鞘へ戻す。


「大変失礼いたしました。この後もごゆっくりお楽しみください…」


家臣は去りながらもアーサーからは目を離さなかった。


「驚かせてすまなかった。彼は昔パーティで剣士をしていたんだ。剣も顔も怖かっただろ」


カイトはアーサーに冗談めいて言う。


「いえ、ありがとうございました。あ!こんなところに来てしまって申し訳ございませんでした」


アーサーは今国王と話をしている事が信じられなかった。


「いや、いいのだよ。君はカメリアのアーサーだね?」

「はい、左様でございます…」

「そんな堅苦しく話さなくてもいいよ、私は未だに偉い人扱いされるのが苦手でな。でもちょうど良かった、一度君と話をしてみたいと思ってたんだ」

「私とですか!?」

「あぁそうだ。実は君の卒業論文を読ませてもらったよ。魔獣の消化機能に関する内容だったな、あれは着眼点が素晴らしかった」

「あ、ありがとうございます。拙い文ではありましたが大変光栄です」

「あの論文を仕上げるのに相当調べ上げたんじゃないか?」

「そうですね…毎日図書館に通い詰めていました」

「そうか、実はあの図書館はかなり気合いを入れて作ったんだ。世界中の知見を集めるためにかなりの人を動員したんだ。それが活かされて嬉しいよ」

「たくさんの本を用意してくださってありがとうございます」


カイト国王は友人と話すかのように接してくれた。そこでアーサーは思いきって質問をしてみた。


「実はその図書館で陛下について書かれた本も何冊か読んだ事があります。スキルの民主化に関する本は多くありましたがそれ以前の陛下について記載されてある本はほとんどありませんでした。大変失礼ではございますが陛下はどこで産まれどのような生い立ちだったのでしょうか?」


その質問をされ、カイトは遠くを見つめた。


「私の出生か、恐らく君にはわからないだろう。なぜなら私が産まれたのはこの世界には存在しない国だからな」

「それは…どういう事でしょうか?」



「私は21世紀の日本という国で生まれ育った」



アーサーは混乱した。そんな国は今まで聞いたことがない。それに存在しないとは?ならどうやってここへやってきたのか?


「だがある日、この世界へ転生させられたのだ」

「転生…ですか…?」

「そうだ。私のいた世界はスキルも魔獣もなかった」

「そんな世界があったんですか!?それは平和なところだったんじゃないですか」

「ははは、そうでもないよ。私の世界では人の一番の脅威は人だった。いつの時代も世界中のどこかで戦争や紛争が起きていた」

「陛下はその戦火をくぐり抜けてきてんですか?」

「いや、幸いにも私の国では長年戦争は起きていなかった。それでも私は人生に絶望していた。君はサン・ディース学園を卒業しただろ?それと似たような大学と呼ばれる所へ私も通い、卒業したんだ。それも私の国ではトップクラスのところをな」

「スゴいじゃないですか!」

「でも卒業後私は何をやっても上手くいかなかった。絶望に暮れる毎日だったよ」

「その時に転生したんですか?」

「そうだ、私が27歳の頃だった。いつもの様に自分の部屋にいると突然周りの景色が歪み、強烈な頭痛と吐き気、高熱、目眩がした。その後は失神しており気がつくとベッドで横になっていた。重い目を開けるとそこにはサートゥス教皇がいた」

「教皇聖下がですか!?」

「そうだ。サートゥス教皇曰く何者かが高難度の転生魔法を使用したが失敗した結果私がこの世界へ来てしまったらしい。そして元の世界へ帰る方法は無いと」

「どんな魔法使いがやったのですか?」

「それはわからない。ただ私が路上で倒れているところを修道院が発見したらしいんだ。そしてサートゥス教皇が私を保護してくれた」

「そういう経緯だったんですね…ではなぜスキルの民主化をやろうと思ったのですか?」

「サートゥス教皇はこの世界の事を色々と教えてくれた。もちろんスキルの事もな。その中で私は感じたんだ、この世界の人々は抑圧されていると。自らの力を発揮したいが閉じ込められている。

