プロローグ
白い石造りの道に赤い煉瓦の建物。そんな街中に金色の装飾が目立つ一際大きな教会がそびえ立つ。
その中でサートゥス教皇が目の前の少年に告げた。
「そなたに授けられたスキルは《剣士》」
彼は喜びに満ち溢れ笑顔を見せ、教皇もまた自分の事であるかの様に満足そうに微笑む。
ここはエイル王国。
この世界では15才になると国民は『成人の儀』を受ける。
そこで個々人に固有の『スキル』と呼ばれる特殊能力が与えられる。スキルには様々な種類があり誰にどのスキルが与えられるかは完全にランダム。ただし発生するスキルには偏りがあり、剣を自在に操れる剣士が約4割、魔法を操れる魔法使いも約4割、残りの約2割が他のスキルとなっている。
そしてスキルを与えられた者は王立サン・ディース学園に入学し4年間をかけてスキルの技術向上、制御方法、スキルに関する法律、他一般教養等を学ぶ。
卒業後は学んだ事を活かし道具や武器の製造、インフラ整備など様々な仕事をこなす。その中でも最も花形とされているのが魔獣の討伐。彼らは5から10人ほどから成るパーティを結成し、時折現れ人々を襲う魔獣を討伐する。
このパーティが住人と町を守るため人々から多大な尊敬を集める。
だが社会がこの様な仕組みとなったのはたった10年前。
それ以前は王族や貴族などの特権身分の、それも男性にしかスキルが与えられていなかった。
そんな中ある青年が突如として現れ、当時の王に反乱を起こし政権を奪取。新たな王として即位し様々な改革を実施。彼こそが現在のエイル王国国王、カイトである。
彼の改革により国民は身分や性別に関係なく誰でもスキルを授かるようになった。
これは「スキルの民主化」と呼ばれ国民から広く歓迎された。
国民は授けられたスキルでかつての特権身分と同じく多様な仕事をこなせるようになった。どんな身分であってもパーティを組織することができ、パーティメンバーである栄誉を受けられるようになった。
それ故この年は国民にとって栄光の年となった。
その一方でこの年はある町の、そしてある子供達にとっては悲劇の年でもあった。




