8.凪
中3になり
修学旅行のしおり制作を
任された二人。
二人の時間も増えたが
別の悩みも増えることになる。
中3になってすぐの頃
修学旅行のしおり作りを
担任から依頼された。
ゲートボールクラブの私達は
部活動をしている人よりも時間があるだろうから
中3のメンバーで話し合って
作ってほしいと。
赤浦夏生と私で
作ることになり
文章と校正を私が
絵が得意な赤浦夏生には
イラストを描いてもらうことにした。
瞳 「表紙と・・・あと合間にいくつか
ページに合うようなもの。
文章が出来上がってからでいいかな」
赤浦「そうだね」
瞳 「全部手書きでなくても、イラスト集から選べるから」
赤浦「なるほど・・・」
瞳 「じゃ、出来上がり次第、持ってくるね」
赤浦「おう」
この時、打ち合わせが終わるまで
伊佐本久美が何度か待っていたことがあった。
「一緒に帰りませんか? 先輩」
私よりも伊佐本久美の方が
赤浦夏生といる時間が長くなる。
自転車もずっと隣りにいて
私は二人の後ろにいる。
自転車で並ぶ二人を見ながら・・・また寂しいと感じた。
修学旅行のしおりは
2,3ヶ月後に完成した。
しおりの表紙に 二人の名前を書いた。
赤浦夏生は渋っていたが。
「二人で作ったのだから いいじゃない」
ゴリ押しみたいになったけど
制作を依頼した先生からは
特に何も言われなかった。
修学旅行のしおり制作
大人になって聞いてみたところ
赤浦夏生は
まったく覚えていなかった、とのことで・・・。
作ったでしょ? 覚えてないの???
瞳はちょっとがっかりしてました。