私は自分の人生を誤ったと思っていた。だから今度こそは正しい事をしたいと思い、当時の王に反旗を翻したんだよ。

今思えば多くの人の血が流れたし、多くの人を悲しませた。滅茶苦茶な事をしたよ。私が死んだ時は裁きを受ける事もなく地獄へ一直線だろう」

「でもスキルの民主化によって魔獣への強力な対抗策を手に入れました。教皇聖下もご理解されている事でしょう」

「そうだな。実は政権を取った時後悔したんだよ。余所者が国の最高権力を奪ってしまった事にね。

だからサートゥス教皇に許しを請うた。私はとんでもない事を犯した人間だ。どんな罰でも受け入れると。だがサートゥス教皇何も咎めなかった。そして反乱を起こした勇気と力を今度は人々を救う事に使うんだ。それがあなたができる償いであると」

「そんな風に仰ったんですね」

「そうだ。そしてスキルを民主化させた。他にも色んな制度改革をやってきた。

そしてサートゥス教皇は一つだけ要望を叶えて欲しいと言った。法改正をしてほしいと」

「どんな法改正だったんですか?」

「刑期を終えた罪人の身元を引き受けられるようにしてほしいと。今までの法律では出所した罪人の身元は家族しか受け入れられなかった。だが家族と連絡がとれなかったり受け入れを拒否されると、誰の元にも帰れず路頭に迷いまた犯罪に手を染める。だから法改正して家族でなくとも身元引受人になれるようにしてほしい。そして彼らを教会で保護したいとの事だった」

「そうだったんですね…でも陛下も人のために行動されています」

「ありがとう、まあ私も政策の失敗はよくするがね、ただ近年帆船を多く造らせて海に駆り出している。おかげで国が豊かになってきているよ」

「…帆船がそんなに重要なんですか?」

「…あぁ。我々は、植民地を築いているからな」


そこでアーサーは気付いた。国王が建設しようとしているものに。


「パーティで優秀な成績を修めた者は騎士団として諸外国へ派遣することがある。それは魔獣の討伐も当然だが、植民地の建設にも携わってもらっている」

「…それは…授かったスキルを…人を殺すために使うという事ですか…?」

「もちろんそういう訳じゃない。騎士団は土地の開拓と先住民からの攻撃の抑止力となってもらっている」

「でもそれは…現地の人達の生活を奪う事になりませんか…?」

「多少はそうかも知れないな。だがお互いに利益がある。先住民は魔獣から守ってもらえる、我々は入植先との貿易で利益を上げる。公平な取引だよ」

「そ…そうなんですね…」


戸惑うアーサーに国王は語りかける。


「1つ聞こう。君はサン・ディース学園をタダ同然で通えていた。なぜ国が学費を負担している?どこからそんなお金を捻出している?君達が食堂で飲んでいたお茶はどこから輸入していると思う?君達は自分の知らない所で知らない間に恩恵を受けているのだよ」


アーサーは困惑した。自分のいた環境は植民地の犠牲によって成り立っていたこと。

更に国王は続ける。


「奇しくもこの国は大陸の西に位置する島国だ。これが何を意味するのか私にはわかる。


この国は世界の覇権を握るだろう」


カイト国王近隣諸国だけでなく遥か遠い国までその手中に収めようとしていた。こんな発想と実行力を持つ人物など今までどこの国にもいなかった。そして自身で語った出生。

やはり自分とは違う世界から来た人物だった。


「だが覚えておいほしい。これは争いを抑止するためのものだ。本当に恐ろしいのは魔獣ではなく人だからな」


と国王は最後に付け加えた。


「陛下、よろしいでしょうか?」


家臣が呼ぶ。


「すまない、時間をとって。話ができて良かったよ」


国王は去っていった。



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